第1話

文字数 276文字

姉の義理の母親は「京都の女」である。
別にディスっているのではない。実際に、京都に住んでおられるのである。
その久木美津子さんは毎年のお中元お歳暮を欠かさない。別にいいのに、わが谷田家にも送ってくるのである。そのバリエーションはこうだ。

①鉢植えのランの花
②京都のおいしい漬物
③伊勢丹の「PIERRE HERMÉ PARIS」のソルベ(夏)か、マカロン(冬)

姉が結婚した年の夏、最初に来たのは①だった。
谷田家はおよそ花とは無縁の家だ。ランの花が届いたとき、彩未は母親と言ったものだ。

「花なんかいらないよねえ。食べ物とかのほうがいいのに」
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