退屈なのかな?

文字数 541文字

「ふぁあぁ~」

 最近、眠くて仕方ない。

 どれだけ眠っても、眠気が醒めないのだ。

 だから、欠伸も止まらない。

「ふぁぁあぁぁ~~」

 今はデート中。

 だが、決して退屈している訳ではない。

 単に、眠たいだけなのだ。

「ふぁぁぁあぁぁぁ~~~」

 何回目かの欠伸をした瞬間、気配を感じる。

 口を閉じない様に気を付けながら薄め目を開けると、何と俺の口に 指が突っ込まれていた。

 横を歩いていた筈の曜子が、いつの間に前に回って 腕を伸ばしていたのだ。

 俺は、静かに口を閉じる。

 曜子の人差し指の第一関節を甘噛し、舌で指の腹を舐めたのだ。

 軽く歪む、曜子の表情。

 少し満足し、指が引き抜かれる前提で 軽く口を開ける。

 ところが、指は引き抜かれなかった。

 あろう事か、さらに深く入って来たのだ。

 素早く曜子は、頬を親指と中指で挟み、俺の口を 半開きの状態で固定した。

「─ あわわわ」

「僕ちゃんは…私とのデートが 退屈なのかな?」

 頭を左右に振って否定する。

「じゃあ、デート中に大欠伸を連発するの 止めようか」

 大きく頷く俺。

 頬を挟む 曜子の指の力が緩む。

「よろしい♡」

 満足そうに、手を引っ込めた。

 いそいそと隣の定位置に移動した曜子は、僕の腕にしなだれかかり 微笑む。

「じゃあ、デートを続けましょ♪」
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