第13話 国家公務員試験
文字数 1,557文字
そして迎えた大学4年の4月。
国家公務員試験には第一線で国家を支える『 国家総合職』と中央省庁の本庁や出先機関に採用され、国の仕事に従事する『国家一般職』がある。
もちろん目指しているのは『国家総合職』。
試験はとても難しく、人物重視。国レベルのスケールの大きな仕事が魅力である。
いよいよ『国家総合職』の試験日となった。
帰宅すると
「難しくて自信がない。」と部屋にこもってしまった。
2週間後、結果がでる。
不合格だった。
勇気づけようと母と娘でご飯を食べに中華街へ行った。
『国家一般職』試験が残っているから頑張って受けようと励ましたが、娘は受けないという。
『国家一般職』試験を受けない、就活も時期的に終わってる。
「じゃあ何するの」と聞く。
「私デザイン学校へ行きたい。」
娘のふわふわとした綿飴のような心変わりに私は巻き込まれるのである。
いい加減腹が立った。
私は黙っている性格ではない。
だったら公立中学でもよかったし、今までの2回の受験はなんだったの。
「今までのお金全部返して、私に失礼でしょ!」と怒鳴った。
下品だと思ったが、言ってしまった。
親の夢を壊したから。
親の思い通りにならなかったから。
娘の本当の夢を応援するのが親なのか。
私ができなかったことを娘に背負わせているのか。
と言われればそうかもしれない。
きっと力はついているはずのなのに、ここで諦めたら今までの努力がもったいないと思った。
誰になんと言われようが、これだけは絶対に首を縦には振らなかった。
母も私の気持ちをよく理解してくれ、代弁してくれた。
とうとう娘は泣き出し、せっかくの中華料理も冷めてしまった。
暗い気持ちで中華料理屋を後にする。
すると母が言った。
「あそこにある占いで占ってもらわない?」
どうするか占いに賭けてみようよと言う。
娘は渋々ついていった。
私は後ろから眺めていた。
私の母と娘は前のめりで手相をみてもらった。
そして、進路に悩んでいることを伝えた。
詳しくは伝えていない。法学部だとも言っていない。
新しくやろうとしている夢と、今まで追いかけてた夢どちらがいいか。
占い師は6,70代の男性。
私は離れた席で手を握りしめ、おじさんへ念を送った。
これでもしかしたら娘の運命が変わるかもしない。
即答で、「今までの夢を追うべき」と言われた。
心の中で「よし!」と叫んだ。
娘は時間たっぷり話を聞いてもらえて満足げだった。
母は支払いの際、通常の倍の金額を占い師にそっと置いてきた。
こうやって娘の小さな反乱は占い師の手によって阻止できた。
「明日から『国家一般職』試験の勉強頑張らなきゃ」
「私って第一志望には受からないけど第二志望は行けそうな気がする」
などと冗談まで言えるようになった。
さっきまで泣いていたくせに。
ことごとく気分屋の娘に振り回されるのである。
そして迎えた6月の『国家一般職』試験日。
やることはやった、あとは結果を待つのみと冷静だった。
結果はなんと2ヶ月後の8月半ば。
あとの2ヶ月では就活できないし、祈るしかなかった。
結果発表の日がきた。
なんと合格。
驚いた。娘が国家公務員試験一般職に合格したのだ。
夜から○○省や○○省からお誘いの電話がかかってくる。
これから省庁訪問があり、自分の希望の省庁へ面接しなければ決まらない。
ここから先は内部のことなので話すことはできないが、一つの省庁に内定が決まった。
家族みんなで喜び涙した。
ここまでくるのに本当によく頑張った。
娘と二人三脚で走り続けた22年間は長くそして密度の濃いものとなった。
無事卒業を迎え、袴を着た。
3歳、7歳、成人式と節目に着物を着て、その度にこれはどうか、髪はどうする、着付けはどうすると楽しかったが、一緒にやるのはこれが最後。
結婚式があるとすれば、隣にいる旦那さんと相談して決めるはず。
母親の出る幕はないだろう。
国家公務員試験には第一線で国家を支える『 国家総合職』と中央省庁の本庁や出先機関に採用され、国の仕事に従事する『国家一般職』がある。
もちろん目指しているのは『国家総合職』。
試験はとても難しく、人物重視。国レベルのスケールの大きな仕事が魅力である。
いよいよ『国家総合職』の試験日となった。
帰宅すると
「難しくて自信がない。」と部屋にこもってしまった。
2週間後、結果がでる。
不合格だった。
勇気づけようと母と娘でご飯を食べに中華街へ行った。
『国家一般職』試験が残っているから頑張って受けようと励ましたが、娘は受けないという。
『国家一般職』試験を受けない、就活も時期的に終わってる。
「じゃあ何するの」と聞く。
「私デザイン学校へ行きたい。」
娘のふわふわとした綿飴のような心変わりに私は巻き込まれるのである。
いい加減腹が立った。
私は黙っている性格ではない。
だったら公立中学でもよかったし、今までの2回の受験はなんだったの。
「今までのお金全部返して、私に失礼でしょ!」と怒鳴った。
下品だと思ったが、言ってしまった。
親の夢を壊したから。
親の思い通りにならなかったから。
娘の本当の夢を応援するのが親なのか。
私ができなかったことを娘に背負わせているのか。
と言われればそうかもしれない。
きっと力はついているはずのなのに、ここで諦めたら今までの努力がもったいないと思った。
誰になんと言われようが、これだけは絶対に首を縦には振らなかった。
母も私の気持ちをよく理解してくれ、代弁してくれた。
とうとう娘は泣き出し、せっかくの中華料理も冷めてしまった。
暗い気持ちで中華料理屋を後にする。
すると母が言った。
「あそこにある占いで占ってもらわない?」
どうするか占いに賭けてみようよと言う。
娘は渋々ついていった。
私は後ろから眺めていた。
私の母と娘は前のめりで手相をみてもらった。
そして、進路に悩んでいることを伝えた。
詳しくは伝えていない。法学部だとも言っていない。
新しくやろうとしている夢と、今まで追いかけてた夢どちらがいいか。
占い師は6,70代の男性。
私は離れた席で手を握りしめ、おじさんへ念を送った。
これでもしかしたら娘の運命が変わるかもしない。
即答で、「今までの夢を追うべき」と言われた。
心の中で「よし!」と叫んだ。
娘は時間たっぷり話を聞いてもらえて満足げだった。
母は支払いの際、通常の倍の金額を占い師にそっと置いてきた。
こうやって娘の小さな反乱は占い師の手によって阻止できた。
「明日から『国家一般職』試験の勉強頑張らなきゃ」
「私って第一志望には受からないけど第二志望は行けそうな気がする」
などと冗談まで言えるようになった。
さっきまで泣いていたくせに。
ことごとく気分屋の娘に振り回されるのである。
そして迎えた6月の『国家一般職』試験日。
やることはやった、あとは結果を待つのみと冷静だった。
結果はなんと2ヶ月後の8月半ば。
あとの2ヶ月では就活できないし、祈るしかなかった。
結果発表の日がきた。
なんと合格。
驚いた。娘が国家公務員試験一般職に合格したのだ。
夜から○○省や○○省からお誘いの電話がかかってくる。
これから省庁訪問があり、自分の希望の省庁へ面接しなければ決まらない。
ここから先は内部のことなので話すことはできないが、一つの省庁に内定が決まった。
家族みんなで喜び涙した。
ここまでくるのに本当によく頑張った。
娘と二人三脚で走り続けた22年間は長くそして密度の濃いものとなった。
無事卒業を迎え、袴を着た。
3歳、7歳、成人式と節目に着物を着て、その度にこれはどうか、髪はどうする、着付けはどうすると楽しかったが、一緒にやるのはこれが最後。
結婚式があるとすれば、隣にいる旦那さんと相談して決めるはず。
母親の出る幕はないだろう。