第34話 オ・パーイの戦士

文字数 726文字

 それで構わないぜ、とセイヤは言った。
 リンカ・オ・パーイは「そうですか」と言い、セイヤから受け取った霊気箱のフタを開けた。
 中から佐藤賢一の霊が出てきた。

「ここは……『転生の間』ですか?」佐藤が聞いた。
「ええ、佐藤さんはエレメントの状態のまま外気に触れてしまったので、しばらく慰霊をする必要があるわ。慰霊は私がしてあげるから、佐藤さんはしばらくこの『転生の間』にいてください」
「佐藤さんというのは、幽霊のことか? 俺には見えないのだが」
「そうね、あなたは異世界に行くために一時的に実体化させたから、エレメントは見えないはずだわ」

 セイヤにはそのへんの理屈はよくわからなかったが、佐藤のことはどうでも良い。
 それより早く元の世界に戻りたいと思った。

「俺を元の世界に戻してくれ」
「わかったわ、しかし、何かお礼をしなくちゃ」
「礼なんていらない」
「そうだわ! ファルコンを一個あげる!」
「ファルコン?」

 セイヤはリンカ・オ・パーイから何か柔らかいものを受け取った。

「これは?」
「そのファルコンは男女兼用だから大丈夫よ」
「男女兼用? ていうかファルコンとは?」
「生命型兵器よ オ・パーイって言ってみて」
「おっぱい?」

 セイヤが「おっぱい」と言うと、そのファルコンはセイヤの胸に装着された。
 そして巨大化し、セイヤの上着が破裂した。
 セイヤの大胸筋がムキムキの超マッチョになったのである。

「正しくはオ・パーイよ、おっぱいでもいいけど。ファルコンの使い方のマニュアルを渡しておくから、後で読んでね。これであなたもオ・パーイの戦士よ!」

 リンカ・オ・パーイは、セイヤにファルコンのマニュアルを渡した。
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