作品紹介と登場人物紹介

文字数 1,158文字

ようやく手元にそろった、「開かずの錠」を開けるための鍵、薄い金属製の椿花びら片の箸置き2枚。
殿の言葉で躊躇いを払拭できた朝、旬之助の部屋にやってきた母親から伝えられたのは、滋賀にある「朽木神社」から電話があったこと、そして、初代宗衛門の件でこれから稀音堂にやって来るというものだった。
しばらく待って稀音堂に訪れた「朽木神社」宮司の妻、古賀淑子。彼女から手渡された一通の手紙。
それは、初代宗衛門が朽木神社の宮司に渡した手紙のようだった。



【登場人物】

◇稀音家 旬之助(きねや じゅんのすけ)
主人公。
代々続く、和錠の解錠を専門に扱う店の十代目。父への憧れと、自宅にある初代宗右衛門作のからくり錠(開かずの錠)をいつか開けてやるべく鍵師の道へ。骨董品に触れると、時折、不思議な力で故人が見える。年齢は二十五歳

◇稀音家 光之助(きねや こうのすけ)
旬之助の父親。九代目・稀音家 宗右衛門を名乗る名鍵師。性格は穏やか。

◇塚原 奏真(つかはら そうま)
旬之助の幼馴染。年齢は二十五。大学卒業後、子供のころからの希望だった稀音堂に就職。従業員であり、時に旬之助の助手もする。頼まれると断れない性格。

◇ろくすけ(白猫)
旬之助の飼い猫で、店の看板猫。ふかふかの真っ白な毛並みと、茶色のまんまるな愛らしい目が特徴。

◇万里小路 崇行(までのこうじ たかゆき)
江戸時代から代々、稀音家家と腕を競い合う鍵屋「万錠屋」の息子。旬之助とは幼馴染で、同じく鍵師。二十五歳


◇歳さん 
杣野邸で桐箱の解錠を行った際、中に入っていた黒羅紗と十一代兼定に憑いていた霊。新選組副長。

◇殿  
300年前に、実際の本能寺跡地だった山本邸で行われた悪霊祓いの儀式の際、偶然使用されてしまった扇子(鉄扇)に憑いていた霊。(つまり、とばっちりを食って捕縛された)第六天魔王・織田信長。

◇佐木 晃矢(さき こうや) 
平安時代から続く、悪鬼祓いの神社「矢伏神社」の神職。見た目はお洒落男子だが、実は超甘い物が好きなスイーツ男子。 

◇信忠さん
第六天魔王・織田信長の息子。谷口酒造での解錠の際、蔵で保管されていた酒器の一つである杯に憑いていた。一度はあの世へ逝ったものの、父の自刃の原因が自分にあるという自責の念から、再び現世に霊として戻り、父を探していた。

◇宗衛門
稀音堂の初代鍵師。
江戸時代後期、刀の需要がどんどん減っていく時代の中で、刀鍛冶であった親を継ぐのではなく、錠前鍛冶としての道を歩んだ人物。
難解なからくり錠を作る才と、装飾の技術に長けている。
後継者のためにあるものを残すべく、そして、彼らの技術を試すべく、開かずの錠を作って残した。


※この作品はフィクションです。
©仁津木せのん 
作品のコピー及び転載は禁じます。
更新は、かなり不定期になると思いますが、ご了承ください




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