第27話

文字数 1,057文字

 その次の日
 島田が面会に来た。
「夜鶴。俺も呼べって言ったろー」
「ああ。悪い。弥生さんは来てないだろな?」
 島田はガラス越しに心配してくれている。
 ここはB区だ。
「車に待たしているけど」
「危ないぞ!」
「大丈夫さ。それより、今から首相官邸に行って、首相を殺しに行くぜ」
 私は首を振って、
「やめてくれ……。そんなことをしても意味がない。それより……島田。奈々川さんを頼む」
 島田はちょっと、考えると「おっけー」と言った。
「俺は脱獄をしてみる。一か八かだ」
「ははっ、さっすがそうじゃなきゃいけねーぜ。外は任せろ。俺たちがいる。お前は内側だけ何とかしろ。奈々川さんは首相官邸にいるから、お前を脱獄させてからだな。うひょー、スリルあるぜ。きっと、失敗したら俺と田場さんと津田沼も一緒に重犯罪刑務所入りだな」
 私は一瞬、考えた。けど、怯むことなく、
「ああ……いいとも」
 私は奈々川さんのために頷いた。
「これを持ってけ。じゃあ、準備するから明日の夜な」
 ――――
 トラ箱の中に警察の人に連れられて入る。
 警察の人はこの署内には一人だけだ。後はアンドロイドのノウハウが数体派遣されてきた。治安を改善するために、最初に金の流れるところは、やはりこういったところである。
 昨日から治安に専心している政治になったのだろう。
 夜でも警察の人は交代して一人だけ、後はノウハウだけだ。
 前は少人数の警察の人が寝泊まりしていたようだが。
 警察所は広くはなく。二階建の建物だ。治安が悪いのは前からだが、今からはノウハウが活躍しようとしている。
 トラ箱の中では、
「お飲み物は?」
 ノウハウがぼさばさ頭に食事とコーヒーを与えている。
「あー、いやだねー。飯は不味いとんかつとコーヒーだけってのが。」
 ぼさばさ頭は何だかんだ言って、とんかつを食べ終わりコーヒーを飲んでいる。
「あ、夜鶴さん。百杯目のラーメン貰って来たかい?」
 ぼさぼさ頭が首を向ける。
「いや、無いんだ。」
 私は気分が悪く弱い口調になっていた。
「えー。さっき面会で貰って来たんだと……」
 私はぼさぼさ頭を一瞥してベットに横になった。
「夜鶴 公さん。お食事は?」
 私の隣に来たノウハウがとんかつとコーヒーを持って来た。
 私はいらないと言って、すぐに眠る振りをした。
 ノウハウは厄介だ。
 数体もいるし、銃がないと歯が立たない。島田が何とかしてくれるだろうか?
 ……
 私は夢の中で、野球のエースになっている。
 その格好は青いラインの服で、背番号は良く見えないが、自由を得るために必死になっていた。

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