1日目 (4)

文字数 503文字

 太陽はみるみるうちに真上まで昇り、公園にいた人々も昼食をとりに行ったのか、いつの間にか人影はなくなっていた。
 ぽつん、という言い方が正しいようなこの状況で、俺は左手首に着けていた腕時計を見てため息をついた。

 待ち合わせ時間は、もうとうに過ぎてしまっている。
 昨日まで来ていた彼は、いったいどうしたというのだろうか。

 真面目で、背の低い坊主頭の男の子の姿を思い浮かべながら、これ以上は待っていても仕方がないかもしれない、と思いつつあった。

 きっと、ここに来られない理由が出来たのだろう。
 例えば、留守番や買い物、両親の勝手な都合による夏休みの予定、宿題など。あげていけば、きりがない。
 それならば、仕方がない。
 そう思って立ち上がろうとしたが、体は重く、動けなかった。

 例えば、事故にでもあっていたとした?

 あのお供え物を思い出し、一瞬嫌な予感がしたが、それをすぐに否定した。
 大家さんは、「前に」と言ったのだ。それはつまり、昨日、よりももっと前のことを指しているはずだ。

 俺はそう確信している。
 でも、あと少しだけ、そう思って足を組み、もう少しだけ待つことにした。
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