1日目 (1)

文字数 506文字

 アブラゼミのけたたましい声と、常識外れの室温に目を覚ました。
 こんなに暑い部屋で寝ていたせいだろうか、高校3年の、あの記憶を見てしまった。
 出来れば、思い出したくもない。
 寝返りをうち、ため息をついた。

 アブラゼミの鳴き声だけが、がしゃがしゃ、と騒がしく、だんだんと脳が覚醒を始める。
いつの間にか、まどろみはどこにもなくなり、どうしようもない喉の乾きと、体のだるさが主張して、気分の悪さから一つ、咳をした。

 あまりの暑さで、昨晩はクーラーのタイマーをつけて眠ったが、今後はタイマーを設定せずに眠ってしまおうか、と布団に横になったまま思考する。

 でも、電気代がなぁ、と思って安易に行動に移しづらいことを知る。

 ずきん。

 頭痛がして、こめかみを押さえながら、立ち上がり、キッチンへ向かう。
 昨晩洗って伏せておいたコップが目に入り、水をくんで喉を潤す。

 熱中症だろうか。
 これは、命の危険かもしれない。

 すぐさま脳内会議に、今後のクーラー使い方と、節約すべきことについての議題を提出するべきだろう。
 一息ついた頃には、どうしようもなかった体のだるさが薄まったような気がした。
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