1.女子飲み会。(そのいち)
文字数 2,051文字
『 いかめん! 』 ~ ミスター ぐっど棒 を探して ~
(第1稿) (ほぼ草稿というか粗稿) (2019年4月25日~)
☆ 前半戦 ☆
1.女子飲み会。(そのいち)
「ねぇねぇねぇ、聞いてったら!」
つまり《銀河系》
いわゆる《ピースフル・ピープルズ・パワー・スポット》…の。
超巨大な超絶複合集積施設群のなかでもとりわけ人口密度の高い有重力階層のなかでもさらに最も高級高価な一等地と称される《1G》エリアの一角を占める超有名酒食店を、昼間の通常営業時間帯外とはいえ、豪勢に、
貸し切りで。
騒いでいる自称「ただの女子会よ!」集団の…
さらに真ん中で。
すでにかなり酔いのまわっている伊香親甲斐子(いかした・かいこ)は叫んだ。
「聞いてったら~ッッッッ!」
「はいよ~、なんだよ~?」
ごくごくいいかげんに合いの手を入れたのは隣でへべれけになりつつある親友の
「だからっ! あたしはっ! …さとったのねッ?」
「うんうん」
こちらもごくおざなりに、携帯端末を出して本日ついつい飲み食いをしてしまった酒食のカロリー計算と、それを消費するために必要な今後一週間ほどのスポーツクラブにおける運動量と種別における所要時間の計算を始めてしまった
「…だから、なにを…?」
ごくのほほんと、臨月ちかい腹をさすりながら酒は飲めないが十分に美味い飲み食いと旧友たちとの久しぶりの歓談を楽しんでご満悦のようすの
「…おとこはッ! …男の値打ちは…ッ!」
「クオリティ。」 すかさず栄子が突っ込む。
「違うわッ! 栄子あんたがそう言うからアタシもずっとそう信じていたけどッ!」
「あら、なによ。反論する気?」
「そうよ!」
「…あら、じゃあ、…甲斐子が悟った!っていう、…男の、値打ちって…??」
「セックスよ~~~~ッ!」
甲斐子は絶叫した。
フロア中に、とどろきわたった。
*
なんだなんだと、《ただの女子会》という名の「ただの呑み会」も後半突入お開き間近のタイミングで、会話も途切れがちになりだらけきっていた新旧の
「アタシッ! 自分で言うのもなんだけどッ! 美人でしょっ?」
「…うんうん。自他ともに認める、だいなまいと・ぼで~…♪」
のほほんと、C子が囃した。
「言っちゃぁなんだけどッ! アタマだって、とってもイイわッ?」
「まぁそれは認める。」
学生時代から、学年主席の座を争ってきた腐れ縁で好敵手のA子がうなづいた。
「ソトヅラだって、とってもいいしッ!
…社交的な性格でッ!」
「だからってパンピー相手の合コンで『自称二十四歳・ただのOL!』ぶるのはやめろよな~?」
B子がつっこんだ。
「…だからッ! モテてモテて困るいわゆる《MMK》(モテてモテて困る)でッ!
今までこの《PPPS》内のいわゆる《最上級》(ハイソ)と言われる適齢期男子の、ほぼ半分は、喰い散らかしてきたわけだけどッ!」
甲斐子の「とっかえひっかえ」は有名な話なので、みなナマヌルクぎゃははと笑った。
「今までッ! …つい最近までッ!」
ここで拳を握り、眼に涙まで浮かべて、天(天井だけど)を仰いで…、
タメを作った甲斐子に、律義にC子が問いかける。
「…なぁに…?」
「セックスがッ! 愉しいと思ったこと… なかったのよ~ッッッッ」
*
それはそれなりに新旧女子たちにとって切実な魂の叫びではあったので、場内はしんと静まり返った。
「…えぇ…???」
幸せいっぱい・満月のような臨月まじかの、大きなお腹をかかえた巨乳美人妻は驚いた。
「…だって、甲斐子…。」
B子も眼をまるくする。
「あんた三度の飯より多いくらいの回数で、セックス、してなかったっけ…??」
「…それはッ! イケメンどもが、みんな、なにかっちゃ~ヤリたがるからッ!」
甲斐子は「…くっ!」とか哭いてキラキラ光る涙を振り落として、
大げさなポーズを作った。
「頼まれたら拒まず素直にその場でヤラセテあげるのが、イイ女の条件かな!
とか、思ってたのよ~ッ!!」
あはははは…と、配偶者のある年配の旧女子たちを中心に、力のない笑いがあがった。
「…えぇ~??」
とC子が驚き。
「あ~…。そういうことか…。」
A子が共感した。
「そんであんだけの数の男子とヤリまくってきたって… あるイミ凄ぇサービス精神…」
B子が呆れる。
「さーびすさーびすぅ♪」
だれかがすかさず茶化した。
*