第4話民間がコロナを受け入れないのは、理屈じゃねーんですよ。

文字数 1,156文字

 なにやらTVを見てもネットを見ても、『民間の病院がコロナ患者を忌避している!!』という論調が目につきます。

 事実、大阪府では吉村洋文知事が、民間病院に新型コロナウイルス患者の受け入れを求めるため、病院団体に新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく「指示」を出す手続きを始めると明らかにしました


 吉村知事は〝罰則規定がないので、効果は定かではない〟といいます。賭けてもいいですが、罰金10億円を課そうと受け入れないところは受け入れません。

 事実国内最大のクラスターが発生した北海道の某病院では、純損失額だけで19億円に上るとされております。これに風評被害・受診控え・失った地域の信頼・離れた医療人的資源を加味すれば天文学的数字になるでしょう。

 そもそも「日本は海外にくらべて病床数が多いのに云々」といいますが、日本に多い病床は急性期を脱した【回復期】【慢性期】【終末期】を診る・看るためのベッドが多いだけで、大多数は感染性の急性呼吸器疾患を想定しておりません。


 以前別のエッセイでも人工透析室で働く看護師がコロナの陽性だったにも関わらず勤務し、ネットでボロクソに叩かれている事象に反駁しましたが、病院がコロナを受け入れないのは理屈ではないのです。


 とどのつまり〝感情論〟という何とも厄介極まる代物です。


 【もし受け入れをして院内クラスターが発生した場合、亡くなった患者の命・失った医療人的資源・地域における風評被害を政府は全て補償してくれるのか?】

 という問題になってきます。

 それに今後法改正がなされて【コロナを受け入れない病院は罰則】となっても〝やむを得ない事情は除く〟という一文が入れば、病院は様々な言い訳を思いつきます。そりゃそうです。20年前から散々政府にいじめられ、マスコミに叩かれてきたのですから、場数が違います。

・うちには感染症内科の専門医がいません。【専門医が居ない状態で患者を診る】のは違法であると、司法の判例があるのでやむを得ないですよね?:※奈良心タンポナーデ事件

・うちには重篤化した場合、対応できるベッド(設備)がありません。【対応設備が不十分な状態で患者を受け入れるのは違法である】と司法の判例があるのでやむを得ないですよね?※加古川心筋梗塞事件

・うちには透析患者もおり、産婦人科が併設されています。【応急処置のみを施して転院を促す】のは違法であると、司法の判例があるのでやむを得ないですよね?※加古川心筋梗塞事件

 わたくしがざっと思いつくだけでこんなもんです。

 受け入れたければ【今すぐ医療従事者への差別を完全に撤廃する】【もしクラスターが起きたら国庫からその天文学的な損失をすべて補償する】

 これくらいのことをしなければ、民間がコロナ患者を受け入れることは不可能といえるでしょう。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み