特別な日のご飯はさ
文字数 1,942文字
うまかった～♪
やっぱ、しゃぶしゃぶじゃなくて、すき焼きにしたのは正解だったな！
たしかに。
ちょっと予算オーバーだったが、
まあ、そうそう食えんから、たまにだし、良いだろ。
てか、ほんとお前なんでもできんのな？
割下から手作りとは恐れ入ったぜ！
ま、家庭環境でせざるを得なかったからな。
口にあってよかったよ。
そっか、そういや、ちっさいときから、家事全般してるっていってたよな。
…………うん、やっぱお前すげぇよな。
俺、家事はわりと殆ど出来ねぇから、尊敬するわ。
…………。
…………誉めても、何も出ねぇよ？
なんもねぇのかよっ！ひでぇな！！
…………へへへ。
ま、冗談はおいといて、そろそろ〆行こうぜー♪
しめ？
なんだよー、わかってんだろ？
鍋って言えば、〆なきゃ、終われないじゃんか！
ああ、そうか。
…………まぁ、すき焼きも鍋だよな、そりゃ。
そうか、〆、な……。
やっぱり、〆っていったら、残り汁使っての雑炊だろ～♪
卵はまだあるし、さくっ！と作っちゃって★
雑炊、
…………うん、雑炊な…………。
え？なに、その微妙な反応？
あ、もしかして、雑炊は作ったことねぇのか？
こんな旨いすき焼き作れんのに？
や、
流石に雑炊くらい作れるけどな……
……うん、まあ、どうしたものか…………。
なんだよー。はっきりしねぇな！
じゃ、いいよっ、たまには、俺が作るし！
米派の本気を見せちゃる！！
……あ。
……え？
…………。
…………。
…………。
………………………………。
ご飯、もうねぇの？
…………ああ、
何時もより２合多く炊いたんだけどな。
………………………………。
お前、すげぇうまそうに食うし、
何時もよりお代わりさせてもいいかな、って思ったんだ。
朝飯分はまたセットしてから寝れば良いし。
…………
………………。
…………
…………
…………っ。
…………おい、
…………ぅうぅっ！
…………泣くほどの事か？
泣くほどの事だよっ！！！！！
いいかっ、すき焼きってのはな！
年に数回、特別な日にしか食べられないご馳走なんだよっ！
(そこまでか…………？)
そんなご馳走の〆ってのはな、最後を締め括る、フルコースの最後の一品なんだ！
それが…………ないだとっ！
(…………鼻水まで垂らして…………)
(理解してやりたいが、ちょっと、解んねぇな)
(俺、本当に飯には拘りねぇし
こいつと食うようになるまでは、最低限栄養取れれば良いとか思ってたくらいだしな…………)
(こいつみたいに、食うものに拘れる感性を持っていれば、解ってやれたのに…………とんだポンコツ野郎だな、俺は)
ぐしゅ…………うぇ…………
………………………………。
…………っ、
…………せっかく、お前と食べる特別な飯なのに…………お前が頑張って美味しく作ってくれたのに…………！
俺が、ご飯食べつくしたせいで…………！！！
完璧に出来なかった……ひーん…………！！
…………ゲッホゴホっ！！
…………！
(…………そうか、そういう…………)
げほ、ごほっ！！…………うわーん！！！
わかった。
…………解ったから、そんな咳き込むほど泣くな。
ほら、鼻水もかんで。
…………ぐずっ、
ビーーーム！！！
じゅる。
ごめ、…………ごめんな。
いいから。
…………今度はちゃんと俺も気を付け…………
…………………………………………あ。
…………？
…………ちょっと、待ってろ。
え？
(確か、冷凍庫に…………
…………うん、あった)
…………それ。
米派のお前としては、邪道かもしれないが、これも立派な〆だろ。
ん、一分茹でれば完成と説明にある。
だけど、せっかく旨みが強いあまだれの汁だからな、少しだけ長く煮込もう。
…………待てるか？
…………っ！
うん！まつ！！
……そうか。
……………………。
……………………。
……………………。
……………………。
……………………。
いまっ、
卵のタイミング、いまっ！！
……そうだな、よし。
よっ、と。
後は火を止めて蓋をして余熱でおいとけば、半熟になる。
うは、楽しみに。
器、新しいの、出すか？
いいよ、これでいい。
むしろ、このままが良い。
そうか、そうだな。
…………うん、良い塩梅だろ。
器。
ん！ヨロ！
はいよ。
汁いれたから火傷には気を付けろよ。
んー！さんきゅっ！
じゃっ、さっそくっ！！
熱！！
…………ふーふー、
ずるずるずる…………！！
…………俺も。
ふう、ふぅー。
ちゅるり。
…………うん。
うん…………冷凍うどんも馬鹿に出来ないな。
…………んんんー…………なにこれ、うま…………。
うん、肉の脂と野菜の旨みとタレの甘さをうどんが吸ってなんとも言えないな。
うん！！
それに、器に残ってたタレ味になった溶き卵と煮込んだ玉子のコラボ最高！！！
…………へへへ。
…………？
……どうした？
また、すき焼きしような！！
………………………………。
ああ、そうだな。
そんな、きみとの、ちょっと特別な時間。
