ねむりのうた

文字数 448文字

持て囃された かの童
祝され深く 愛された
我らが宝と 囃されて
無事健やかに 笑顔晴れ

童の周りは 邪気もなく
生く先々は 考えず
ただただ無邪気に 時が過ぎ
この世は希望 だけと思い

眠る童が 赤くなり
大人たちだけ ただ喚く
二つ失い 何もなく
壊れ壊され 黒くなる

起きた童が 青くなり
大人たちにも なす術なし
一つもないと ただ嘆き
壊れ壊され 堕ちてゆく

成した童の 澱む顔
同じ大人も 同じ顔
何もないと ただ俯き
壊れ壊され 沈みゆく

成した童は 捨てられた
どの大人も 違っていた
得るものなしと ただ沈み
壊れ壊され 渦巻き出す

かの童だけ 壊された
全ての大人は みんな敵
奪われ奪われ みそっかす
朽ちて朽ち果て 壊された

壊れた童 邪に
怨みに満ちて 晴らさんと
事を起こして 指し示す
見捨てられていた この自分
 
死を待つ童 ただただ待つ
恨む世からは 終止符を
己の意志は ただ固く
待てどくらせど 終われない

かの童だけ 捨てられた
されど彼だけに あらざらん
見つけられなかった 同じ意志
黒く成り逝き 混ざりゆく

今生の夜に 別れ告げ
 
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み