6.一日違いの二人

文字数 425文字

 夏になりました。川遊びに飽きて、木陰で二人は休んでいます。
 木もれ陽がまぶしくゆれます。

「ねえ、クリスのお誕生日はいつ?」
「12月25日だよ」
「え?」
「うん、クリスマスなんだよ。イヴは?」
「12月24日。……だからイヴなの」
「え? え? じゃあ、ぼくたち一日違いってこと?」
「そうなんだね。あたしが一日おねえさんね」

 二人はちょっと見つめ合いました。
 クリスマス・イヴとクリスマスに生まれた同い年の二人。
 なんだかとっても不思議なことのように思えたのでした。
「でも、自分の誕生日のような気がしないの。いつもクリスマスのお祝いといっしょにされちゃって」
「そんなのまだいいよ。ぼくなんか24日にまとめて済まされちゃうんだ。『あら、昨日お祝いしたじゃない』って」
「つまんないね」
「うん、つまんないよ」

 つまんなさだって分かち合える友だちがいるのはいいことだと二人は思いました。
「二人でクリスマスじゃなくてお誕生日だけのお祝いしようか?」
「うん、一緒にね」
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