第1話

文字数 799文字

 山形県は物価が安い。という印象を受けるが、そうでもないらしい。
 総務省統計局によると、2021年(令和3年)平均消費者物価地域差指数(全国平均=100)の「総合」を都道府県別にみると、山形県は 100.8 で全国で第5位の高さである。
 確かにスーパーマーケットで買い物をしてレジで払う金額は都会とあまり変わらない気がする。しかし、特に生鮮食料品などはその量が圧倒的に多いのだ。消費しきれなくて food loss (フードロス)にしてしまうこともしばしばある。また、地元の居酒屋へ行くと、つまみが安くてボリュームがあり、しかも食材が新鮮で美味しく、値段相当以上の食べ応えに感動する。
 写真は2016年2月、当院に僻地研修に来た研修医のリクエストに応えて地元の居酒屋で頼んだ鰺フライである。

 当時で ¥480- で、肉厚の鰺フライ、たっぷりのタルタルソースに研修医だけでなく自分が一番感動した。

 そして山形県庄内地方で驚くのは地価の安さだ。
 都心では超高層タワーマンションが1億円を超えるのも珍しくないと聞く。
 かたや一方で庄内の1例を挙げると、JR羽越本線に砂越(さごし)駅がある。砂越駅は羽越本線下りの余目(あまるめ)から2つ先の駅だ(余目→北余目→砂越)。その砂越駅から80m、徒歩1分の 191.00 坪 (631.43 ㎡)の住宅用地が坪単価 2.19 万円で売りに出ている。が、なかなか買い手が付かないらしい。
 写真は 2016年2月に撮影した、砂越駅を出発して北余目駅に向かう上り普通列車キハである。

 ここは「砂越のカーブ」と呼ばれ、地元では有名な撮影地である。

 物の値段は需要と供給で決まる。
 庄内は人口が減少し、どの業種も後継者不足、豊穣な美田も休耕田が増えた。地元の人にこの土地の話をしたところ、
 「そんな中途半端な大きさの土地はのぉ~、買ってどうすんだべ?」
と言われてしまった。

 んだかのぉ~?
(2023年5月)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み