第2話

文字数 548文字

 さらに続けるとすれば、味覚の天才でもある。
 一度でも食べたことのある料理であれば、それがどんなものであったとしても再現できると断言せざるをえない。たとえ、それが数百種類のスパイスを混ぜ合わせたカレーだろうが、プールに落とした一滴の醤油であろうがも、たちどころに銘柄はもちろん、産地や成分まで分析できよう。
 どうにかして証明したいところだが、これも文章の限界と諦めるよりほかはない。

 嗅覚も捨てたものではない。
 嗅いだ匂いを判別する事はもちろんのこと、その気になればトイプードル以上の能力を発揮する事が出来る。
 この前も初対面の人が残した財布の匂いだけで、持ち主の現住所までたどり着くことが出来た。それも三県隣だったにも関わらずに、だ。誓って言うが、決して中身の免許証を見た訳ではない。

 マグロの目利きもプロ並みだし、セパタクローだってオリンピック選手クラス(オリンピックにこの種目は無いが)、言語にしても二十六か国語を話せることは誰の目にも明らかであり、メーキャップに関しても、美容家のIKKOでさえ舌を巻くほどである。

 さっきから俺が嘘を言っているのでないかと疑う人もいるだろう。
 紛れもない真実だと証明したいところであるが、これが活字媒体の欠点と言える。こればっかりは信じてもらう他はない。
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