第1話

文字数 1,362文字

最大多数の最大幸福

私はコミュニストではない
しかし 今の時代 多くの人が
共産主義にシンパシーを抱くだろう
貧困と格差 戦争や紛争 環境破壊
温暖化などを生み出している凶悪な資本主義
のもとでグローバル経済が世界を呑み込んで
しまっている現状に対してこれでいいのだと
思ている人はその利益に与っている
ごく少数者以外 誰もいないだろう
今の資本主義は人類を不幸にするための
暴力的な装置と化していてこのシステムの下では
人類は早晩 滅亡せざるを得ないであろう
それでは共産主義が正しいのかというと
これにも疑問を持たざるを得ない
何よりも今まで存在した共産主義国家は
ほぼ例外なく独裁に陥り粛清の嵐が起こり
国民を監視し言論の自由を封殺し
大量虐殺を引き起こすおぞましいものだった 

「最大多数の最大幸福」
これはイギリスの功利主義思想家
ベンサムの有名な言葉である
つまるところのこの原理こそが政治や経済の
根本的な出発点ではないだろうかと思う
できるだけ多くの人ができるたけ多くの幸福
に与ることが政治と経済の要諦であり
政府の仕事はこのことを実現するためにある
幸福とは何かという問いもあるだろうが
ここでは「健康で文化的な最低限の生活」
つまり生存権をできるだけ多くの人に
保障するということがまず第一に必要である
それが土台となって国民はさらに自分にとって
ふさわしい幸福実現に努力することができるのだ
まず経済的な安定 暮らしの保証があってこそ
初めて人はより高い人間的な生き方を追求できるのだ
「恒産なきものは恒心なし」
今のように一部の人に富が集中し多くの国民が
生活のために悲鳴をあげている社会では
生存権などと言っても絵にかいた餅となってしまう
ベンサムの弟子筋であるJ.Sミルの言うところの
幸福の質が問題になるのは次の段階においてである

今の社会は「最小少数の最大幸福」 つまり
ごく一部の人間だけが富だけではなく
あらゆる社会のルールや制度を独占し
社会を私物化し乗っ取っている状態である
これは著しく不正義でありこの制度の下では
国民のほとんどの生存権が保障されず
人間として当然保障されるべき最低限の生活も
脅かされるという危機的な状況に陥らざるを得ない
アリストテレスが言う正義とは何よりも
公平さと平等のことであり それが最も
担保されていないのが現在の状況なのだ

「最大多数の最大幸福」を実現するためには
どのような社会システム 
政治と経済のあり方が必要とされるのか 
それを考えることが私たちの義務ではないだろうか
未来の世代に対して 今の世界とは別の
戦争も飢えもない穏やかな社会を贈るために


ファンレターさまの紹介

 イーハトーブヘ~永遠の願い~
真っ先に、TamTam2021さんが2021年7月に投稿された作品『世界がぜんたいイーハトーブヘ』が思い浮かび読み返しました。そしてその他の作品にも共通して時折触れているTamTam2021さんの、1本のまっすぐに通った樹木にも似た信念を感じました。宮沢賢治の言葉「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」まさに今、世界はこの考え方を実現化するべき時が来ているのだとTamTam2021さんの意見に深く頷きました。ごく一部の富裕層だけが良い思いをしている世の中では、近い将来に必ずが綻びが生じて、この富裕層も身を滅ぼすことでしょう。


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