第1話

文字数 1,033文字

 最近、一部の?撮り鉄のマナーが悪い。というか、犯罪に近く社会問題になっている。
 走行する列車の完璧な写真を撮るために、踏切の非常停止ボタンを押して列車を止めてしまう。風景の邪魔になるので、民家の木を切ってしまう。イベント列車の撮影に駅のホームに殺到し、一般の乗客に迷惑をかける。そして、危険を注意した駅員を罵倒する。などなど…。
 以前私が見掛けた光景は、撮影場所の取り合いで撮り鉄同士が喧嘩になり、怒ったいい歳の小父(おじ)さんが三脚を振り回していた。まるでスター・ウォーズの映画に出てくる正義の戦士「ジュダイ」が使う剣「ライトセーバー」を振り回しているようで可笑しかった。正義の闘いとはおよそ程遠い、我儘な餓鬼(がき)の喧嘩だった。
 私も撮り鉄なので何となく肩身が狭い。
 が、私の撮り鉄には自分なりのこだわりがある。
 イベント列車や特別列車にはあまり興味がない。ラスト・ランなどのお別れ列車にも興味がない。日常生活の中の鉄道がいい。女性に例えるならば、化粧して綺麗に着飾った晴れ舞台に立つ女性もいいが、素顔の日常の笑顔の方が美しいと思う。
 また「お立ち台」と呼ばれる全国の有名な撮影地からの撮影も悪くはないが、凄く感動するということもない。有名な撮影地では少し違った角度から、または少し場所をずらすなどして新たな撮影場所を探す。カメラを意識してポーズを取る誰もが認める美女を撮るよりも、彼女の不図(ふと)した表情の方が美しかったりする。
 そして一番楽しいのは、誰もが気が付かなかった撮影場所を発見し、そこからの撮り鉄だ。
 「えっ!? この写真、どこから撮ったの?」
 「内緒だの。」
という写真が私には実に面白い。
 だから私の撮影はいつも一人だ。しかし、時にはここだ、と探し出した撮影場所に、すでに先客がいたりする。その時は、
 「ぬぬぬぬ、この人は只者ではない。」
と大いに感動し、尊敬する。
 先日、地元の老婆(?失礼)がママさんのスナックのカウンターで、趣味の話題からこの話になった。そしたら
 「先生は分かりやすい、単細胞で子供みたいだの~。」
と言われてしまった。ふ~。
 さて写真は、東京行き寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」である。

 この列車は朝 7:08 に東京駅に到着する。夜が明けた早朝の東海道線を、東京を目指して疾走する。東海道線にも有名な撮影地が多々あるが、ここからの写真は私が最初かなぁ…?(ニヤリ)
 さて、時間は何時で、撮影地はどこでしょう?

 んだの~?
(2023年7月)

 
 
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