第4話

文字数 433文字

渚の音が、わたしを揺らす
わたしは恥ずかしくって、我慢するんだ
渚の音の、微かな空気の震えに
わたしは大きく揺れそうになる
わたしは若葉
海を覗き込む森の、端っこの木の
わたしが揺れたらその枝の、少し手前についてる木の葉も揺れる
色付いた、枯れかけの木の葉
あんまり揺れたら落ちちゃうかも
だからわたしは我慢する
渚の音を受け止めて
ほんとはもっと揺れたいよ
大きく大きく揺れたいよ


わたしのママ、森野このは。
わたしの2倍半生きて、そのぶんの恋をしていない。
わたしのせいかな?
だからわたしは恋をする。
全速力で、恋をするんだ。
きっとわたしは、ママに似てるから。
杉田渚音、覚悟!
なーんて、また会えたら何にも言えないんだろうな。
ここで夢の不感症のまま、痛い目に遭うまで恋だ。
恋恋恋来い池の鯉。
まな板の上の鯉にだって、なっちゃう。
しょおんくん、お好きな様に。
あっちはそんなの全然知らない。
だけど、恋してるわたしはかわいい。
そんな自分が大好き。

ママ、恋をしなさい。
かわいいママ、もっとかわいくなるから。
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