第1話

文字数 1,415文字

現代詩の自殺

現代詩というのは とにかく
ワケが分らぬように書かなければ
現代詩とは認められないようである
現代詩と銘打つものはどれもこれも 
みな 意味不明な妄想か幻覚の断片にしか
思えないような空疎な言葉の羅列で
そこにこそ現代詩の意義や芸術性がある
とする何とも倒錯した代物になっている
そして 後に続く者もそれをお手本にして
書かなければ誰も選んでくれないので
小論文の受験生のように必死に傾向と対策に励み
ご選者様の御意向に忖度し模範解答通りに書いて
少しでも認められようとしている
これはまるで例の「裸の王様」ではないか
何の意味も価値もない空疎な言葉の羅列を
これこそ芸術だ 現代詩だと周囲の者だけが
崇めているが傍から見ればそこには何もない
ごく一部の読者以外 誰も読まない現代詩
何十年も前からこんなことを続けているが
いつになったらこんな裸の王様ごっこを
やめるつもりなのだろうか

詩など誰も読まない
どの本屋にも詩集など置いていない
こうなった責任の多くは「現代詩」にあると思う
読者を拒絶し小さなタコつぼの中で身内と
関係者だけで狭い世界に閉じこもって
自閉的に自足してきたのが「現代詩」だ
そうしているうちに詩そのものが
誰からも見放され 詩というだけで
顔をしかめられ あるいは妙な薄ら笑い
をされるようになってしまった
私はこのことを現代詩の自殺と呼びたい

本来 詩というのは文学の精鋭ではないか
小説などよりも最も文学的なのが詩ではないか
隣の韓国では詩集はふつうに本屋で
ベストセラーになるというではないか
例えば 谷川俊太郎のような詩人がこの国に
もっと もっと たくさんいなければならない
谷川俊太郎のように詩だけで食べて行ける
職業詩人がこの国にふつうにいなければ困る
日本で今 詩を書いている人といえば
タコつぼ詩人の他は趣味で書いている素人の
老人とかが多いように思えるが 
彼らの作品にはとうてい商品価値など皆無だ
商品価値といえば語弊があるが読者に金を
出して読んでもらえるような努力をしている
詩人がこの国にどれだけいるだろうか
要は他者に読んでもらえるだけの配慮や
技量を磨く努力をしている詩人がいるのか

詩というものは本来すばらしいものだ
そこには伸びやかで人間らしい叫びが
爽やかに飛び交っていた
そして 今 その詩がこの国で
死に絶えようとしている
そこには この国の精神的な危機が
くっきりと映し出されている

詩をまったく読まなくなった国民に
未来などあるのだろうか
詩は 本来 人間そのもの 
命そのものではないのか


ファンレターさまの紹介

まるで謎解きゲーム

私も現代詩は難解で、いくら読んでも心に染み込まず、妄想や幻覚の世界を強制的に見せられているような違和感がありました。これが流行りで、この世界の面白さが解らないのは読み方が足りないのだと批判され、取り残されているような気持ちにさせられ、寝覚めの悪さを覚えます。これではまるで謎解きゲームです。こういう詩を好む方々には楽しいゲームなのでしょう。しかし私にはこれらの詩が良いとは思えないのです。昔ながらの心に優しく染み込む詩。時には心の琴線に触れ、思わず涙が溢れる詩が好きなのです。詩は音楽と同じだと思います。ストレートに心に響き、その人の生きる糧となる詩が本当に優れた詩なのではないかと思うのです。こういった詩は現代詩に押され気味かも知れませんが、なくならないで欲しいです。軽視されることがないよう、大切に守って行きたいなと思いました。
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