Stage5 鬼ヶ島 地下道
文字数 1,283文字
古き物資輸送路は鬼城二の丸へと繋がる
泣く子も黙るとうたわれた
おそろしき鬼の棲むところ
僕兵隊に志願するなんて一言も言った覚えないんですけど……戦争だなんて、探偵の仕事じゃありません
私だって、年若い君に兵役させるのは心苦しかったさ。だけどとっさにこれしか思い浮かばなかったんだよ
実際、将軍も君の強さには一目置いていたみたいだよ。力を貸してくれるなら心強いってさ
それに残念ながら、
皇将軍様から世界消失についての有力な情報は得られませんでしたし、次はこの世界の鬼と呼ばれる存在と接触したいと思ってたところです。この機を逃す僕ではありませんよ!
長良さんこそ。あの状況でよく“軍に入りに来た”なんて、苦し紛れの嘘を信じてもらえましたね。実は相当心臓が強いのでは?
そんなことないよ。小心者の卑怯者さ。だから嘘が得意なんだ
ひどい有様ですね……犯人許すまじ、と言いたいところですが……
さっきの子供……なるほど。あなたが鬼ですか。聞いていた通り、
獰猛なようで
勝手に
住処に勝手に入り込まれて荒らされて、何もしなければ殺される……それに抵抗することは、人間にとっては
獰猛なんだね
実のところ僕にはあなたと戦う理由はありません。鬼と呼ばれる方々に対して何か恨みがあるわけでもない
ですがそれでもあなたを倒さなくてはならないのです。何故なら今の僕は兵士として雇われている身なので!
別にいいよ。そういう人間はきっとたくさんいる。かけたくもない命をかけて、恨みもない相手の命も奪って、そうして得たわずかな報酬でかろうじて今日を生きてる人
あなたのような人間の手で、僕らの仲間はたくさん死んだ。でもそれもいい
ただ僕はあなたに負けはしない。この先には通さない。兄様の元へは行かせない。それだけだ
結構。さあ長良さん
初陣ですよ! はりきって……長良さん?
そう。僕は
鬼王宇羅部キリコの弟にして一番弟子、
和爾ナキマ。薄汚い略奪者どもめ、全員生きては帰すものか!
将軍様。さっきまでここに鬼がいたんですけど、すみません、取り逃してしまいました
そうか。遅れてすまなかった。どんな鬼だった? 特徴を教えてほしい
青い髪をした少年のような外見でした。
和爾ナキマ。そう名乗ってましたね
頼んだぞ。
宇羅部ともども、奴もここで仕留める
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