第1話 生きる願い、思い出した出来事
文字数 1,179文字
私は普通の人とは少し違った過去を持つ。
はるか昔に夢憧れた世界、思い出せない誰かとの約束、他の人と違う私、今は生きる事に必死です。
何が違うのかと聞かれるなら、様々な意味で分岐点となる惨劇が起きた数年前に遡ります。
それは想像した事のない、魔物や魔法が存在するファンタジー世界で突然目を覚ました日の話です。
目を覚ましたと言うのは今の私の前、言うなれば前世の記憶を思い出した事で、きっかけは村に魔物が現れた際、子供の私は弄ぶように嬲られた結果、それこそゴミを捨てるような扱いで家の残骸に投げつけられた。走馬灯のように前世の記憶が頭の中に流れると一度死んだ事を理解したのだ。
『死にたくない』
その記憶を思い出す前は痛くて苦しくて早く殺してと思っていたけど、今は違う。
『身体中が痛いよ、力が入らない、少し動かすだけで痛みが走る、でも死にたくない』
壁に激突した際、どこか怪我したのか、呼吸のし辛さ、歯を食いしばり動こうとしたけど、激しく咳き込み、吐き気がした。
耐えることはできない。
目の前の地面に少し前、無理やり飲まされた何かと、赤い液体、身体のズキズキ感から私の血だと理解した。
血は初め少しだけだったのに、二回、三回と咳き込む度、口の中からドロドロとした血が出てきた。
『息をしなきゃ…呼吸が痛い…肺に何かあったのかな、誰か、誰か、助けて…』
折角、昔の私を思い出したのに、このまま終わるなんて嫌だと気力で耐えたけど、目が霞み始めた。
ある意味、運が良かったのに、ここで終わるわけにはと意識を保つことだけ考える。
そう、私をゴミのように使い捨てたのは虫の息で、それこそ死んだと思われたからだ。
壁に激突した時、息を吹き返した。
魔物は私を捨てた後、去って行ったからその後は捨て置かれたんだ。
けほっけほっ
『息するのが苦しいよ…』
数回咳き込み、血を吐く、治らない痛みは希望を削ぐように感じる。
周囲の音が静かだ…
無音、少し前まで悲鳴が響き、私を弄んでいる最中も視界に似たような事をされて動きを止めた人、強く拒んだ結果、ゆっくり細かく切り刻まれ、限界が訪れるまで泣き叫ぶ声耳を覆いたくなるような音が多かったのに、いつのまにか何も聞こえなくなっている。
『神様、助けて…』
神頼み、今の私にはそれしか出来ない…
「たすけ…」
頭の中で言葉を考えるのではなく、掠れる声で力を振り絞り、私は燈が消えそうな風の音で掻き消される程度の声を出した。
「おい!こっちにまだ息がある子供が居るぞ!!早く!早く来てくれ!!」
限界を迎えて閉じる重たい瞼、その最後に見えたのは白髪の人が私を見つけて、誰かを呼び、駆け寄った所で意識が途絶えた。
意識を失った私、意識がないはずの私、不思議な事に優しく温かい何かに包まれ、穏やかな安らぎを夢なのか分からない曖昧な状態で感じていました。
はるか昔に夢憧れた世界、思い出せない誰かとの約束、他の人と違う私、今は生きる事に必死です。
何が違うのかと聞かれるなら、様々な意味で分岐点となる惨劇が起きた数年前に遡ります。
それは想像した事のない、魔物や魔法が存在するファンタジー世界で突然目を覚ました日の話です。
目を覚ましたと言うのは今の私の前、言うなれば前世の記憶を思い出した事で、きっかけは村に魔物が現れた際、子供の私は弄ぶように嬲られた結果、それこそゴミを捨てるような扱いで家の残骸に投げつけられた。走馬灯のように前世の記憶が頭の中に流れると一度死んだ事を理解したのだ。
『死にたくない』
その記憶を思い出す前は痛くて苦しくて早く殺してと思っていたけど、今は違う。
『身体中が痛いよ、力が入らない、少し動かすだけで痛みが走る、でも死にたくない』
壁に激突した際、どこか怪我したのか、呼吸のし辛さ、歯を食いしばり動こうとしたけど、激しく咳き込み、吐き気がした。
耐えることはできない。
目の前の地面に少し前、無理やり飲まされた何かと、赤い液体、身体のズキズキ感から私の血だと理解した。
血は初め少しだけだったのに、二回、三回と咳き込む度、口の中からドロドロとした血が出てきた。
『息をしなきゃ…呼吸が痛い…肺に何かあったのかな、誰か、誰か、助けて…』
折角、昔の私を思い出したのに、このまま終わるなんて嫌だと気力で耐えたけど、目が霞み始めた。
ある意味、運が良かったのに、ここで終わるわけにはと意識を保つことだけ考える。
そう、私をゴミのように使い捨てたのは虫の息で、それこそ死んだと思われたからだ。
壁に激突した時、息を吹き返した。
魔物は私を捨てた後、去って行ったからその後は捨て置かれたんだ。
けほっけほっ
『息するのが苦しいよ…』
数回咳き込み、血を吐く、治らない痛みは希望を削ぐように感じる。
周囲の音が静かだ…
無音、少し前まで悲鳴が響き、私を弄んでいる最中も視界に似たような事をされて動きを止めた人、強く拒んだ結果、ゆっくり細かく切り刻まれ、限界が訪れるまで泣き叫ぶ声耳を覆いたくなるような音が多かったのに、いつのまにか何も聞こえなくなっている。
『神様、助けて…』
神頼み、今の私にはそれしか出来ない…
「たすけ…」
頭の中で言葉を考えるのではなく、掠れる声で力を振り絞り、私は燈が消えそうな風の音で掻き消される程度の声を出した。
「おい!こっちにまだ息がある子供が居るぞ!!早く!早く来てくれ!!」
限界を迎えて閉じる重たい瞼、その最後に見えたのは白髪の人が私を見つけて、誰かを呼び、駆け寄った所で意識が途絶えた。
意識を失った私、意識がないはずの私、不思議な事に優しく温かい何かに包まれ、穏やかな安らぎを夢なのか分からない曖昧な状態で感じていました。