第2話どうして病院は緊急患者の受け入れを断るの?
文字数 1,784文字
さて医療崩壊が叫ばれ久しい日本医療業界です。特に救急診療科・小児科・産婦人科の受け入れ体制は深刻で、救急医療そのものを廃止してしまう病院は後を絶ちません。
大多数の救急が、マンパワー不足・キャパシティ不足のために、常にパンク寸前又は本当にパンクの状態に陥っており、救急車を呼んでも2~30件断られる可能性が大いにありえるのが、現在の日本医療救急の現状です。
また、過重労働で医療者が倒れる、燃え尽きて退職……などで、救急科そのものを辞める病院も多く出ており、今後は【受け入れ不能】状態が悪循環的に加速し、最悪〝たらい回せる病院〟すら無くなるという事態もあり得ます。
その原因はなんでしょうか?僭越ながら今回はそんな救急医療を取り巻く現状を、Q&A方式でご紹介したいと思います。
Q:なんで急患の受け入れを断るの?
A:人員・設備が足りないなどの〝物理的問題〟と、後述する受け入れると犯罪になってしまうケースがある〝法的問題〟で【受け入れ不能】なためです。
Q:なんで「専門外だから」と言って断るの?
A:【奈良心タンポナーデ事件】という「専門外の患者を受け入れるのは犯罪」という司法の判例があるためです。
どのような事件だったか、簡単にご説明致しますと、自動車運転中に交通事故に遭い、奈良県立五條病院に搬送された心タンポナーデ症状のある患者を、当時の救急担当医だった〝脳外科医〟が診察し、結果的に命を救えなかった痛ましい事件です。
この医師は後に〝刑事告訴〟をされて有罪判決を受けております。
Q:ベッドが無いなら、廊下で治療すれば?
A:【加古川心筋梗塞事件】という〝設備不十分な状態で患者を受け入れるのは犯罪〟という司法の判例があるため不可能です。
そもそも病院でいうところの【ベッド】とは、心電図・挿管器具・薬剤・ルート・血液等検査機器・X線装置・CT・MRI・酸素マスク・サクション・透析装置・ナースコール、そしてそれらを管理する医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師・放射線技師・管理栄養士・理学療法士・作業療法士まるまる全て含めて【ベッド】です。最早【ベッド】というより【設備】と言ったほうが良いでしょう。
Q:応急処置してから、他の病院に移すのは駄目なの?
A:前述した【加古川心筋梗塞事件】という〝応急処置の後、他病院に転送するのは犯罪〟という司法の判例があるため不可能です。
どのような事件かご説明致しますと、加古川市民病院が心筋梗塞の患者を一時的に受け入れ治療しておりましたが、容態が急変し専門の医師を捜すため応急処置をしながら転院先を探しましたが17件の病院が【受け入れ不可能】で、最終的に命を救えなかった事件です。
この事件で、司法は医師と病院に有罪判決を下し、賠償金の支払いを命じております。
Q:なんで、一度断った病院が、後になって受け入れる事があるの?
A:救命中であった患者が【回復する】か【永眠される】かのどちらかで、病院側ベッドに【空き】が出来たためです。
Q:ぶっちゃけ、人の命より金儲けのほうが大事なんでしょ?
A:ドラマや映画にもなりやすい花形稼業で知られる救急医療ですが、病院経営という目線から見ると以外にも赤字の部門です、儲かりません。今の時代でしたら精神科に転身しメンタルクリニックでも作りカウンセリングでもしていた方が儲かりますし、訴訟されるリスクも低いです。
Q:医師や医療者が足りないなら、海外から呼んだら?
A:医療者への待遇が悪い日本に来る理由が見当たりません。日本の医療者に対する待遇は、諸外国の待遇よりも遥かに悪いのです。最近では海外から看護師・介護士を導入しようとしましたが想定の2割も日本に残らず800億円をドブに捨てたことがありましたね。
Q:救急病院が急患を受け入れられないなら、救急病院を辞めちゃえば?
A:ご安心ください!次々病院が救急診療科を撤退しているか、医療者が潰れて見るも無惨な有様になっております!
……以上、Q&A方式で救急医療についてお話をさせて頂きました。今後高齢社会に突入した日本は洒落にならないレベルで救急患者が増えることでしょう。そのとき以上の下らない理由で【受け入れ不可能】が頻発し、本来救えたはずの命が救えない理不尽はあってはならないと思うのです。
願わくば、国民の皆様が医療に関心を持たれますことを。
大多数の救急が、マンパワー不足・キャパシティ不足のために、常にパンク寸前又は本当にパンクの状態に陥っており、救急車を呼んでも2~30件断られる可能性が大いにありえるのが、現在の日本医療救急の現状です。
また、過重労働で医療者が倒れる、燃え尽きて退職……などで、救急科そのものを辞める病院も多く出ており、今後は【受け入れ不能】状態が悪循環的に加速し、最悪〝たらい回せる病院〟すら無くなるという事態もあり得ます。
その原因はなんでしょうか?僭越ながら今回はそんな救急医療を取り巻く現状を、Q&A方式でご紹介したいと思います。
Q:なんで急患の受け入れを断るの?
A:人員・設備が足りないなどの〝物理的問題〟と、後述する受け入れると犯罪になってしまうケースがある〝法的問題〟で【受け入れ不能】なためです。
Q:なんで「専門外だから」と言って断るの?
A:【奈良心タンポナーデ事件】という「専門外の患者を受け入れるのは犯罪」という司法の判例があるためです。
どのような事件だったか、簡単にご説明致しますと、自動車運転中に交通事故に遭い、奈良県立五條病院に搬送された心タンポナーデ症状のある患者を、当時の救急担当医だった〝脳外科医〟が診察し、結果的に命を救えなかった痛ましい事件です。
この医師は後に〝刑事告訴〟をされて有罪判決を受けております。
Q:ベッドが無いなら、廊下で治療すれば?
A:【加古川心筋梗塞事件】という〝設備不十分な状態で患者を受け入れるのは犯罪〟という司法の判例があるため不可能です。
そもそも病院でいうところの【ベッド】とは、心電図・挿管器具・薬剤・ルート・血液等検査機器・X線装置・CT・MRI・酸素マスク・サクション・透析装置・ナースコール、そしてそれらを管理する医師・看護師・薬剤師・臨床検査技師・放射線技師・管理栄養士・理学療法士・作業療法士まるまる全て含めて【ベッド】です。最早【ベッド】というより【設備】と言ったほうが良いでしょう。
Q:応急処置してから、他の病院に移すのは駄目なの?
A:前述した【加古川心筋梗塞事件】という〝応急処置の後、他病院に転送するのは犯罪〟という司法の判例があるため不可能です。
どのような事件かご説明致しますと、加古川市民病院が心筋梗塞の患者を一時的に受け入れ治療しておりましたが、容態が急変し専門の医師を捜すため応急処置をしながら転院先を探しましたが17件の病院が【受け入れ不可能】で、最終的に命を救えなかった事件です。
この事件で、司法は医師と病院に有罪判決を下し、賠償金の支払いを命じております。
Q:なんで、一度断った病院が、後になって受け入れる事があるの?
A:救命中であった患者が【回復する】か【永眠される】かのどちらかで、病院側ベッドに【空き】が出来たためです。
Q:ぶっちゃけ、人の命より金儲けのほうが大事なんでしょ?
A:ドラマや映画にもなりやすい花形稼業で知られる救急医療ですが、病院経営という目線から見ると以外にも赤字の部門です、儲かりません。今の時代でしたら精神科に転身しメンタルクリニックでも作りカウンセリングでもしていた方が儲かりますし、訴訟されるリスクも低いです。
Q:医師や医療者が足りないなら、海外から呼んだら?
A:医療者への待遇が悪い日本に来る理由が見当たりません。日本の医療者に対する待遇は、諸外国の待遇よりも遥かに悪いのです。最近では海外から看護師・介護士を導入しようとしましたが想定の2割も日本に残らず800億円をドブに捨てたことがありましたね。
Q:救急病院が急患を受け入れられないなら、救急病院を辞めちゃえば?
A:ご安心ください!次々病院が救急診療科を撤退しているか、医療者が潰れて見るも無惨な有様になっております!
……以上、Q&A方式で救急医療についてお話をさせて頂きました。今後高齢社会に突入した日本は洒落にならないレベルで救急患者が増えることでしょう。そのとき以上の下らない理由で【受け入れ不可能】が頻発し、本来救えたはずの命が救えない理不尽はあってはならないと思うのです。
願わくば、国民の皆様が医療に関心を持たれますことを。