第1話

文字数 916文字

数年前N子の運命の相手の俺にそっくりな地球外生命隊が太陽系以外の銀河の彼方からはるばるやってきた。
その宇宙人の望みはどうやら俺とN子の縁談をめちゃくちゃにしたいらしい。そいつは地球についてすぐ戸籍等を作り完全に地球に存在する1人になりN子と同じ職場に就職することにした。宇宙人のくせにスーツなんか着て不審に思われないような面接をしてまんまと面接官を騙して合格したのである。それから間も無くN子とその宇宙人は(片方は意図的に)出会い、彼女を十分に楽しませて完全に信頼を勝ち取ったのである。こう考えると地球外生命体もなかなか遣り手である。いい加減その性やら二極化の世界から脱出したい気もするが、まさか他の銀河レベルでこれが採用されるとは私も驚いた。
 話を戻すと程なくして彼らは恋人同士になりしばらくは幸せに過ごしていた。 
そう、俺がそこに就職する数ヶ月前までは。
 彼らが別れる少し前にその地球外生命体は今までの態度とはすっかり変わりN子に対して怒鳴ったり罵ったりするようになった。だんだん彼女らの関係は悪化してN子は本気でその宇宙人に好意を寄せていたがだんだん気持ちが離れていってしまった。一方でその宇宙人はというとしめしめ、すべて計画通りである。数ヶ月後に現れるその宇宙人と同じ見た目をした人間に不幸を与えるため、このプランを遂行してきたのだから。そいつは彼女を傷つける時にその宇宙人も同様に傷ついたのかは分からない。ただ宇宙人はN子から愛を与えられるたびに喜び本来の目的を忘れて洗脳させられてしまうことが度々あった。全く、恋愛とは洗脳の領域まで入って人を馬鹿にする感情である。街を見てみなさい。外でいちゃついている恋人はまさに当事者だけの空間にいる。本来人は個と他の配列を考え生きていく空間であるがある関係の個と他が個になった時その他の視点に対するキャパがオーバーするのか分からないが個で固まり結果アホになるのだと思う。街の景観に愛し合う人間は映えるものであるから私は嫌いじゃないが。さて、さまざまな場所でアホな記憶を書き換えたN子と宇宙人は数多の喧嘩の末、いよいよ別れる事となった。お互いもう会うことはない。本気でそう思っていた。
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