第3話空の底

文字数 14,797文字

dark gray blaze
空の底

 何でも思い切ってやってみることですよ。どっちに転んだって人間、野辺の石ころ同様、骨となって一生を終えるのだから。

          坂本 龍馬



































 第三暁【空の底】



























 悠啻の家の前では、なにやら騒ぎが起きていた。

 「おいおい、朝っぱらからなんだよ」

 のそのそと起きてきた悠啻が顔を覗かせると、男たちが悠啻の名を呼んだ。

 「悠啻様!危険です!」

 「危ないですので、家の中へお入りください!」

 よく見てみると、男たちの中に若い男が一人いるのが分かった。

 誰だと思ってよく見ようと近づいたとき、その男はナイフを持ったまま男たちの隙間を通って、悠啻に襲いかかる。

 誰もが悠啻が刺される、そう思ったのだが、そう簡単にやられる悠啻ではなかった。

 「!!誰だ!」

 「望來と申します。以後、お見知りおきを」

 悠啻の前に立ちはだかったのは、悠啻を常に御守りしている望來という男だった。

 「どけ!!どかないと、お前も刺すぞ!」

 「そのような小さき剣では、何も斬れますまい」

 望來が腰から取り出したのは、男、澪音が持っている短いナイフとは違う、騎士が持つような剣だった。

 それでも澪音はナイフを握りしめて足を踏み出すが、望來は軽く剣を揺さぶるだけで、澪音はナイフを落としてしまった。

 その隙に他の男たちに取り押さえられてしまい、地面にうつ伏せにさせられてしまう。

 「どっかで見たような気がすんだけどなー。気のせいか?」

 んん、と顎に手を当てて考えてはいるようだが、一向に思い出せないようだ。

 澪音は数人の男たちに押さえつけられているにも関わらず、抵抗を続け、目の前にいながらも触れることすら出来ない悠啻を睨みつけている。

 「なんだぁ?生意気な野郎だな。牢屋にぶちこんでおけ」

 そう言うと、悠啻は背中を向けて遠ざかって行く。

 そんな悠啻の後を着いて行くべく、望來はちらっと澪音を見たあと、すぐに同じように去って行ってしまった。

 捕まってしまった澪音は、悠啻の家の地下にある牢屋に乱暴に放り込まれる。

 冷たい檻の中に入ると、澪音は鉄格子を両手で掴み、唇を噛みしめる。

 部屋へと戻って朝食をとる準備をしていた悠啻は、澪音のことをやはり何処かで見たことがある、と望來に話していた。

 「お前覚えてないか?」

 「存じません」

 「考えようとしたか、今?」

 「考えてみましたが存じません。何より、悠啻様にお仕えしたのは最近のことですので、それ以前のことは当然ですが存じ上げません」

 「ああ、そっか。そうだな」

 それでもしばらく考えていた悠啻だったが、目の前に朝食が出されると、澪音のことなどすっかり忘れるのだ。







 「閻魔様、お客様がいらっしゃっておりますが、いかがなさいますか?」

 「客?誰だ?」

 「それが・・・」

 小魔が誰が来たのか言おうとしたとき、廊下の方からドタドタと足音が聞こえてきて、それは部屋のドアを一気に開けた。

 待っててくれと言ったのに意味がない、と思った小魔だが、面倒だからもういいかと、こちらです、とだけ添えた。

 「おい!!ぬらりひょんに何を頼んだんだ!?」

 「ていうか誰?こいつ」

 「少し埃っぽいですね」

 「なんで俺まで・・・」

 「わー。なんか五月蠅い面々が来たね。で、なんで後ろに隠れてるのかな、鳳如?」

 「別に隠れてるわけじゃねえよ。こいつらが前に出てるだけだろ」

 よ、と手を軽くあげて挨拶を適当に済ませると、閻魔は小魔に目配せをする。

 鳳如だけでなく、みんな揃ってくるなんて初めてのことだ。

 閻魔と会うのは初めてだというのに、揃いも揃って失礼な連中だ。

 しかしそれでも気にしていないのは、閻魔がそういう性格だからか、それとも失礼な奴ばかりで慣れてしまったのか。

 「で、なんか用?」

 「天狗か俺んとこ来てよ、ぬらりひょんが来てないかってな。あいつが行きそうな場所は全部探したって言ってたから、後考えられるのは、ぬらりひょんは自分の意思で動いてるわけじゃなくて、誰かに何かを頼まれてるんじゃないかと思ってよ」

 「・・・確かにそうなんだけど、だからってなんで全員で来るかな?鳳如だけで足りたはずでしょ?」

 「俺もそう言ったんだけどよ、行きてぇ行きてぇってこいつらが言うから」

 「そう簡単に来られても困るんだけどね。本来ならぬらりひょんだって入れない場所だよ?」

 「分かってるよ。ただ、直接話しを聞かねえと納得出来ねえみたいでな」

 そう言って、鳳如は4人の方を親指で示すと、閻魔はやれやれとため息を吐いた。

 仕事を進めていた手を止めると、椅子に座ったままの状態で話しをする。

 「で、何が聞きたいのかな?」

 勢いよく挙手をして話しをしたのは、おわかりだろうが、帝斗だった。

 ちなみに、同じ部屋に翠もいるが、隅にいるからかみな気付いていない様子だ。

 帝斗が聞きたいことというのは、ぬらりひょんとの関係であった。

 鳳如が隣から、それよりも重要なのは、ぬらりひょんに何を頼んだのかだけど、と付け足すと、帝斗は忘れていたのかコクコクと頷いていた。

 説明するのは正直面倒臭かった閻魔だが、鳳如たちが飼っているというか守護されているというか、あの神聖な生物たちを敵に回すことの方が面倒だった。

 閻魔に直接何かしてくるということはほぼないだろうが、面倒なことは少しでも排除したいのが閻魔でもあった。

 「ぬらりひょんには、ちょっと人間界に行ってもらってるんだよ」

 「人間界!?なんで!?てか、ぬらりひょんて人間界に行けるの?」

 帝斗の問いかけに対し、鳳如は当然のように「ああ」と言って頷いた。

 しかし、ぬらりひょんが人間界に行けないと思っていたのは帝斗だけではないようで、琉峯も麗翔も、目を丸くして驚いていた。

 煙桜は知っていたのか、それとも反応が薄かったのか、煙草に火をつけようとしたのだが、小魔に止められてしまった。

 どうやら、鳳如たちが守っている結界というのはもちろん必要なものなのだが、それはあくまで人間界に行かないようにしているだけの行為であって、ぬらりひょんであれば簡単に行き来することはできるとか。

 「じゃあ、ぬらりひょんは人間界に行って何してるんだ?」

 「何って、ちょっと観察してきてね、って頼んだんだよ?成仏出来ない子がいるから、どういう状況なのかなと思って」

 「でもなかなか帰ってきてないみたいだけど、何か知ってるんじゃないのか?」

 ちょっと見てきて、と頼んだだけだとしたら、これほどまでにぬらりひょんが帰って来ないのはおかしいのではないかと鳳如が聞けば、閻魔は知らないと一言。

 「俺はここに来た人間を裁く。それが仕事だからさ。そこに成仏出来ずにいる子がいるんだけど、その子を成仏させるために、一肌脱いでもらってるんだよ」

 閻魔がそう言って初めて、みなは後ろを振り向いてみると、そこには髪の長い女性が一人座っていた。

 麗翔とは違い、なんともおしとやかな印象を受ける。

 詳しいことを鳳如が聞くと、その子が成仏して巻物が見られるようになれば、まっとうに裁くとのことで、それを聞いた帝斗たちは険しい顔をする。

 特に、同じ女性だからなのか、麗翔が噛みついた。

 「何よそれ!死にたいと思うことなんてそうそうないのに、我慢して我慢して、それでも辛くて死んじゃった子を、あんたは巻物一つで地獄に落とすこともあるっていうの!?頭おかしいんじゃない!?」

 「麗翔、言っておくけど、相手は閻魔だからな。お前も死んだら顔合わせるんだからな」

 興奮気味に怒り出す麗翔の後ろで、煙草を吸えないため、口に咥えているだけの煙桜がそう言った。

 しかし、それでも麗翔は止まらない。

 「酷いわ!酷よ!人間を裁くなんて、あんたに務まるとは思わないわ!!!」

 「あーあ。言い切っちゃったね」

 俺は知らないよ、と鳳如は明後日の方向を見ていた。

 ガルルル、と野獣のように牙をむき出しにして閻魔に文句を言った麗翔に対し、閻魔は軽く傾けていた首を真っ直ぐに戻す。

 そして眠そうにしていた目をすうっと細めると、急にぴりっとした空気が流れ、麗翔は思わず身体を強張らせる。

 「どんな人間であれ、平等に裁く」

 「・・・!!けど」

 「巻物にはどんな人間でどんな生き方をしてきて、どんな罪を背負っていてどんな人間と関わって来たのか、その人物の全てが書かれている」

 「巻物だけじゃ分からないことだってあるわ!!」

 「人間と違って、巻物は嘘を吐かない。詳細に正確に書かれている。よって、ここにきた人間が天国に逝くか地獄に逝くかを決めることが出来る。それを決めるのはお前たちじゃなく、俺だ」

 再び反論をしようとした麗翔だったが、閻魔から感じるオーラに、何も言えなくなってしまった。

 かと思えば、すぐにぽかんとした表情になり、麗翔の後ろの方を見ていた。

 「おい、そこは何してんだ?」

 「あ、はい。埃っぽかったので、掃除をしていました」

 「小魔まで一緒に何やってんの」

 「いえ、言われれば確かに埃っぽいかと思いまして」

 琉峯と小魔は気が合ってしまったようで、2人して頭には三角巾を被り、マスクとエプロンをつけて、手には箒や埃叩きを持っていた。

 そういえば、寒いと思っていたら換気のために窓が開いていたんだと気付く。

 窓が開いていることに気付くと、煙桜は我慢出来なかったようで、窓際に行って煙草に火をつけた。

 「ふー、やっぱこの一服のために生きてるんだな、俺」

 「その一服が身体には相当毒だけどな」

 煙桜の近くに寄りながら、帝斗が鼻をつまんでわざとらしく手で煙を払っていた。

 そんな自由に動き回る鳳如の部下たちを見て、閻魔はさぼる口実が出来たと思ったのか、一緒に掃除をし始めた。

 それからしばらくして、鳳如たちは閻魔のもとを去って行った。

 小魔にしては珍しく、琉峯に向かってまた来てくれと頼んでいた。

 「何拗ねてんだよ、麗翔」

 「別にー?」

 「平等に裁くのが閻魔の役目、お前も分かってることだろ?何がそんなに気に入らないんだ?」

 「気に入らないわけじゃないわ。あいつの目を見れば、ちゃんと公平に判断してくれるってことくらい、分かってるもの」

 「じゃあなんでまだ不機嫌なんだよ」

 みなで帰っている間、麗翔は拗ねたように唇を尖らせていた。

 それに対して鳳如が問いかければ、麗翔は髪をガシガシとかきあげる。

 その時、煙桜がふと口を開いた。

 「結局、ぬらりひょんが何をしに人間界に行ったのか、詳しいことは聞けなかったな」

 「あ、確かに」

 天狗の言うとおり、ぬらりひょんのことだから心配しなくても良いのだろうが、何をしているかが気になってしまう。

 「それより帝斗、お前だけだからな、報告書出してないの」

 「え、マジ?麗翔も出したわけ?」

 「当然でしょ。あんたより遅くなるわけないじゃない」

 「てことだから、帝斗。あと3日は待ってやるが、それ以上遅れたらどうなるか、分かってるよな?」

 真っ黒い笑顔を浮かべた鳳如を見て、帝斗は顔を真っ青にしながら一足先に帰っていった。

 煙桜も、本日何本目かの煙草が短くなると、ポケットに入っている携帯用の灰皿にそれを入れる。

 「平和で何よりだな」

 空を見上げてそう煙桜が言えば、みな一様に空を見上げる。

 時代が変わろうとも、人間が変わろうとも、戦争があろうと平和であろうと、空はいつも変わらず蒼い。

 「明日も晴れそうだ」







 鳳如たちが帰って行った後、閻魔は椅子に座って頬杖をついていた。

 その人間の一生分の出来事が書かれている巻物を広げながら、麗翔が言っていたことを思い返していた。

 「確かに、ここに書かれていないその人間の人生もある、か・・・」

 「閻魔様、どうかなさいましたか?」

 「いや、なんでもない。俺疲れた。寝ていいか?」

 「ふざけないでくださいますか」

 「すんません」

 閻魔は砂時計をひっくり返すと、一度部屋を出て自室へと向かった。

 そして部屋の更に奥にある歪んだ時計に囲まれた部屋に入ると、そこでしばらく時間を過ごした。

 部屋に戻ってきた閻魔は、半開きの目を洗濯バサミを使って強制的に開かせ、なんとか仕事を続けていた。

 しかしどうしても眠気というものは襲ってくるわけであって、閻魔が目を大きく開きながらもウトウトしている閻魔を見て、小魔は仕方なく休憩をとることにした。

 閻魔と、隅に座っている翠にお茶を出しながら、小魔は話す。

 「それにしても、いきなり来て、話したいことだけ話して帰るなんて、失礼な連中でしたね」

 「ああ、本当にな」

 「閻魔様も閻魔様です。本来であれば、彼らは処分する対象ですからね」

 「わかってるよ。そんな怖い顔するなって」

 死んだ人間を裁くこの閻魔界に置いて、生きている人間が来るなんてとんでもない話であった。

 どうやってここへ来たのかと聞けば、きっと鳳如が方法を知っていた、としか言いようがないだろう。

 小魔が入れたお茶を啜りながら、閻魔は翠に声をかける。

 「騒がしくして悪かったな」

 「いえ、私は別に」

 「けど、良い奴等だろ?」

 「え?」

 初めて会った人のことを、話してもいないのに良い人かどうかなんてすぐには決められないが、閻魔と話しているのを見ていて、悪い人には見えなかった。

 返答に困っていると、閻魔が続ける。

 「人間は嘘を吐く生き物だ。けど、あいつらみたいに嘘を吐かない奴らもいる。まあ、だからこそ、あいつらはあいつらで苦労もしてきたんだろうけどな」

 「・・・嘘を吐いていないなんて、どうしてわかるんですか?心が読めるわけでもないのに」

 もっともな翠の意見ではあるが、閻魔はそれに対して笑いながらこう言った。

 「嘘を吐く意味はなんだと思う」

 「嘘を吐く意味、ですか?」

 「ああ。人を傷つけるため、人を陥れるため、自分を守るため、自分を大きく見せるため、何かを隠す為・・・まあ、色々あるだろうけど、そういうことをする必要がない間柄っていうのか。あいつらは、互いや自分の性格や力を把握し理解してる。だから、嘘を吐く理由がないんだよ」

 閻魔の言葉に、翠は少し俯いた。

 嘘を吐くというのは、それだけ信頼関係が無いということでもある。

 信頼関係があるからこそ、嘘は必要ではない。

 閻魔はお茶を飲み干すと、もう一杯おかわりを貰おうとしたのだが、小魔にそれより先に仕事に取り掛かるように言われてしまったため、渋々仕事に戻った。

 「嘘を吐く必要がない、か」







 悠啻に捕まってしまった澪音は、牢屋の中で蹲っていた。

 用意されたトレ―には、小さなパンと少しのスープが乗っているが、全く手をつけていないため、パンは固くなってスープも冷たくなってしまっている。

 それを下げて新しいものにされるわけでもなく、ただそこにずっと置かれている。

 見張りが何人か交代しているようだが、一度として顔をあげていない澪音は、今誰がいて誰が休んでいるのかも分からない。

 ただ、悠啻に止めを刺すことが出来なかった自分を責めているだけ。

 こうしている時間さえ、逃げ出すことよりも先に考えてしまうのは、どうしたら確実に悠啻を仕留められるか、ということだ。

 今が朝なのか昼なのか、それとも夜なのかさえ分からないが、そんなこと澪音には関係なかった。

 「おい」

 「・・・・・・」

 「おい、顔をあげろ」

 「・・・・・・」

 「おい!!聞いてるのか!!!」

 見張りの男に声をかけられるも、それを無視していた、というより、聞こえていなかったから返事が出来なかった。

 返事をしない澪音に、男は持っていた槍のようなものを突きつけてきた。

 そこでようやく、澪音はゆっくりと顔をあげる。

 男と目が合うが、澪音の瞳は黒く澱んでおり、すでに男など捉えていなかった。

 「まだ生きてやがるのか。しぶとい野郎だぜ。いっそ、死んじまった方がいいんじゃねえのか?」

 卑下た笑いを浮かべながら、男はまるで自分が澪音よりも上の人間かのような口調でそんなことを言った。

 正直言って、自分の命にも興味などない澪音は、男の言葉などまともに聞くこともなく、また顔を埋める。

 そんな澪音の行動が気にくわなかったのか、男は澪音に槍を何度も当てる。

 最初はチクチクと痛いだけだったが、徐々に力が強まってくると、先矛は身体にまで喰い込んできた。

 そのうち澪音の身体からは血が出てきてしまったが、本人は叫びもせず、睨むこともせず、顔を下げたままだ。

 「この野郎」

 男が澪音の頭に槍をつき当てたその時、別の男の声が聞こえてきた。

 「止めろ」

 「も、望來・・・なんだよ!お前こそ、なんでこんなところに!ここは俺達が任されてるんだぞ!!」

 「悠啻様から伝言を預かってきた。少し席をはずせ」

 「なんでお前の言う事なんて聞かなくちゃいけねえんだよ!!」

 それからすぐ、男のひいい、というおかしな声が聞こえてきたかと思うと、男の足音と思われる、ドタドタという汚い足音が遠ざかって行った。

 静まり返った空間に、低い、それでいて柔らかい声が降ってきた。

 「お前も災難だったな。だが、俺に出来ることはなにもない」

 「・・・・・・」

 顔をあげること無く、澪音はただ耳だけを澄ませていた。

 小さいため息が聞こえてきた後、続けてこう話しかけてきた。

 「悠啻様からの伝言だ。『処刑されるか、それとも死ぬまでここで働くか、どちらにするか決めろ』とのことだ」

 死ぬか、生きて死んだように働くか。

 究極の2択ではあるが、澪音にしてみれば、これほど簡単な2択はなかった。

 ゆっくりと顔をあげた澪音は、口角をあげて笑っていた。

 それを見て、望來は少しだけ驚いたような表情を見せたが、またすぐにいつものように落ち着いて見せた。

 「俺があいつの下で働く?有り得ないな。あいつの下で働くくらいなら、俺は潔く死を選ぶ」

 「・・・・・・」

 迷うことなくそう答える澪音に、望來はこんなことを言った。

 「働いていれば、殺せる機会を得られる、そうは思わないのか?」

 「ふん。どうせあいつの近くにはお前がいるんだ。そんな都合よく殺せるはずがない。それが分からないほど俺は馬鹿じゃない」

 望來の言うとおり、悠啻の下で働くとあれば、どこかしらで悠啻に近づける、または間接的に近づいて殺せるかもしれない。

 しかし、そんなこと出来るのであれば、悠啻はもうこの世にはいないだろう。

 悠啻を殺そうとして近づいてきた澪音を、誰も警戒しないで悠啻に近づけさせるはずもない。

 それが分かっているからこそ、澪音に残された道は一つしかなかった。

 「そうか・・・。残念だ」

 澪音に考え直す意思がないと分かると、望來はくるっと後ろを振り返った。

 「そう決めたのなら、もう何も言うまい。悠啻様に報告させてもらう」

 望來が去って行った後、また見張りの男がやってきて、澪音に何やら声をかけてきたのだが、そんなもの耳には入ってこなかった。

 それにまたイライラしたのか、男は槍でまた澪音を突きだした。

 「そうか、死を選んだか。大したもんだ」

 澪音が処刑を望んだことを悠啻に伝えると、悠啻はケラケラと笑った。

 「まあ、そういうと思ったけどな」

 悠啻が言うには、人間には極端に2つにわけられるという。

 死を恐れる人間と、恐れない人間。

 大抵の人間は、死という概念を普段から身近に考えていないためか、いざそのような状況になったとき、絶望感を露わにするらしい。

 しかし、そうなったときにも冷静でいられる人間がいるようで、死を客観的に見ているせいか、自分の身にそれが起こったとしても、大して驚かないようだ。

 「望來、あいつの処刑日はいつが良いと思う?」

 「分かりかねますが、晴れの日がよろしいのではないでしょうか」

 「晴れ?なんで?」

 「雨ですと剣が錆びますので」

 「なんだそりゃ」

 日々暇ではある悠啻だが、女性たちとの約束が入っていたり、金を集めたりしなければと、色々忙しかったのだ。

 そこで、悠啻はちゃっちゃと終わらせようと、3日後にすることにした。

 いきなりのことで驚いた者も当然いたのだが、当事者よりはマシだろう。

 「おい、お前3日後に処刑だってな」

 「哀れだな、その若さで」

 交代でやってくる男たちが、未だに顔をあげない澪音に向かって、そんなことを話しかけていた。

 澪音は、自分があと3日だけ生きられることを知ると、隠した顔で笑みを作っていた。

 澪音の処刑まで、特に準備などすることはなかったのだが、悠啻としては一種の見せしめの行動でもあったため、出来るだけ澪音の処刑には参加するようにと、国の者たちに伝えていた。

 誰かの処刑だということで、国民たちはヒソヒソと話をしていた。

 誰が殺されるのだろうか、自分達にまで被害は及ばないのか、これからどうなるのか、などといったことだ。

 そんな澪音の処刑の話は、当然ながら、ぬらりひょんの耳にも入っていた。

 以前、悠啻を殺そうとしていたところを止めたというのに、やはり止められない感情というものがあったようだ。

 忘れようと思っても忘れられず、誰にも何処にもぶつけられないその感情を落ち着かせるには、悠啻を殺すしかないと考えついたのだろう。

 「早まりおったか」

 それから3日間、澪音はただ牢屋の中で眠るように丸まっていた。

 男たちが話しかけても当然だが、時折、男たちが澪音に暴力を振るっていないかを見に来る望來でさえ、澪音が生きているのか確認出来なかった。

 「望來、澪音の様子はどうだ?」

 「変わりありません」

 「ちぇ。ちょっとは命乞いでもしてくるかと思ったんだけどな。つまんねえな」

 女性を両腕に抱きながら、悠啻はワインを飲んでいた。

 すぐに処刑することは可能だったのだが、それをせずに3日という期間を設けたのは、その間に自分が死ぬことを考えたとき、恐怖に襲われて自分に助けを求めにくるのではないかと思ったからだ。

 しかし、1日経とうと、2日経とうと、澪音は決して乞いては来なかった。

 「なあ、明日の処刑って、俺がやっていいんだよな?」

 「そう仰ると思いまして、悠啻様用の剣をご用意いたしました」

 「さっすが」

 ギロチン、アイアンメイデン、串刺し、様々な処刑方法はあるものの、機械を用いての処刑は悠啻の好みではなかった。

 人が死ぬときは、人の手で、というのが悠啻の変わったこだわりであった。

 そんなことを言われても、処刑される側の人間からしてみれば、機械だろうと人間だろうと、処刑されるのは同じだが。

 2日目の夜、いよいよ明日ということもあり、悠啻は処刑場を下見に行った。

 「なんだこれ?」

 「それは首や手足を固定するものです。逃げないようにと用意したのでしょう」

 「ふーん。これ、外しておけ」

 「は、良いので?」

 「いいんだよ、あいつが此処まで来て、逃げると思うか?」

 そう言うと、悠啻はもう下見を終わりにするのか、待たせていた女性達の肩に腕を回し、また家へと戻って行った。

 残された望來は、悠啻に言われた通り、首などを固定するそれらを撤去するよう、その場にいた者達に指示を出した。







 その頃、牢屋にいた澪音は、颯天のことを思い出していた。

 颯天が生まれてすぐのころは、澪音も子供だったということもあり、両親を取られてしまったような感覚からか、頬を抓ったり、泣いていても無視をしたことがあった。

 今にして思えば、なんてつまらないことをしたんだろうと思う。

 大きくなってくると、両親よりも自分に懐いてくる颯天がとてもかわいかったし、真似もしてきて、後ろを着いて歩いてきていた。

 いつしか守らなければいけない存在になっていた。

 両親が亡くなってからも、2人で寄りそって生きてきた。

 颯天のために、働いて働いて働いて、体力的にも辛くて大変な時期も沢山あったけれども、颯天のためならばと頑張れた。

 毎日ご飯を食べられることに感謝して、毎日こうして颯天と2人で一緒にいられることに感謝して、そうやって生きてきた。

 自分が颯天のためにと思って生きてきたように、きっと颯天もそうだったのだろう。

 自分のために朝な夕な働いている兄を見て、颯天も、自分も何かしなければと思ったのだろう。

 家に帰ると慣れない手つきで料理をしているときもあったし、澪音が外へ仕事をしに行っている間、近場で自分にも出来る仕事を見つけていたのだ。

 それは澪音の仕事と比べてしまうと、大したことではなかったかもしれないが、その気持ちだけで充分だった。

 颯天は澪音に気付かれていないと思っていたようで、澪音もそのことに関しては特に何も言わなかった。

 近所の知った顔の大人たちも一緒に働いていたこともあり、その点での心配はなかった。

 「ただいま」

 「おかえり」

 「いってきます」

 「いってらっしゃい」

 ただその会話だけでも、この世には自分だけじゃないと思えた。

 自分1人のためならば、きっとこんな命、とうの昔に捨てていただろう。

 しかし、他の誰かのためだったからこそ、ここまで生きて来られたのだ。

 けれど、そんな颯天も、もういない。

 目的としてあったその存在がいなくなってしまうと、人間というのはこうも簡単に抜け殻のようになってしまうものだ。

 「兄さん、僕も頑張るから」

 「兄さん、僕たちこれからどうなるのかな」

 「兄さん、もしも僕に何かあったら、兄さんだけでも長生きしてね」

 「僕、兄さんの弟に産まれてきて、本当に良かった」

 金なんかよりも、もっと大事なものがあるってことを、伝えておけば良かったんだ。

 本当は世の中の流れに乗ることしか出来ない臆病な兄だってことを、知られるのが怖かったんだ。

 颯天、お前との約束は何があっても守る心算だったけど、ごめんな。

 俺はもう、身体も心も存在していない。

 澪音は、久しぶりに顔をあげた。

 そして月灯りさえ見えない天井の方をただただ眺め、小さく微笑んだ。







 「おい、これはどういうことだ」

 悠啻は、とても不機嫌になっていた。

 「望來、説明しろ。昨日の見張りはどいつだ」

 「見張りはこの男です」

 「おっ、俺は何も知らねえぞ!!」

 望來が、自分よりも大柄な男の首根っこを掴んで悠啻の前に突き出すと、悠啻は男を冷たい目つきで見たかと思えば、次の瞬間にはにこっと笑い、こう言った。

 「役立たずが」

 「おお、お赦しをおおっ!!!」

 男の悲鳴も虚しく、首がごろん、と床に落ちて転がった。

 身体だけになった男は、バランスを崩したのか、それとも指示する器官が離れてしまったからなのか、倒れた。

 悠啻は足元に転がっている男の首を適当に蹴ると、牢屋の鉄格子を握る。

 「ちっ。ふざけやがって。全部おじゃんじゃねえか」

 「悠啻様、本日の予定はキャンセルになりますので、広場にてご説明をされてはいかがでしょうか」

 「面倒臭ぇな。望來、お前に任せるよ。俺は機嫌が悪ィんだ。部屋にいるが、女も入れるな。今会ったら殺しちまうかもしれねぇからな」

 「わかりました」

 ブツブツと文句を言いながら、悠啻はそこから去って行った。

 悠啻が去って行った後、望來は他の見張りの男たちに、死んだ男の後始末をさせる。

 望來は牢屋の中にもう一度顔を向けると、その中で壁に凭れかかっているその人物を見つめる。

 鍵を開けて中に入ると、一歩一歩近づく。

 「哀れな末路を」

 そこにいるのは、もうすでに息絶えてしまっている澪音だった。

 口から流れ出る赤いものは、澪音の死を示していた。

 処刑されるよりも、自ら死を選んだ。

 悠啻の性格から言うと、きっと処刑よりも自ら死を選ぶことで、澪音は少しでも悠啻から逃れようとしたのだろう。

 案の定、悠啻はとても不機嫌になり、今日の処刑も失敗に終わった。

 3日、という期間を設けてしまったことで、その間気持ちを高揚させていた悠啻の感情は、苛立ちとなって込み上げて来ている。

 それが分かっていたからこそ、澪音はこうした死を選ぶしかなかったのだ。

 澪音の遺体を運んで埋めるようにと伝えると、望來もまた、そこから離れた。

 コンコン、と何度かのノックをしてみるが、部屋の住人から返事はない。

 仕方なく部屋に勝手に入ると、その瞬間、部屋の中からアイススティックが飛んできた。

 望來だったから避けられただろうが、きっと他の者達だったら顔の何処かにそれが突き刺さっていたことだろう。

 「悠啻様、そんなにお酒を飲まれてはお身体に毒です」

 「うるせぇ。飲まないでいられるかよ。こんな屈辱・・・」

 悠啻の足元には、すでに数本の空になった瓶が転がっていた。

 散らかっているそれらを、望來は慣れた手つきで片づけていると、急にガシャン、という大きな音が聞こえてきた。

 そちらに目をやるでもなく、何が起こっているかなんてわかり切っている。

 悠啻が瓶を割ったのだ。

 ただ、怒りに身を任せて。

 それからしばらく、折角望來が片づけたにも関わらず、瓶が部屋中を飛び交い、散乱する羽目になった。

 それをただため息を吐きながら見ていると、そのうち悠啻は大人しくなった。

 ただ瓶を投げつけていただけだというのに、酷く荒くなった呼吸は、きっとそれだけ感情をこめての行動だったからだろう。

 「望來」

 「はい、なんでしょう」

 はあはあ、と息をしながらも、悠啻はゆっくりとソファに座ると、中指の爪を噛む。

 そして視線だけを望來に向けると、こう言った。

 「お前も同じような逃げ方しやがったら、お前の家族、死んでも死にきれねぇ殺し方してやるからな」

 「・・・御心配なさらず。この命、悠啻様のために一生を尽くすと心に決めましたので」

 「そうかい。ならいいんだ」

 視線を窓に向けると、悠啻は足を組んでまだ爪を齧っていた。

 その間、望來は床に散らばった元瓶だった破片たちを集めて行く。

 「・・・っ」

 指先からぷつ、と赤い液体が出てくるが、帳面表力によって指の上で粒となっていた。

 それを悠啻に見つからないようにぺろ、と口に含んで舐めとると、片づけを続けた。







 「おい、どうしたんだ、翠?」

 「え?」

 閻魔のもとにいた翠だが、急に閻魔と小魔が驚いたような表情を翠に向けた。

 翠はどうして2人がこちらを見ているのか分からなかったが、その答えはすぐに見つかった。

 「あれ・・・?」

 自分の顔を触ってみると、自分の頬が濡れていることに気付いた。

 しかし、だからといって、どうして自分が泣いているのか、その理由は何も思い浮かばない。

 閻魔と小魔は互いに顔を見合わせていると、また新たな巻物が沢山運ばれてきた。

 「お?」

 仕事をしようと巻物を幾つか広げてみた閻魔は、何かに気付く。

 そして翠の開かなかった巻物を手に取ってみると、どういうわけか、今は開けるようになっていた。

 翠の生涯が載っているその巻物を読み終えると、閻魔は小魔を手招きして、何かをささやいた。

 小魔が閻魔に一礼をして部屋から出て行くと、しばらく閻魔の独りごとが聞こえてきた。

 翠は自分の頬を濡らすそれを拭っていると、すぐに小魔が戻ってきた。

 「連れてきたか?」

 「はい」

 2人の会話に翠が首を傾げていると、小魔の後ろから男が入ってきた。

 最初は誰だろうと思ってしまったが、徐々に記憶が蘇ってくると、翠の目からは次々に涙があふれてきた。

 「お兄ちゃん・・・!!」

 翠が閻魔の部屋を無事に成仏して出て行った後、また別の男がやってきた。

 閻魔は男を見て裁きを下したあと、巻物を閉じながらこんなことを言った。

 「着いて来い。お前に会わせたい奴等がいる、っていうか、会いたがってる?」

 「・・・?」

 「閻魔様、その役目は私が」

 「いや、俺が行く。小魔はちょっとここで待っててくれ」

 ここには、2人の門番がいる。

 閻魔は軽く手をあげると、門番が扉を開けて中へと誘った。

 すぐそこに待っていたのは、自分が生まれてきた、そして生きてきた存在意義でもあったもの。

 「颯、天・・・?」

 「兄さん、早いよ、こっちに来るのは」

 「それに、お前・・・」

 弟の颯天の隣に立っていたのは、友人である陽太だった。

 どういう経緯で亡くなってしまったのか、今はそんなことどうでも良い。

 こうしてここで会えたのだからと、澪音は意思とは関係なく溢れ出てくるそれを止めることは出来なかった。

 「兄さん、随分会わないうちに、泣きむしになった?」

 「うるせぇよ。だいたい、兄貴より先に逝っちまう弟がいてたまるか」

 「ごめんね」

 「陽太も、まさかこんなところで会えるとはな」

 「ほんとにな。こんな再会も悪くないな」

 澪音を残して、閻魔は出て行った。

 部屋に戻ると、いつも自分が座っている椅子に、自分ではない誰かが座っていた。

 「おつかれさん、ぬらりひょん」

 「心がこもっておらんな」

 「何言ってんだよ。100年分くらいの気持ちを込めて御礼を言ったってのに。なあ、小魔?そう思うだろ?」

 「大してこもっていなかったかと」

 「さすがだな。上司を裏切るとは」

 椅子に座ってクルクル回っていたぬらりひょんだが、すぐに飽きてしまったようで、椅子から下りてドアの方へと向かって歩いていた。

 「なんだ、茶でも飲んで行くのかと」

 横に並んだ2人を見て、小魔は思った。

 閻魔もそんなに背が低い方ではない、というよりも高いほうだが、それよりもぬらりひょんは高かった。

 羨ましいな、と今の状況ではどうでも良いことを想っていると、ぬらりひょんは閻魔を見ることなく、こう言っていた。

 「主に会うのは、これっきりにしてほしいものじゃ」

 「そうなるように、願ってるよ」

 ぬらりひょんが去って行ったあと、閻魔はまた椅子に座り、仕事に取り掛かるのだった。







 「ぬらりひょん、戻っておったのか」

 リンゴを齧りながら、天狗がぬらりひょんがいつもいる木の上に造った小さな小屋までやってきた。

 すでに身体を仰向けにして寝ようといているぬらりひょんは、少しだけ目を開けると、またすぐに閉じてしまった。

 「人間界に行っておったのか。どうじゃった?」

 「・・・・・・どうもせんわ。いつの時代も難しい生き物じゃ」

 そんなぬらりひょんの解答に、天狗は小さく笑った。

 鳳如たちが閻魔のもとに行ったことも知っていたようで、天狗はそのことも交えながら話しをしていた。

 ぬらりひょんは目を閉じているため、聞いているのかは分からないが、それでも天狗は話していた。

 だからといって、無駄に長く話すわけでもなく、要点をまとめて端的に話すため、聞いていても別に耳障りではない。

 すうっと目を開けると、ぬらりひょんは静かな声で呟いた。

 「閻魔は知っておるだけじゃ。人間は唯一、自ら命を絶つ生き物であることも。殺すという概念を持っている生き物であることもな」

 「確かにのう」

 動物が動物を手にかけるのには、わけがあるのだ。

 食物連鎖、それは生きるための源であり、栄養源や活力になるものだ。

 何かの命を自分の中に取り入れることによって、動物や植物は生き長らえているのだ。

 人間のように、趣味や憂さ晴らしで殺す、といったことはない。

 しかし、武器を持ってしまった人間は、自分達がその頂点に立っていると勘違いし、自分よりも弱いものたちを苦しめる。

 殺す、殺される、という概念がある。

 生かす、生かされる、という概念があまりない。

 「なんとも哀れで愚かな者じゃ。欲だけを覚え、欲だけに生きる。人間にはなりとうないものじゃ」

 「それでもあいつらに力を貸すのは、それだけ人間の良さも知っておるからかのう」

 「・・・さあのう。ワシにも分からん」

 人間なんて、プラスマイナスで考えてみたらマイナスなことしかないだろう。

 一斉に人間界に入って攻めれば、すぐにでも落とせるものだ。

 しかしそれをしないのは、人間というひとくくりにまとめてしまうのは惜しいと思っているからかもしれない。

 「ただ一つ思うておるのは」

 「なんじゃ?」

 ぬらりひょんは上半身を起こすと、腰にあると寝るのに邪魔だからと外してあったひょうたんの形をした酒だった。

 それを喉に流し込んだあと、外を眺めて微かに笑う。

 「どう変わっていくのかを、見ておるのは楽しそうじゃ」

 「・・・そうじゃのう」

 変わらないかもしれない、しかし変わるかもしれない。

 どうなるか分からないが、見ているだけなら良いだろう。

 ぬらりひょんたちがそんなことを話していることなど知らず、鳳如たちは今もきっとあの場所にいるのだろう。

 「ワシらは人間より長生きじゃ。のんびり待つのも悪くなかろう」







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登場人物紹介

ぬらりひょん:基本ラグナロクに出てくる。和服姿。酒が好きで腰に酒をさげている。


『昔は酒なぞ呑めなんだがな』

閻魔(えんま):地獄で色々頑張ってる。最近むくみを気にし始めたらしい。


『ずっと座ってるのってある意味拷問じゃね?』

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