第1話屈辱に生きろ

文字数 14,441文字

dark gray blaze
屈辱に生きろ


    登場人物



       ぬらりひょん

       閻魔



       澪音れいと

       悠啻ゆうし

       望來もうらい

       翠



       天狗

       鳳如





























 人間は何万年も、あした生きるために今日を生きてきた。

           手塚 治虫



































 第一暁 【屈辱に生きろ】



























 男は、大きな欠伸をしていた。

 だからといって、特別暇なわけではなく、男にはやるべきことが多々あった。

 それでも天気の良い日というのは恐ろしいもので、こうして眠気を誘ってくるだけではなく、だらだらと時間を過ごしていても気付き難いものだ。

 「おい、聞いてんのか」

 「聞いてる聞いてる。何だっけ?今度のお茶会の菓子のことだっけ?俺は久しぶりにアイスケーキが喰いてぇなぁ」

 「そんな話一切してねぇよ。おい鳳如、こいつの頭はどうなってんだ」

 鳳如は寝惚けているその男の方を見たかと思うと、すぐに顔を背けた。

 「知らないよ。だいたい、帝斗のお守り役は俺じゃなくて煙桜じゃなかった?」

 「こいつのお守り役なんて引き受けた記憶はねえな」

 煙桜も、男、帝斗を見てため息を吐いた。

 イライラしだしたのか、それともニコチンが不足してしまったのか、とにかく煙桜は煙草を吸い始めた。

 それを見て、鳳如も煙草を吸おうと思ったのだが、ぼーっとしていた帝斗がぐいっと身体を近づけてきたため、煙草を貰う事が出来なくなってしまった。

 「何だ急に。気持ち悪いからんな顔近づけてくるな」

 「なあ、俺ずーーーーーーっと思ってたんだけどよ」

 「だから何だ。煙桜、俺にも煙草」

 あまり煙草は吸わないようにしていた鳳如だが、仕事が溜まっているからなのか、それとも帝斗の相手をしているからなのか、煙草が吸いたかった。

 煙桜から煙草を貰って火をつけようとしたとき、帝斗によって煙草を取られてしまった。

 「帝斗、お前俺に喧嘩売ってんのか」

 「琉峯が身体に悪いから自分は吸わないって言ってたぜ?少しは見習ったらどうよ?」

 「口寂しいんだよ。よこせ」

 「なら飴ちゃんでも喰ってろ」

 そう言うと、帝斗はポケットから、いつから持っていたのか分からないような飴玉を取り出した。

 それを鳳如に差し出すと、鳳如は包み紙を開けて躊躇なく口に入れた。

 入れた途端、ボリボリと齧っていたが。

 「で、なんだって?」

 「ああそうそう。忘れてた」

 先程の、帝斗が思っていたことというのは何だろうと思って聞いてみると、帝斗はこんなことを言った。

 「ぬらりひょんって、いつも何してんの?」

 「「は?」」

 思わず、鳳如と煙桜ははもってしまった。

 煙桜に至っては、咥えていた煙草を落としそうになってしまった。

 これまで全く気にしたことなどなかったが、確かに少し気にはなる。

 だからといって、どうしても知りたいとか、そういったことは一切なかった。

 なぜなら、知ったからどうなるという問題でもないだろうし、知ったら知ったでなんとなく怖いからだ。

 「何って、まあ、俺達と同じようなことしてんじゃねえの?」

 「いやいや、絶対やってないだろ。だってぬらりひょんだぜ?あいつ絶対いつもダラダラ過ごしてそうじゃん?てか鬼?妖怪?の奴らって日々何してんだろうな。鳳如なら何か知ってんじゃねえかって思ったんだけどな」

 「失礼します」

 その時、鳳如の部屋をノックして入ってきた男がいた。

 青くて綺麗な髪を動かしながら、そこにいる鳳如以外の男たちを見ることもなく、一直線の鳳如のもとへとやってきた。

 「どうした琉峯。帝斗を連れて行ってくれるのか」

 「それは無理ですが、先日の報告書がまとまったので持ってきました」

 「さすがだな。こいつらここにいるくせに、一切持って来ないんだ」

 琉峯はそれだけを渡してすぐに部屋から出て行く心算だったのだが、帝斗に巻き込まれてしまった。

 踵を返したかと思えば、後ろからぐいっと肩を掴まれてしまったのだ。

 「琉峯も気になるよな?」

 「何がですか?察するに、あまり気にならないことだと思いますが」

 「ぬらりひょんのことだよ!あいつ、いつも何してるんだと思う?気にならねえか?」

 面倒臭そうに振り返って帝斗の話を聞いた琉峯は、少し黙った。

 何か考えているのか、それとも何も考えていないのか。

 「・・・気になりません」

 「えええええ!?お前変わってるな!!気にならねえのか!?すげぇな!!!」

 琉峯の方が帝斗よりも年下だが、どうしてこうも冷静なのだろうかと、煙桜は煙を吐きながら思っていた。

 煙草の煙を出す為に開けた窓からは、外からの心地良い、というより、どちらかというと温い風が入ってくる。

 だが、男だらけのこの部屋の空気が少しでも入れ換わるならマシだろう。

 「なんで気にならねえんだよ!?」

 「なんでって言われても・・・。知ったところで俺にとってそれほど重要ではないかと。それに、あの人のことを知ったら知ったで、何か恐ろしいことになりそうなので」

 あまり関わらない方が良いと思って、と正直に答えた琉峯に、帝斗は口をあんぐりと開けていた。

 そのままパタン、とドアを閉めて出て行ってしまった琉峯から、視線を鳳如へと向けると、鳳如はぷいっと視線を逸らした。

 「なんで今目を逸らした」

 「別に。意味はないよ」

 「意味がねえ方が性質が悪いぞ」

 「煙桜、俺の代わりに相手してやってよ」

 「断る」

 しかしどうしても気になって仕方ないのか、帝斗は鳳如にぬらりひょんのことを聞き出そうとしていた。

 鳳如の首元を掴んでぐらぐらと揺さぶっていると、鳳如は口元を押さえて「吐く吐く」と呟いていた。

 煙桜がようやく止めると、鳳如は少しだけ顔色を青くして椅子に腰かけた。

 「確かに俺は、お前達よりあいつといるのは長いかもしれねえがな、俺だってあいつのことを何でも知ってるわけじゃねえんだぞ。ああ、気持ち悪い」

 「煙桜は?」

 「俺だって知るか。あんな自由人」

 「煙桜もなかなかの自由人だと思うぜ」

 「よし帝斗。そこに正座しろ。今すぐに粛清してやるから」

 「え」

 「安心しろ。痛みを感じないようにしてやる。鳳如、お前介錯の準備しろ」

 「よしきた」

 「よしきた、じゃねえだろ!!!なんだお前等!よってたかってこの俺を亡きものにしようとしてるってのか!!!冗談じゃねえぞ!!」

 じりじりと迫ってくる煙桜から逃げようと、帝斗は壁に背中を近づけながらなんとか逃げようとする。

 幸いなことに、帝斗が一番ドアに近いため、逃げようと思えばきっとすぐに逃げられるだろう。

 しかしここで、邪魔者が入った。

 「ねえ、この私、麗翔があなたたちのためにお菓子を焼いてあげたわよ!ぜひご賞味あれ!!」

 「麗翔!またしても刺客か!!」

 「刺客って何よ」

 はっきり言って毒物にしか見えないソレを持って登場した麗翔を見て、帝斗は逃げ道を失ってしまったと愕然とする。

 そこへ、先程出て行ったはずの琉峯が舞い戻ってきた。

 「琉峯どうした」

 「・・・いえ、身体に害を及ぼしそうな臭いがすると思ってこちらに来てみたんですが・・・」

 そう言いながらも、琉峯の視線は真っ直ぐに麗翔が手に持っているお菓子にいっていた。

 それに気付いた麗翔は、ワナワナと震える拳をなんとか耐えていたのだが、琉峯が話題を変えようと咲かせた花によって、自体は一変する。

 「「「「あ」」」」

 麗翔以外が、はもった。

 なぜなら、琉峯が咲かせた綺麗な花が、麗翔が持ってきたお菓子に近づけた途端、枯れてしまったのだから。

 誰もが沈黙し、そこから目線をゆっくりと麗翔に向けると、麗翔は背中に真っ黒な何かを背負っていた。

 「あんたたち・・・。全員、味見係になってもらうわよ・・・」

 更に綺麗に盛り付けられていたお菓子を、麗翔はいきなり鷲掴みして投げだした。

 口に入らないように俊敏に動いて逃げる男たちの姿は、なんとも滑稽だ。

 「琉峯!お前のせいだからな!!」

 「自然は嘘を吐きませんから」

 「それがダメだっつーんだよ」

 「なんでもいいからよ、とにかく帝斗を囮にして逃げるってのはどうだ?」

 「「賛成です」」

 「よしきた」

 「え?」

 本日2回目の「よしきた」を言った途端、鳳如は帝斗の首根っこを、まるで子猫でも掴むかのように簡単に掴むと、そのまま麗翔の方に向かって投げた。

 女性に向かってなんてことだ、と思うかもしれないが、こんなことで泣いたり倒れたりする麗翔ではない。

 自分よりも背も体重もある帝斗を、自分よりも背も体重も腕力もある鳳如に投げられたのだが、帝斗の顔面にお菓子を持った手を思い切り押し当てる。

 すると、帝斗の口にはお菓子が上手い具合に入ってしまい、帝斗は撃沈した。

 「ヤベぇな。あいつの手料理は薬物指定しねぇとな」

 「それはちょっと可哀そうだろ。お前が吸ってる煙草も身体には毒だからな」

 「なら、摂取量の規定を出すのはどうでしょう。用法・用量を守れば害はないかもしれません」

 「琉峯、お前優しいことを言ってそうで、結構キツイこと言ってるからな」

 犠牲者1名を出したまま、麗翔との追いかけっこは続いていた。

 「煙草なんて吸うんじゃなかった。肺が弱まってる気がする」

 「なら次の犠牲者は煙桜、お前だ。腹を括って俺達のために逝ってくれ」

 「それは御免だ」

 「そう言えば」

 「どうした琉峯」

 なかなかのヘビースモーカーの煙桜が珍しく弱音を吐いたかと思えば、何かを思い出したのか、琉峯が走りながらこう言った。

 「麗翔は面食いだと誰かが言っていたような気がします。それなら止められるんじゃ」

 「面食いって、どこから誰を連れてくりゃあいいんだよ。だいたい、あいつの趣味が分かんねえよ」

 ドストライクでも連れてくれば収まるかもしれないが、それが分からない。

 かといって、このまま逃げ切れる自信もなかった。

 「よし。一か八かだ」

 「?どうすんだ?」

 「琉峯、お前が麗翔を口説け」

 「どうしてですか」

 「この中で一番若いからだ。俺に至っては年齢不詳だからな」

 「無理です」

 「そんなきっぱり言うな」

 鬼ごっこがしばらく続き、3人は物影に隠れていた。

 麗翔が近くまで追って来ており、どこに逃げたかと探して歩いているのを確認しながらも、解決策を見出していた。

 「面倒な女を上手く騙せるのは・・・」

 「それで、俺は呼ばれたのかな?」

 3人のもとに来ていたのは、以前ぬらりひょんと対等に戦えるということで知った男、シャルルという男と共に行動しているヴェアルという男だ。

 聞くところによると、ミシェルという女性も一緒に行動しており、その女性もなんやかんやと五月蠅いところがあるようだ。

 容姿は文句なしで、麗翔が好きそうな男らしい男、という感じだろうか。

 がたいは良いのだが物腰は柔らかく、きっと気のきいたことを言ってくれるだろうとの期待を込めて。

 「そういうことね。分かったよ」

 「頼んだぞ。俺達の命に関わることなんだ」

 「大袈裟な」

 そう言うと、ヴェアルは躊躇なく麗翔の前に出て行った。

 麗翔もヴェアルに気付くと、ほんのり頬を染めたように見える。

 麗翔が持っている、植物をも枯らす力を秘めているお菓子に手を伸ばすと、ヴェアルはそれを口に入れた。

 その行動には、麗翔だけでなく、鳳如たちも目を点にしていた。

 もぐもぐというよりも、ガリガリという音を醸し出しながら噛み砕いたあと、ヴェアルは麗翔に微笑みながらこう言った。

 「誰かのために作ったなら、きっといつか上手に作れるようになるよ」

 人間が食べるにはまだまだだけどね、と付け足したにも関わらず、麗翔は「はい」と素直に言ってヴェアルを見送った。

 「え、今の褒めた?」

 「褒めたというか、励ました?」

 「励ましたというか、励ますしかなかった?」

 まあとにかく、これで麗翔は大人しくなったらしい。

 犠牲者、帝斗1名に留まって。







 鳳如たちがそんな話をしているとは露知らず、当の本人は風に吹かれながら寝ていた。

 ぱち、と目を開けたかと思うと、腰にかけてあるひょうたんに手を伸ばし、その中に入っている酒を口に流し込む。

 「・・・・・・」

 少しだけ垂れてきただけで落ちて来なくなった酒を、ひょうたんの中を覗き込むようにして見たかと思うと、また寝転がる。

 しかしどうしても酒が飲み足りないのか、身体を起こして酒を注ぎ足しに向かう。

 酒が川のように流れているそこに着くと、ぬらりひょんはひょうたんを川に入れて、しばらくそのまま動かない。

 ひょうたんの大きさ以上に入る川の酒。

 満タンになったのを確認すると、ぬらりひょんは川に顔を近づけ、そのまま口をつけて酒を飲み始めた。

 垂れる酒を着物の裾で雑に拭うと、また歩いて昼寝の場所へと向かった。

 その時だった。

 ぬらりひょんの耳元に何かが蠢いて、眠ろうとしても寝られなくなってしまった。

 耳元に手を持って行って、蟲でも払うかのようにして動かしてみるが、それはなかなか離れていかない。

 眉間にシワを寄せたかと思うと、ぬらりひょんはゆっくりと目を開けた。

 「・・・・・・」

 だるそうに身体も起こすと、そのまま何処かへと歩いて行った。

 「許可を得てからお入りください」

 「煩わしいのう。ワシは呼ばれたから来てやったんじゃ。何故待たねばならん」

 「そう言われましても、規則でして」

 「どうかしたのか」

 「小魔様、この方が」

 小魔という黒髪の男が現れ、それまでぬらりひょんのことを止めようとしていた者たちがなにやら説明をしようとしたのだが、ぬらりひょんのことを見てすぐに理解した。

 「こちらへどうぞ」

 「小魔様!」

 「閻魔様がお呼びしたのだ。この方に失礼をするな」

 「は、はい・・・。申し訳ありませんでした」

 小魔に連れられて歩いていると、周りの部下たちらしき者は、ぬらりひょんを見て何やらコソコソと話をしている。

 きっと碌なことではないだろうが、ぬらりひょんは気にしない。

 「大変失礼いたしました。貴方様がいらっしゃることは全員に報せていたはずなのですが、こちらの伝達不足だったようで」

 「気になどしておらぬ。それより、閻魔が今頃ワシに何のようじゃ」

 「それは分かりかねます。閻魔様と直接お話しください」

 「面倒な奴じゃ」

 あっという間に閻魔の部屋に着くと、その扉を小魔が開ける。

 その中にいたのは、普段からだが、やる気のない顔で巻物を見ながら砂時計を動かしている男の姿だ。

 「こちらへお座り下さい」

 そう言われ、小魔が用意したふわふわしていそうな椅子に腰かける。

 いつもは草原で寝ているか、畳の部屋で雑魚寝していることが多いぬらりひょんからしてみると、フカフカしすぎて逆に落ち着かないものでもあった。

 何か飲むかと聞かれたが、腰に下げてある酒があるから結構だと断った。

 閻魔にはコーヒーが用意されたのだが、ブラックでは疲れが取れないのか、閻魔はコーヒーに砂糖どっさりとミルクもたっぷり入れていた。

 コーヒーの醍醐味である苦味が一切無くなったところでそれを飲み干す。

 「あー、生き返る」

 「死んでおろうが」

 「そういうことじゃなくてさ。あ、ぬらりひょんじゃん!いつからいたんだよ!」

 「さっきからおる」

 「元気だったかー!?最近ってか、ここ数百年以上、全然会ってなかったもな!みんな元気にしてるのか?天狗もおろちもまだ生きてるのか?」

 「主と会う理由はないからのう。天狗もおろちも普通じゃ。で、用はなんじゃ」

 「小魔、もう一杯」

 「かしこまりました」

 人の話を聞いているのかいないのか、こういうところは誰かとそっくりだ。

 閻魔が忙しいということは、死んだ人間が沢山いるということだ。

 いや、人間だけではない。

 動物たちも閻魔が裁いているようだが、なぜ動物を裁くのかと聞かれると、それは単に話しを聞いてあげているだけのようだ。

 人間に身勝手に捨てられ、保健所に入れられ、そのまま死んでいくことの辛さ、苦しさ、悲しさは人間には一生分からないことだろう。

 そういった動物たちの心も救いたいとかで、閻魔は最近始めたようなのだが、その動物たちの数も半端ない。

 「ちょっとお前に頼みがあってよ」

 「断る」

 「話くらい聞いてくれても良いだろ」

 大したことじゃないだろうと、ぬらりひょんは腰にある酒に手を伸ばし、豪快に飲む。

 「人間界のある場所に行って、様子を見てきたほしいだけなんだ。いやなに、別に何かしろってんじゃないんだ。ただ行って、見て来てくれるだけでいい」

 「なぜワシが」

 「俺は閻魔だ。ここから離れることは出来ない。まあ、ちょっとなら平気だけど。頼む。な?ちょっとだけでいいからさ」

 「・・・・・・主がワシに頼みごとをするということは、何か理由があるんじゃろ。それを申せ」

 へへ、と困ったように笑ったあと、閻魔は小魔を呼んで1人の少女を連れてきてもらった。

 少女は翠という名のようで、閻魔のもとに来てからそれほど日数は経っていないのだが、どうにも成仏しきれていないらしい。

 巻物は準備されていることからも、翠はすでに死んでいることは間違いないのだが、このままでは天国へと地獄へと行けず、ずっとこの世を彷徨い続けることになるかもしれないというのだ。

 「成仏していないといかんのか」

 「ああ。通常、人間も動物も成仏してからここへ来るもんだ。成仏してようやく天国か地獄かが決まる。だがしかし、どうもこの子は成仏しきれずにここに迷い込んできたらしい」

 世に未練を残したままでは判断しかねるというのが閻魔の言い分だ。

 「人間には幾つかの死に方がある」

 事故で亡くなる、他人に殺される、病気で亡くなる、火事に巻き込まれる、地震などの自然災害が原因などだ。

 「だが人間にしか選べない死に方があってな、それが“自害”だ」

 いわゆる、自殺、というやつだ。

 動物には自ら死ぬという感覚や思考はない。

 自ら命を絶つという行為そのものは咎められないとしても、閻魔界ではその理由も重要なものとなる。

 ちなみに、巻物は成仏していないと開いてみることが出来ないのだ。

 開かない巻物が山になっているところを見ると、これだけの人間が成仏出来ずに世に魂だけを残してさまよっていることになる。

 「理由はわかったが、ワシになにが出来るというのじゃ」

 「人間界で何が起こってるのか、知りたいんだ」

 「・・・・・・」

 会うのは久しぶりだが、いつも閻魔はこんな風に真っ直ぐに見てくる。

 閻魔のような目をしている男は何人か知っているが、なぜそんな真っ直ぐにしていられるのか、ぬらりひょんには分からない。

 先代のぬらりひょんから言わせてみると、今のぬらりひょんも以前は、いや、以前からそんな目をしているようだが。

 「全く、生きておっても死んでおっても、人間というのは身勝手じゃな」

 そう答えると、閻魔は歯を見せて笑った。

 「ぬらりひょんならそう言ってくれると思ってたんだー。良かった良かった」

 「一度主に奴らを会わせてみたいもんじゃ」

 「え?誰のこと?」

 「いや、こちらの話じゃ」

 ぬらりひょんたち、鬼や妖怪、そういった存在からしてみれば、人間というものは理解出来ない生き物だ。

 しかし、こうして同じ空間を過ごしたり話して理解しようとしたりするのは、人間の根源は悪ではないと分かったからだろうか。

 「そういや、この前明王たちと会ってな」

 「主の苦手な奴等の名じゃな」

 「そ。ほら、お前が肩入れしてる鳳如だっけ?あいつらも東西南北で守ってるだろ?明王たちも同じように方角で守ってるからさ、なんか対抗意識もってるみたいで。どうでも良いから俺の仕事をどうやったら減らせるか考えてほしいよ」

 「暇な奴らじゃ」

 「お前ほどじゃないけどな」

 閻魔はまたすぐに仕事に戻らないといけないようで、小魔に急かされながら椅子に座った。

 積み重なった巻物を読みながらも話しを聞き、裁いていく。

 その様子を見て、ぬらりひょんは静かに部屋から出て行った。







 ぬらりひょんは、人間にはなれない。

 ただ、姿形としては人間として繕うことはできるため、人間界に紛れこんだとしても見つからない。

 そして何より、ぬらりひょんは妖怪であるから、普通の人間には姿を見られないが、ぬらりひょん自らの意思であれば触れることや姿を見せることは可能である。

 「変わり果てたな、人間界も」

 ほとんど来ることのない人間界に、何千年ぶりか、何万年ぶりか、それ以上かで来たぬらりひょんは、前に来たときにはまだほとんどの人間が地球は丸いとは分かっていなかったのにな、と思っていた。

 「さて、どうしたもんかのう」

 適当に時間を潰そうと思っていたぬらりひょんだったが、ふと見上げたその先に、立派な建物があることに気付いた。

 無駄に高い建物だと思って見上げていると、その建物の前に一台の無駄に長い、今の時代でいう車のようなものが停まった。

 それを横目に見ていると、その車の中から1人の若い男が出てきた。

 両腕いっぱいに女性を引き連れ、建物の中へと入って行く。

 ぬらりひょんは姿を消した状態のまま、同じように建物に潜入した。

 「悠啻様、私今度バッグが欲しいわ」

 「ずるい!私はドレスが欲しい!」

 「みんな欲張りねー、私は悠啻様が傍にいてくださればいいわ」

 どうやら、男は悠啻というらしい。

 青い髪に金の目、そして耳には無限大の形をしたピアスをつけ、首にも良く分からない装飾品をつけている。

 ぬらりひょんには理解できないが、10人ほど座れるだろう広く大きなソファに座ると、悠啻は足を組んで隣の女性にいきなりキスをした。

 すると、他の女性たちもキスをせがみ、次々にキスをする。

 「ねえ悠啻様」

 「んー?なんだ?」

 「どうして私を妻にしてくださらないの?こんなに悠啻様のことを愛してるのに」

 「私だって愛してるわ。私も妻にして?」

 一夫多妻制なのかは知らないが、とにかく、女性たちは悠啻の妻になりたいようだ。

 悠啻はまるでそれ以上言わせたくないかのように、強引に唇で大人しくさせると、一度唇を離し、次にリップ音を出して軽く触れた。

 それだけで、女性は名残惜しそうに悠啻のことを見つめている。

 「俺は妻を病気で失った。あんな悲しみはもう味わいたくないんだ。わかってくれるだろ?」

 眉を下げて寂しそうにそう告げる悠啻に、女性たちは静かに頷いた。

 それからしばらくして女性たちが立ち去って行くと、悠啻は一人になり、ワインをグラスに注ぐこともせず、ラッパ飲みをする。

 口の端からワインが零れるが、そんなことお構いなしだ。

 「っぷはー。ったく、あいつらはちょろいな。身体だけが目当てだって分かんねえとは。まあ、その方が都合が良いがな」

 肩を震わせながら、悠啻は悪びれもなくそう言った。

 まあ、ここで分かったことと言えば、この悠啻という男、最低な奴だということだ。

 「おい、ワインもっともってこい」

 「ふふ、悠啻様ったら、あれほど綺麗な女性たちを引き連れてきて。私、嫉妬してしまいますよ?」

 「ああ?なら、今日はたっぷり相手してやるんだぜ?」

 悠啻のもとにワインを運んできた女性の腰に腕を回すと、そのままぐいっと自分の方に近づけ、鼻が触れるくらいまで顔を近づけた。

 ぼとり、と床に落ちたワインがもったいないと思ったのは、きっと見えていないぬらりひょんだけだろうか。

 悠啻と女性はそのままベッドに倒れ込み、一夜を共にした。

 ぬらりひょんはというと、建物の中を歩いていた。

 とても立派で広すぎて、ぬらりひょんの肌には合わない場所だということだけが、確実なものとなった。

 翌日になってぬらりひょんが目を覚ましたとき、悠啻の傍に1人の男がいた。

 紫の髪で右目が隠れており、青い目をしている男。

 「望來、昨日来た女どもには飽きたから、お前にやるよ」

 「いえ、結構です」

 「なんだよ。いらねえのか。それより、昨日は酷かったぜ?税金を安くしろとか、土地をくれとか、娘を返せとか。五月蠅くて仕方ねぇよ」

 悠啻の家は分かっていると思うが大金持ちで、この辺一帯を仕切っている。

 金で国を買い、金で人を買い、金で命までも買う。

 そうやってここまで大きくなった悠啻の家柄だが、政府さえも口出し出来ないほど勢力が大きくなってしまっているようで、この辺りに住んでいる人たちは相当苦しんでいるようだ。

 だからなのか、若い娘がいる家は娘を渡して税金を見逃してもらったり、若い男がいれば働き手として雇ってもらっているようだ。

 しかしこの悠啻という男、金だけでは飽き足らず、女にもだらしない奴で。

 「相性が良くても、一度抱いた女はもう抱きたくない」

 という性格のようだ。

 「望來はどんな女がいいんだ?探してきてやるよ」

 「公務でそのような時間は取れませんので。悠啻様さえお楽しみいただければ」

 「けどそろそろ女は喰い尽くした感じするしな。新しい良い女でも見つかればいいんだがな」

 クツクツと喉を鳴らしながら笑って言う悠啻は、用意された何の肉か分からないが、柔らかそうな肉を食した。

 その肉が気に入ったのか、悠啻はおかわりまでしていた。

 「あーあ。今日は地味そうな女でも探してみるか」







 「え、ぬらりひょんって人間界に行けるの?」

 「そりゃ行けないことはないだろ。人間じゃないだけで、存在はしてるんだから」

 「俺達がここで結界張ってるのに行けるのか?どういうこと?」

 麗翔の毒物攻撃から数時間後、なんとか復活で来た帝斗は、鳳如の部屋にまた訪れていた。

 「俺達がここで結界を張ってるのは、もちろん鬼や妖怪たちがここを通って人間界に入らないようにするためだ。けど、ここ以外にも人間界に入れる通路があるんだ」

 「え、じゃあ意味ねえじゃん」

 「意味あるよ。ここ以外の通路ってのはここよりも厄介だからな」

 「厄介?」

 帝斗の身体を治すために来ていた琉峯や、仕事を終わらせて暇つぶしに来ていた煙桜も一緒に、鳳如の話を聞いていた。

 「お前たちもいずれは世話になるだろうから教えておくが」

 「世話になるってなんだよ?」

 「鳳如の代わりにここに来るとか?」

 「いや、そうじゃなくてな」

 どう言えば良いのかと考えた鳳如だったが、もうどう言っても変わらないだろうと、直で言うことにした。

 「閻魔だ」

 「閻魔?」

 首を捻って、帝斗たちは互いの顔を見合わせていた。

 聞いたことがないわけじゃないだろうが、すぐには理解出来ない、といったところだろうか。

 「閻魔って、何処の閻魔?」

 「何処のって逆に何処があるんだ」

 それから鳳如が、人間が死ぬと必ず行く閻魔様のことを話すと、みな一様に驚いていた。

 「ええええええ!?あ、あの閻魔様!?舌を抜かれるっていう、あの閻魔様!?なんかすげー怖そうなイメージのある、あの閻魔様!?」

 「お前のイメージしてる閻魔がどういうのか知らないが、当たってるけど違う」

 閻魔というと、きっとだれしもが怖いイメージを持っていることだろうが、そうでもないらしい。

 鳳如は一度だけ実際に会ったことがあるそうで、その時、鳳如もイメージしてたのと違うな、と思ったようだ。

 「怖いイメージは捨てろ。なんていうか、やる気がなくて、ダルそうで、眠そうで、仕事に追われてる感じだな」

 「なんだそれ。逆に不信感抱くわ」

 俺達死んだら大丈夫なのか?とそんな不安がよぎったようだが、それは鳳如の一言によってすぐに払拭された。

 「安心しろ。能ある鷹は爪を隠す。奴はまさしくそれだからな」

 やる気はないが仕事は出来る、と鳳如がいうものだから、多分本当なんだろうと誰もが納得するのだった。







 「閻魔様」

 「どうした小魔。俺はちゃんと仕事してるぞ。珍しくな」

 「ご自分で珍しくなど言わなくても結構です。そうではなくてですね、あの男、人間ではないとお聞きしましたが、信用して良いのでしょうか?」

 「ん?」

 小魔とぬらりひょんは、先日初めて会った。

 閻魔と似たような空気を持っている男、といった印象を受けたようだ。

 しかし、実際には人間を裁くのが閻魔たちの役目であって、鬼や妖怪といった類の存在とは縁がないように思える。

 「小魔、世の中にはな、色んな奴がいるんだぞ」

 「それは知っていますが」

 「俺達のことだって、人間は信じてるやつもいれば信じちゃいない奴もいる。それと同じだ」

 人間であれ人間でないであれ、動物であれ動物でないであれ、それが鬼や妖怪、他の信じられないような存在であっても、確かにそこにあるということ。

 「子供がさ、サンタを信じてるだろ?」

 クリスマスの日にプレゼントを届けてくれるというサンタという男。

 小魔は実際に会ったことはないが、見たという声も少なくはない。

 「確かにサンタは一年のほとんどを休んで過ごしてるが、それでもいるって信じてる子供がいるなら、一年にたった一日のその日のために、日々研究に明け暮れてるんだと思うんだ。俺はプレゼント貰ったことないけどな」

 何の研究かは知らないが、閻魔が言いたいことはなんとなくわかった。

 「閻魔様」

 「なんだ」

 「手が止まってます」

 「さすが小魔だな。俺のサンタ談議よりも仕事を優先するんだな」

 「当然です。それが閻魔様の仕事であって、それを勧めるのが私の仕事ですから」

 やれやれと、閻魔は砂時計を動かしてペンを走らせた。







 「悠啻様、御起床くださいませ」

 「まだ眠い・・・」

 「本日はシェフが腕を振るって、悠啻様がお好きなモンブランをご用意しました」

 「お!まじか!!」

 8時を回ってもなかなか起きてこない悠啻を起こすためにやってきた望來がそう言うと、悠啻はすぐに身体を起こした。

 そのベッドの中にはもう一人、女性らしき人物が寝ているようにも見えたが、まあ放っておかれるのだろう。

 悠啻は朝食、というよりもほぼデザートだけの朝食を口にすると、今度は口が甘いからコーヒーが飲みたいと言いだした。

 しかしそこは長く一緒にいるからか、分かっている望來がすぐに用意した。

 「悠啻様―、どうして起こしてくれなかったんですかー。寂しいじゃないですか」

 コーヒーを一口含んだところで、悠啻と一緒に寝ていた女性が顔を出した。

 その女性を見て、悠啻はいつものようにニコリと微笑みながら、冷たくこう言い放つ。

 「さっさ消えろ。もうお前には何の価値もねえから」

 「!ひ、酷い!!!」

 「酷いじゃねえよ。望來」

 「はい」

 名前を呼ばれると、望來は女性をズルズルと引きずって外に放り投げた。

 女性はまだ洋服をきちんと身につけていない状態であったにも関わらず、人が大勢通る場所にぽつんと置かれた。

 その女性がどうなろうと、悠啻には関係ないことなのだ。

 なにしろ、そんなことがあっても、眉ひとつ動かさずにコーヒーを飲んでいるのだから。

 そんな悠啻を眺めながら、ぬらりひょんは悠啻の自宅の敷地内に立っている木の上で、のんびりと酒を飲んでいた。

 悠啻を痛めつけることも、家を崩壊させることも、ぬらりひょんにとっては簡単なことなのだが、それをしないのは、ぬらりひょんが面倒臭がりだからか、それとも何か考えがあるからか。

 「悠啻様、午後の予定ですが」

 「え、なんか今日あったっけか?つまんねーから、年寄り共から金でも巻きあげて来ようかと思ってたんだけど」

 「・・・本日はお見合いをすることになっております。5名ほど」

 「お!金巻きあげてから女漁りってわけか!最高の日になりそうだな!!俺好みの女がいるといいなー。てか、全員好みなら全員相手してやってもいいんだけどな」

 お見合いは女漁りとは違うのだが、悠啻にしてみれば同じことなのだろう。

 望來はそんな悠啻にも慣れているからなのか、特にため息も吐くことなく、ただ手帳を確認していた。

 それから、悠啻は予定通り一度街に出かけると、生活することだけでも困難な住人を捕まえて、靴を舐めろだの、舐められないなら金を出せだのとチンピラのようなことをしていた。

 「おいジジイにババア。てめえらなんぞ、生きてる価値ねえんだよ。早ぇとこ、死んだ方が良いんじゃねえのか?どうせ金も払えねえんだろ?」

 「や、止めてくだされ!ワシらは今日食べていくのもやっとなんですじゃ!」

 「これ以上苦しめないでください!!」

 老人たちは悠啻の前で土下座をして、何度も何度もお願いをしていた。

 生きて行くだけでも精一杯の自分達に、これ以上何を望むというのか。

 奪われていくだけの日々を、こうして必死にしがみ付いて生きている時間を、どうして理不尽に扱われようか。

 自分の前で土下座をしている老人たちに、悠啻は腰を曲げて老人の頭に手をそっと置いたかと思うと、そのまま思い切り膝を曲げて老人の顔面を蹴飛ばした。

 老人は避けられることなど出来ず、そのまま後ろに倒れてしまった。

 「喚いてんじゃねえよ。恨むなら、貧乏人に産まれてきた自分を恨め。金のねえ奴は、俺にとってゴミ同然なんだからよ」

 「おじいさん!おじいさん!!」

 脳震盪を起こしたのか、老人は意識を失ったまま動かない。

 傍らで老婆が鳴きながら身体を揺さぶっていると、悠啻はそんな老婆の声を鬱陶しく思ったのか、舌うちをする。

 「ぎゃーぎゃーうるせぇな。おい、黙らせろ」

 「はい」

 悠啻がそう言って老人たちから離れて行くと、入れ換わりに近づいてきたのは銃を持った望來だった。

 銃を向けられた老人は、ただ目を丸くして謝罪の言葉を並べようとしたのだが、すでに悠啻から命令が下されているため、それは無意味だった。

 ただ冷たい銃声が響くと、地面に倒れ込んだ身体。

 それを見ていた周りの住人も、息を飲んで慌てて家の中へと入って行く。

 巻き込まれないように、自分はああならないようにと、自分を守ることだけで必死なのだ。

 「望來、行くぞ」

 「はい」

 銃をしまうと、悠啻をお見合い相手のところへ連れて行くため、望來も向かう。

 血を流して倒れている老人を助ける人は誰もおらず、ただ冷たくなっていくのを、ハゲタカが見つけて喰らうのみ。

 5人もの女性と会うと、悠啻はすぐに上機嫌になった。

 みな美人でスレンダーで、申し分ない女性たちであったのだから当然と言えば当然だろうが、悠啻は時間をずらして1人1人に会うのではなく、全員と一斉に会ったのだ。

 止めた方が良いと望來は忠告したのだが、悠啻が聞くはずもなく、仕方なく相手に連絡をして時間を合わせてもらったのだ。

 見た目は悪くない、というよりもどちらかというと良いためか、女性たちは悠啻の本性など知ってか知らずか、寄ってくる。

 まるで罠にかかった獣のようだ。

 悠啻は全員を自宅まで連れて帰ると、5人一緒に風呂に入って、5人一緒にベッドで横になった。

 通常ならおかしな光景なのだが、見慣れているせいか、望來ももう何も言わない。

 「悠啻様って本当に素敵な方ね」

 「是非とも私と2人っきりの時間をいただきたいものですわ」

 「鍛えられた身体、惚れぼれしますわ」

 女性にモテるためだけに、日頃鍛えている成果がここで現れる。

 割れた腹筋は洋服の上からではあまり分からないほどだが、脱ぐとそこにははっきりと見える。

 それと同じで、夜になれば悠啻の本性が見えてくるのだ。

 翌日、女性達はいつもの如く、その日を境に相手にされなくなるとは思わず、悠啻にキスをせがみに行くが、悠啻はすでに名前さえ覚えていないのだ。

 その頃、ぬらりひょんは昼寝をしており、目が覚めるとすでに暗くなっていた。

 「・・・まだ夜じゃったか」


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登場人物紹介

ぬらりひょん:基本ラグナロクに出てくる。和服姿。酒が好きで腰に酒をさげている。


『昔は酒なぞ呑めなんだがな』

閻魔(えんま):地獄で色々頑張ってる。最近むくみを気にし始めたらしい。


『ずっと座ってるのってある意味拷問じゃね?』

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