記念日の夜 後編
文字数 1,064文字
やっぱり。
やっぱり俺たちは通じ合ってるんだ。
きっと、幸せになれる。
彼女は、また、少し目を伏せた。
俺は心臓の音が周りに聞こえるんじゃないかっていうくらい緊張していた。
お互いが緊張しているのが分かる。
彼女は黙り込んでしまった。
今だ。俺が言うしかない。
彼女のまっすぐな目。この目をしてる彼女には逆らえない。
いつもサバサバしている彼女が、やっぱり今日は歯切れが悪い。
最後。そう。今日は俺たちの、独身最後の日。
急に、店内が暗闇に包まれた。
いつも冷静な彼女だが、さすがにこれは驚いたようだ。
周りのお客さんたちもざわつき始める。
でも、これは、きっと…。
突然明かりがつくと、そこにはデザートを手にしたウェイターが立っていた。
サプライズと言ってもここまでしてくれるとは。
やっぱり高いお金を払う価値もあるってもんだな。
ウェイターは俺が頼んでいた指輪を差し出した。
彼女の答えは、…