第1話

文字数 847文字

 世界中が新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の対応に追われ、てんてこ舞いである。未知の感染症との戦いは、国を超えて人類が直面する大問題になっている。
 この原稿を書いている時点(2020年4月)では、山形県では新型コロナウイルスの感染は報告されていないが、それでも山形県庄内地方の一病院である当院にも毎日メールで厚生労働省や山形県庁、日本医師会、山形県医師会、酒田医師会、庄内保健所、日本病院協会などから通達やマニュアルが、昼夜を問わずバンバン送られてくる。その都度、印刷して資料とするが、既に書類の厚さは10㎝を超え、ファイルが2冊目に突入した。これが実際に感染者が出た時のことを想像すると、頭が痛い。
 困ったことにその書類の文書がやたらと長い。厚生労働省健康局からのある通達の表題が、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等における新型コロナウイルス感染症に関する流行地域について」では、タイトルを読むだけで本文を読む気力が萎える。
 感染症の広がりを国としてどう対応するかは、戦争などの有事の際の、国の危機管理能力を反映するらしい。国内感染を制御することは、国家にとって戦時の対応と同じ位、重要な非常事態なのだ。こんな時の通達や書類の文書は短い方がいいと思う。
 私は戦争を体験していないし、戦争を美化もしないが、非常事態の時こそ言葉は簡潔で間違いなく伝わるのがいいと思う。「前へ進め」「止まれ」「休め」「右向け右」「了解」…。私は外科医だが、外科手術でも似たような緊張状態だ。「メス」、「ガーゼ」、「鑷子(せっし)」、「結紮、3-0絹糸」…と手術は無駄なく進んでいく。
 一日も早い新型コロナウイルス感染症の「終息宣言」が待ち遠しい。

 さて写真は、2019年5月の田植え直後に撮影した、鳥海山、羽越本線特急「いなほ」、そして水鏡である。

 庄内の生命力を感じる一番いい時期だと大いに気に入っている。
 んだんだ!
(2020年5月)
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