第22話

文字数 892文字

「ミルク、ミタさんを頼む」

「何するき」

白猫のミルクが問いかけるとつぐみの口から信じられない言葉が出た。

「キナさんとアキさんとコタさんとアミーさんの命を奪う」

「つぐみさん、キナ達の命を奪うなんてやめてください」

「健人(けんと)の操りからキナさん達が自由になるには命を奪うしかない」

そう言って玄関につぐみが向かおうとするとミタが立ちはだかった。

「私の命を奪ってから外に出てください」

「あなたの命は奪いたくない、そこ退いてください」

「外に出たいなら私の命を奪ってください」

「……」

無言で水晶の剣をミタに向けると白猫のミルクがつぐみに向かって口を開いた。

「つぐみ、本気じゃないよね」

「……」

「つぐみ」

「つぐみさんに命を奪われるなら私は本望です」

そう言ってミタが左右の目を閉じるとつぐみは水晶の剣でミタの腹を突き刺した。

その後、つぐみが水晶の剣を腹から抜くとミタはうつ伏せで倒れた。

「つぐみ、何てことを」

「心配するな命は奪ってない」

「どういうこと」

「ミタさんの力を奪っただけだ、ミルク、ミタさんを頼む」

そう言ってつぐみがミタの腹を突き刺した水晶の剣を自分の腹に突き刺すと白猫のミルクは驚いた顔で見つめた。

「つぐみー」

白猫のミルクが叫ぶとつぐみの腹に突き刺さった水晶の剣は身体の中に入りつぐみは光に包まれた。

「……」

心配そうな顔で白猫のミルクが見つめると光が消え白いロングコート姿のつぐみが左右の目を閉じたまま現れた。

その後、つぐみは左右の目を開き白猫のミルクはその猫目を見て驚いた。

「つぐみ、その目」

「ミルク、ミタさんを頼む」

そう言ってつぐみはその場から姿を消しキジ猫のキナとロシアンブルーのアキとキジ白猫のコタとスナネコのアミーの前に姿を現した。

ー玄関ー

つぐみにミタを頼まれた白猫のミルクはミタの身体を支えながら寝室に運びベッドに寝かせた。

「大丈夫よね」

ミタを心配そうな顔で見つめながら白猫のミルクが小さな声で口にしたその時、ミタの姿が人間から三毛猫に戻った。

「ミタが三毛猫に戻った」

白猫のミルクが驚く頃、つぐみは健人に操られたキナとアキとコタとアミーに囲まれていた。
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