第23話 まこと
文字数 1,408文字
【洋介の話】
嘘をついているわけじゃないけど、本当の事はまだ内緒。
別に意地悪でも何でもないんだけど、それを知って遠巻きにされるのは寂しいし。
それに俺の正体を知らなくたって特に支障はないし!
そんな感じにのらりくらりと躱しながらきたけど、そろそろそれも難しいかも。
あーあ、残念。
そんなことを思いつつ、俺は捕らえていた裏切り者の元へとやってきた。
SF映画に出てくる研究室みたいな部屋の中に男が一人座っている。真っ白い壁に囲まれていて窓がないように見えるけど、実は一部分だけマジックミラーになっていて、部屋の外から中の様子が見える。あやかしが最新設備を使ってるなんて、誰も思わないだろうなー。でも、俺は使えるものは使う主義なんだよねー。
十畳くらいの広さがあるのに、中央に置かれた椅子だけがこの部屋にある唯一の家具だ。
そこに座って項垂れている男は、意識がないように見える。
「はいはーい、起きてくれるー?」
マジックミラーの向こうで俺が話す声は、男のいる部屋のスピーカーからも聞こえる。俺の声に導かれるように、ノロノロとした動きで男は顔をあげた。目の焦点は合っていないし、これでは正常な判断ができるかも怪しい。でも、限界までやっちゃってって言ったのは俺だからなー。
どうしたもんかと唸りつつ、俺は男のいる部屋の中に入ることにした。面倒だけど、直接頭をいじったほうが早そうだし。
男に近付いてもほとんど反応がない。口を割らせるために精神的にも肉体的にも限界まで苦痛を与えてるもんね。でも、お気に入りの子たちにちょっかい出されるのは嫌いだし、ましてや道具のように使おうと近付くなんて許されないよねー。そんなことしたくせにまだ命があるなんてマシな待遇でしょ。
頬を軽く叩いてやると少しだけ目に正気が戻る。そして、目の前にいるのが俺だとわかった瞬間、目に恐怖が宿り、男の体は震え出した。
「へー、怖がるってことは意識もちゃんとしてるってことだよね。それなら、知ってることは全部吐こうか」
「し、知らない……んです」
「まさかー。それがまことだと誰が信じるわけ?」
「でも、知らないものは知らないって……ぐっ!」
思わず、前髪掴んで目を合わせちゃったよね。視線があった瞬間、男は白目を剥いて泡を吹き始めた。本当に知らないのかもしれないけど、それは免罪符にならないし。
ちょっと精神に強めに刺激を与えただけだから、死にはしないだろうけど、まる一日くらいは意識が戻らないかもしれないな。余計な仕事増やしてくれたお仕置きだよ。もうさ、うちの組織に属しているくせに、他に尻尾降ってもらっちゃ困るし余計なことされるのは大迷惑なんだよね。周りにも示しがつかないし。今後こういうことがないようにするためにも、しっかりしないといけない。
さてと、この間に、綾ちゃんと一緒に人間の方と話をつけに行けばいいか。
俺は男の見張りをこれまで通りにしておくことを告げて部屋を後にする。
さっさとこの問題を解決して、俺はのんびり学校生活送りたいんだよねー。お気に入りの子たちを眺めつつ楽しい学校生活を送るのを夢見て、わざわざ学校に通いはじめたというのに。
そのためには少しの間頑張らないとな。
学校の理事長としても、俺の学校で好き勝手されるのは許せないし。
でも本当に面倒くさいの嫌いなんだけどなーとぼやきつつ、綾ちゃんのとの待ち合わせ場所に向かうのだった。
嘘をついているわけじゃないけど、本当の事はまだ内緒。
別に意地悪でも何でもないんだけど、それを知って遠巻きにされるのは寂しいし。
それに俺の正体を知らなくたって特に支障はないし!
そんな感じにのらりくらりと躱しながらきたけど、そろそろそれも難しいかも。
あーあ、残念。
そんなことを思いつつ、俺は捕らえていた裏切り者の元へとやってきた。
SF映画に出てくる研究室みたいな部屋の中に男が一人座っている。真っ白い壁に囲まれていて窓がないように見えるけど、実は一部分だけマジックミラーになっていて、部屋の外から中の様子が見える。あやかしが最新設備を使ってるなんて、誰も思わないだろうなー。でも、俺は使えるものは使う主義なんだよねー。
十畳くらいの広さがあるのに、中央に置かれた椅子だけがこの部屋にある唯一の家具だ。
そこに座って項垂れている男は、意識がないように見える。
「はいはーい、起きてくれるー?」
マジックミラーの向こうで俺が話す声は、男のいる部屋のスピーカーからも聞こえる。俺の声に導かれるように、ノロノロとした動きで男は顔をあげた。目の焦点は合っていないし、これでは正常な判断ができるかも怪しい。でも、限界までやっちゃってって言ったのは俺だからなー。
どうしたもんかと唸りつつ、俺は男のいる部屋の中に入ることにした。面倒だけど、直接頭をいじったほうが早そうだし。
男に近付いてもほとんど反応がない。口を割らせるために精神的にも肉体的にも限界まで苦痛を与えてるもんね。でも、お気に入りの子たちにちょっかい出されるのは嫌いだし、ましてや道具のように使おうと近付くなんて許されないよねー。そんなことしたくせにまだ命があるなんてマシな待遇でしょ。
頬を軽く叩いてやると少しだけ目に正気が戻る。そして、目の前にいるのが俺だとわかった瞬間、目に恐怖が宿り、男の体は震え出した。
「へー、怖がるってことは意識もちゃんとしてるってことだよね。それなら、知ってることは全部吐こうか」
「し、知らない……んです」
「まさかー。それがまことだと誰が信じるわけ?」
「でも、知らないものは知らないって……ぐっ!」
思わず、前髪掴んで目を合わせちゃったよね。視線があった瞬間、男は白目を剥いて泡を吹き始めた。本当に知らないのかもしれないけど、それは免罪符にならないし。
ちょっと精神に強めに刺激を与えただけだから、死にはしないだろうけど、まる一日くらいは意識が戻らないかもしれないな。余計な仕事増やしてくれたお仕置きだよ。もうさ、うちの組織に属しているくせに、他に尻尾降ってもらっちゃ困るし余計なことされるのは大迷惑なんだよね。周りにも示しがつかないし。今後こういうことがないようにするためにも、しっかりしないといけない。
さてと、この間に、綾ちゃんと一緒に人間の方と話をつけに行けばいいか。
俺は男の見張りをこれまで通りにしておくことを告げて部屋を後にする。
さっさとこの問題を解決して、俺はのんびり学校生活送りたいんだよねー。お気に入りの子たちを眺めつつ楽しい学校生活を送るのを夢見て、わざわざ学校に通いはじめたというのに。
そのためには少しの間頑張らないとな。
学校の理事長としても、俺の学校で好き勝手されるのは許せないし。
でも本当に面倒くさいの嫌いなんだけどなーとぼやきつつ、綾ちゃんのとの待ち合わせ場所に向かうのだった。