第1話

文字数 1,448文字

世界はもっと

世界はもっと緩くていい
世界は本当にきつすぎる
もっと もっと世界は緩くていい
いや 緩くならなければならない
緩いところに争いは起きない
緩いところに戦争などけっして起こらない
ギチギチにきついから争いは起きる
きついところで戦争は起こるのだ

ネクタイなんか もうしなくてもいい
なんで こんなに暑いのに自分の首を
わざわざあんな分厚い布切れできつく
締め上げなければならないのか
ネクタイなんてものは もともと 
兵士のファッションに由来するものらしい
自分の首を締め上げて闘争心を奮い立たせ
戦場に向かうのだ その意味では
サラリーマンにもふさわしいものかも知れないが

靴下ももっと緩くていい
なぜか 今時の靴下はやたらときつく
見ると足首にくっきりと後が残っている
わさわざゴムの部分をハサミで切っている
パンツのゴムだってゆるい方がいい
ゆるゆるの方がいいに決まっている
それから 今 はやりのスーツは 
いったい 何のつもりなのだろう
ツンツルテンに体にぴったり貼りついて
あれでしゃがみこんだらズボンの股が
ビリビリと裂けてしまうのではないか
上着だって短くて尻まで届かないし
とにかく見ていて窮屈そうで
ギチギチに全身を縛っている

世界はもっと緩くていい
いや 緩くならなければならない


ファンレターの紹介と私のコメント

 緩いは、優しく、許し合う

 世界中がTamTam2021さんのように、優しく柔軟な考えの人で溢れれば、優しく、許し合う世界になるのでしょう。ギチギチの生活も服も辛すぎます。サラリーマンは、昔も今もギチギチに縛られ、企業戦士。24時間闘えますか?と懐かしいCMソングを思い出しました。こんなにギチギチ、ギスギスした世の中では、戦争だって終わるはずがないのです。バブル期のゆったりとしたソフトスーツはいいですね。経済的ゆとりがあると、生地にもゆとりが生まれるのでしょうか。では、今の時代のパッツパツの寸足らずスーツは、経済的ゆとりの無さを象徴しているとか?いくら流行りだからと言って、自分の体型や、似合う似合わないなどお構い無く、着心地が悪くても、そういうものだからと自己犠牲を払い、そのタイトな鎧に身を合わせ、自らの首を絞めるように猛暑でもネクタイを絞め、通勤ラッシュに身を任せ、労働し、歯を食い縛って生きて行く…本当に大変な世の中です。でも、許されるならもっと人間らしく、緩やかに生きていたい。靴下のゴムの食い込みも、パンツのゴムのキツさもない世界に…人がまだ何も持たなかった時代に戻ることは出来なくても。我々はあまりにも欲張り過ぎてしまったから、文明を貪り過ぎてしまったから、そのツケが回ってきているのでしょうか。程よく緩い生活が未来を明るくすると思います。


 お便りありがとうございます。まさにおっしゃる通りだと思います。「程よく緩い生活」というのは中庸のことだと思います。両極端に偏らないほどよい状態が私たちには必要なのだと思いました。今の私たちの社会は明らかに極端という過ちに陥っているような気がします。とにかく、とことんまで貪りつくす。その結果が今の極端な温暖化や極端な貧富の格差、他者に対する極端な憎悪や差別に繋がっているように思うのです。そして、その背景には非人間的な新自由主義的な経済原理が横たわっていると思うのです。今の時代を一つの漢字で表すとすればそれは間違いなく「貪」だと思います。ジョンレノンの有名な曲イマジンに「想像してごらん、国などどこにもないのだと」という言葉を思い出したいものです。

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