第3話

文字数 659文字

「君の妹を助ける方法、それは神の力を得る事だ」

 神の力?

「そう。僕から君に『一分間時間を戻す力』を授けよう。そうすれば、今の状況にならないように回避出来るだろ」

「つまりその力を使えば、神様が時を止めたタイミングから1分前に戻るって事か」

「そういうことになるね」

 確かに1分戻れば、こっちに来ずに、違う方向に走って逃げれば回避する事は可能だ。

「で、リスクは?」

 リスクがあるのはなんとなく分かってたし、内容聞いたらよりそんな力をノーリスクで使える訳が無いと感じた。

「そう。それが大事なんだよ。よく聞くといい」

「リスクは、この力は使い放題って訳じゃない。使用回数がある。君の場合17回だ」

 大きなリスクではないが、使用回数があるっていうのはめんどくさい。気軽には使えないって事か。使うタイミングが大事になってくるな。

「で、この使用回数っていうのが大事で、何で使用回数があるかというと、」

「ーーーーーーーーーって、わけさ」

 俺は唾を飲み込む。

 それは俺が思っていた以上のリスクだった。

「さあ、それを踏まえてどうする」

 思っていた以上のリスクだったが、このリスクなら決断は変わらない。十耶の命より軽いリスクだ。

「そのリスク受け入れるよ。だから、その力をくれ」

 俺は神様に向かって左手を伸ばす。

「オッケー。なら、受け取るといいさ」

 そう言って神様も手を伸ばし、俺の手を掴んだ。

 その瞬間、何か暖かいモノが俺の体に流れてくるのを感じた。

 俺は使用を宣言する。

「時間よ、戻れ」


 17回→16回。


 そして一瞬、視界が真っ黒に染まった。
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登場人物紹介

・那須成 喬(ナスナシ タカシ)

 兄

 25歳

 社会人

 父親の方の連れ子

・大橋 十耶(オオハシ トヤ)

 妹

 20歳

 大学生

 母親の方の連れ子

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