片隅にある世界

文字数 277文字

 でもまた、ぼくはこんなことも考えたんだ。ぼくはこの誰も知らないような地球の端っこの町に住んでいて、しかも3万人少ししか人口のない土地に、23年ほど暮らしているけど、実のところぼくが接したことがある住人といったら多くみても300人くらいのものだろう。見たことすらない人たちのほうが多いにちがいない。
 ぼくはこの町のことをなにも知らないに等しい。
 もしかしたら、たいていの家庭の天井には、いまぼくが見ている(あるいはぼくを見おろしている)おっさんのようなのが存在しているのかもしれないってね。
 あたりまえすぎて、誰も話題にしないだけのことなのかもしれない。
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