2。空雅~Kuuga~④

文字数 1,086文字

2。空雅~Kuuga~④

「お姉ちゃん!クウガってお姉ちゃんのこと好きなのかな?」

環ちゃん……

夕食を終え、それぞれが好きに過ごしている。私は家に電話をするためにレストランで時間を潰している。2台しかない公衆電話はみんなが並んでいてなかなか空かない。無理かなぁ、とは思いつつ、待ってみる。蘭子先生が小銭を貸してくれたのだ。
せっかくだからと待っているが、今日は無理かもしれない。
そこで、電話が既に終わってる環ちゃんが一緒に待ってくれてるのだけど。
「どうしたの急に」
「だって~、ずっとお姉ちゃんのとこにいたじゃん、クウガ」
まあ、確かに、そうなんだけど…。
あのあと、ジャスミンに乗せてくれたのだが、乗馬してるとこを環ちゃんたちに見られ、こうしていじられている。
「すごく優しい目でお姉ちゃんのこと見てるよ、クウガ」
「え、そう?」
「そうだよ。青い瞳に見つめられるってどういう感じ?」
「環ちゃん、ハズイって……」
「だってー、いいなぁって」
「え~?」
「だって、クウガ、かっこいいでしょ?助けてくれたし、馬も乗れるんだよ?王子さまじゃん」
はあ……なるほど…。確かに異国の王子さまみたいね。馬も乗れるし…。
「ほんとだね、王子さまみたい」
「ねえ?」
環ちゃんの純真な発言に目から鱗だ。
確かにカッコいい。スマートな対処、日本語英語OK、青い目の茶髪、そして乗馬ができる。
ドキドキしても仕方ない。
「誰が王子さま?」
「「ワアッ!」」
2人の背後から声が降ってくる。
驚いて思わず大きな声が出てしまう2人。
「誰の話してたのかな?ぼくだと嬉しいけど」
照れずに言える空雅ってすごい。これに対抗できる姫がここにはいるのです。
「すごい!さすがクウガ。よくわかるね」
「Wao!ほんとにぼくのこと話してた?嬉しいよ、タマキ」
頭をポンポンされて、ちょっと嬉しそうな環ちゃん。
「シスイは?」
「え?」
「ぼくがいなくて寂しかった?」
え、ちょっとハードルが上がってる。
「王子さまみたいって」
「環ちゃん!」
「いいじゃん。カッコいいって話してたの」

環ちゃん…、さすがに恥ずかしいから!

私は思わず手で顔を隠した。顔が熱い。火を吹くってこういうことなのか!恥ずかしくて燃えそう…!
からかわれると思ってたが、ちょっと間が空く。そろりと手の間から空雅を見る。

え……

そこには真っ赤になった空雅がいた。
「……oh my gods 参ったな」
「え」
あまりに素な彼をみた気がして、自然に顔から手を外した。すると視線がしっかりとかち合ってしまった。
空雅、視線があって驚くが、すぐに笑顔になる。
「すごく嬉しい」

あ……かわいい……

胸がキュンとしてしまった。


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み