ヤドナシ

文字数 3,154文字

ヤドナシさんの執筆スペースはここになります!

イタズラすると取り憑かれますよ!!

おや、おかしいですね……さっきまで穏やかな天気だったのに、急に寒気がしてきました。雪でも降るのでしょうか?
そこのあなた、待ちなさい!
んっ? このかわいらしい声は……?
かっ、かわいらしいとか……! 急にそんなこと言っても優しくしたりしないわよ!
はて、以前会った知り合いというわけでもなさそうですが……放課後に何か私に用でしょうか?
どうやらこの私を知らないみたいね。あなた、引っ越してきたばかりの転校生ってところかしら?
そうですが? そういうあなたは?
見て分からないの! 先輩よ、先輩! 制服のリボンの色が違うでしょうが!
それは失礼いたしました……私はこのとおり目が見えないので……。
えっ……そっ、そうなの? ごめんなさい。スタスタ歩いてるから全然気づかなくて……
日頃の訓練の賜物ですよ。歩くのにも不自由では剣術を磨くのに道場へも通えませんから。
けっ、剣術!?……やっぱり私の目に狂いはなかったわね。あなたからは只者じゃない雰囲気を感じてたのよ!
そういうあなたからも、さっきから戦いたいという欲求がひしひしと伝わってきます……この私と一線交えたいということでしょうか?
ええそうよ! この学校の生徒とはみんな戦い尽くしてしまったわ。先輩も後輩も私と戦ったことのない人なんていない。同級生に至っては私が誘っても、もう相手にしてもらえないくらい……。
それはそれは……武道を極めようとする者として、戦う相手がいないのは放っておけません。何より私自身、転校してきたばかりで対戦する相手がおらず暇してたんですよ。
どうやら、お互い目的が一致してるみたいね。どう? これから私のフィールドで戦ってみる気、ある? 私は剣術は全くできないけれど、これでも魔人なの。剣相手に手ぶらでも相手できるわよ。
なるほど……相当自信がおありのようですね。魔人ということなら手加減することも……いえ、先輩相手にこんな言い方は失礼ですね。久々に全力でぶつからせていただきます!
そうこなくっちゃ! 私も目の見えない後輩だからって手加減しないわよ! はあっ!
むっ……周りの気温が一気に低くなった? それにこの足元の感触……頰に当たる冷たくて柔らかい粒……これは……雪?
そのとおり! 私の能力は辺り一面を雪景色にする能力! 雪を降らせるのも雹を降らせるのもお手の物よ!
ということは……この勝負、もしや雪合戦?
ふふふ……今更気がついて慌てたからしら? 剣で戦うあなたにとって、遠くから雪玉を投げつけてくる相手、なかなか厄介でしょう……降参するなら今のうちよ。
そうきましたか……これは腕がなりますね。先ほど宣言したとおり、私も本気でお相手しましょう! はあっ!
なっ……その刀! 真剣じゃない!?
そりゃそうです。私は居合いを習ってるんですから……ちゃんと許可証を携帯していれば真剣を持ち歩くことくらいできるんですよ。
まっ……まあ、真剣と言ったって遠距離攻撃相手に近距離戦しかできないあなたが不利なことに変わりはないわ! さあ、行くわよ! 覚悟しなさい!
なっ……四方八方から雪玉の飛んでくる気配! 一度にこれだけの雪玉を一瞬で作るなんて信じられない!
言ったでしょう、私は魔人……瞬時に雪玉の嵐を降らせるなんてわけないのよ。喰らいなさい……ヒエピタラッシュ!
くっ……はぁあああ!
えっ……そんな! 見えないはずなのに全ての雪玉を切り落とした!?
空間把握(エコーロケーション)……言い忘れていましたが私も魔人……全身から音波を出して障害物や人の位置を把握することなんて朝飯前なんですよ。もちろん、それが飛んでくる雪玉であってもね。
なるほどね……常人とは思えないその落ち着きよう、納得したわ。だけど、いくら超音波で周りのものが把握できても……これならどうかしら……スーパー・ヒエピタラッシュ!
むっ……圧倒的な雪玉の数!
それだけじゃないわよ! 雪合戦において禁忌と呼ばれる手段……雪玉の中に石を詰めたわ!
ふふふ……おそらく私の刀が真剣と知って、刃こぼれを狙っているのでしょうがそれは叶いません。この刀は対魔人戦を想定して作られたもの……特殊なコーティングがしてあるので、石を斬るくらい何ともないのですよ! はぁあああ!
ええ、あなたも魔人と聞いたときから、それは何となく予想していたわ……でも、いくらあなたでもこれだけの数、石が詰められた雪玉を斬り捨てるのは相当体力を消耗するはずよ!
くくっ……やはりバレていましたか。確かに、雪玉一つ一つがこれだけ重いと全てを斬り捨てるのも至難の技……私もまだまだ修行が足りませんね。
ふふふ、これで終わりよ! スーパー・ヒエピタラッシュ(第2弾)!
来ましたか……こうなったら奥の手です! 砕音波(ハウリングバースト)!
ななっ! 刀が触れてないのに一瞬で私の投げた雪玉が破砕された!? どっ、どういうこと!?
はぁ、はぁ……身体の中で音を共振させ、口から強力な音波を放ったんですよ。硬い岩程度なら破壊できる威力を持っています。雪玉に詰められた小石程度、いくら打ってきても私には効きません!
おっ、面白いじゃない……この私をなかなか楽しませてくれるわね!(えっ……どうしよう……これ一歩間違えたら私死ぬよね?)
ふふ……とはいえ、なかなかに体力を消耗する技なので、そう連発はできませんが……。
そう……(ホッ)。まっ、私もだいぶ雪玉を打ったし、一個一個に石を詰めるってなかなかキツイのよ……正直そろそろ体力が限界だわ。
どうやら、お互い全力の技をぶつけて勝負を決めたいってところですね。
(えっ! 一回休憩しようって言うつもりだったんだけど……)そっ、そうよ! 特別にあなたには奥の手を見せてあげる!
ならば私も、温めていた新技を披露させてもらいましょう……。
えっ……まだ新技とかあるの!? (ぶっちゃけ、奥の手とかもうないんだけど……)
はぁあああ!
きゃあああああ!…………って、何も起きてないじゃない!
ふふっ……今の先輩かわいかったですよ。
わっ、笑うなぁあああ! ヒエピタラッシュ!
ふふふ……どこ投げてるんですか? 先輩。
えっ……なっ、何これ? 右が左に、左が右に?
先輩の三半規管に直接超音波を当てました……しばらくダメージが残ってるので、数分は平衡感覚が麻痺したままですよ。
うっ、うそ……!(この子、強すぎる!!)
さあ、次は私の番です。本当の最後にしましょう。行きますよ!
くっ……ひっ、ヒエピタっ!
むっ、小さな雪玉?(これはきっと何かの罠……きっと気を取られた隙に別の攻撃を仕替えてくる気ですね。無視してそのまま一気に距離を詰めましょう!)
さっ、触った! 固まりなさい!
それも気をそらすための罠ですか……いくらあなたの能力でも、こんな小さな雪玉に触れたくらいで私の全身を凍らせることなんてできないはず。構わず突っ込みます……って、えっ……刀がっ!
そうよ……さすがに私も力がもう残ってないわ。でも、そんな小さな雪玉でも、キンッキンッに冷やせば刀を地面にくっつける程度のことはできるのよ!
しまった……! 油断しました……まさか最初から私の刀だけを狙っていたとは!
刀を地面にくっつけられた今のあなたに、一つでも雪玉を避けることができるかしら!? えいっ……! (……ポテッ)
あっ……。
あっ……当たったたぁあああああ!!!
先輩……お見事でした! 完敗です。やはり、私はまだまだ修行が足りません。
なっ、何言ってるの……あなたもなかなかだったわよ!(むしろこっちが奇跡よ……)
いえ……心遣いには及びません。先輩……どうか、どうか私を弟子にしてください!!
えっ、ええっ!?
完!

yomogi

そこまでです!!

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)
※これは自由参加コラボです。誰でも書き込むことができます。

※コラボに参加するためにはログインが必要です。ログイン後にセリフを投稿できます。

登場人物紹介

なみきり 音々ねね



幼いころから居合いなどの剣術を学んでいたが、ある日、目が視えなくなってしまう。



悲しみに暮れた、音々をみかねた音々の師匠である父は、「私は幼い頃、コウモリのように目が視えずとも動き、刀を扱える剣客を目指したものだ、まだやれることはあるぞ」と励ました。



その後、音々は父の言葉からコウモリをイメージし、訓練を続けたことで魔人へと覚醒した。



丁寧な口調で喋るものの、強敵との戦いに心が躍るようである。



 



○能力:強力な音波を出す能力



身体の全身から音波を出すことができる。



周囲に微細な超音波を放つことで障害物や人の位置を把握できる空間エコーロケ把握ーション



身体の中で音を共振させ、口から強力な音波を放ち、相手にダメージを与えるハウリング音波バーストがある。ハウリング音波バーストは硬い岩程度なら破壊できる威力を持つ。



超音波によって相手の三半規管にダメージを与え、平衡感覚を麻痺させることも可能である。



戦闘スタイルは刀を用いた居合い切りを得意とする。



刀は対魔人戦を想定し作られた刀のため、刃こぼれや錆を防止する特殊なコーティングが施されている。



 



○戦う動機:魔人との戦闘で自身の力を試したいため。



○台詞例:私はこの戦い凄くワクワクしています。



 



作者:榎本レン

【名前】冬凪ユキ


【性別】女性


雪合戦が大好きなあまり、いつでもどこでも雪合戦ができるようになってしまった魔人。何かにつけて雪合戦で勝負しようとするが、勝てたことはあまりない。


【能力名】ヒエピタラッシュ!


自分から半径50メートル以内を一瞬で雪景色にする能力。雪だけでなく雹も作れる。


【戦う動機】雪合戦がしたいから。


【作者】ヤドナシ

ビューワー設定

背景色
  • 生成り
  • 水色