新たなる鬼の誕生

文字数 858文字

「今度は呪い?忙しいな……。」
今回の仕事は、二つの魂の回収。片方は呪われた相手、もう片方は呪った相手だ。
なぜ、呪った方が死んでいるのかって?『人を呪わば穴二つ』、ってやつさ。
恐らく、悪魔に願いを叶えてもらう降霊術でも行ったんじゃない?そして悪魔の出す契約書をちゃんと見ていなかった。そして体を潰された、そんなところかな。
呪った相手は、もちろん握りつぶして地獄行き。今回は汚いアメジストだったよ。
呪われた相手は、どうなるかって?仕方ない、教えてあげるよ。
取りあえず、魂を回収。ああ、これ逆恨みされたパターンね。すっごく綺麗なダイヤになったよ。
で、魂と交信。
〈ああ、貴方は死神ですね。私は、死にましたか……。〉
「そう、君は呪われて死んだんだ。君は、どうする?相手を恨む?」
〈……恨みます。私は、呪われるようなことをしましたか?〉
「いや、してない。逆恨みだよ。」
〈だったら、なおさら恨みます。呪いで味わった分の苦しみを、相手に返してやりたい。〉
お、いい感じに黒くなってきたね。汚れる、じゃなくて色が黒くなっていく感じかな。
「だったら、君は地獄の鬼になれば?そいつは地獄へ行ったんだ。君が鬼になれば、その分相手を苦しませられるよ。」
〈なります。とことん、後悔させます。呪わなければよかったと。〉
「じゃあ、君の体を鬼の体にするよ。そしたら地獄ゲートに入るんだ。いいね?」
〈はい。死神さん、ありがとうございます。〉
完全に黒くなったブラックダイヤを、人の体に押し付ける。体が真っ赤になって、角が生える。服が着物になったら、むくりと鬼が起き上がった。
『地獄のゲートは、それですね。』
地の底から響いてくるような声が、僕の開くゲートを見ながら言った。
「ああ。これに入りな。あとは閻魔がやってくれるから。」
『ありがとうございました。あなたの名前は?』
「僕かい?人間名アレン、死神名デビル。」
ゲートを、消した。
きっとあの魂は、偉大な鬼になるだろう。うまくいったら第100世閻魔になるかもしれない。
……まあ、大概、こうやって鬼は誕生するんだ。
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