プロット

文字数 1,500文字

起)小6のわたし春日千帆はどうやら二重人格らしく、たまに裏の自分(アタシ)に体を支配され記憶がなくなる。裏のアタシは表の引っ込み思案なわたしとはちがって、キラキラした積極的な女の子。わたしがアタシになってしまったとき、わたしの秘密を知った上でいつもフォローしてくれているのは隣に住む幼なじみの菅原拓斗。拓斗は頭がよくてイケメンだけど、愛想がないのがたまにきず。だけど千帆はずっと拓斗に想いを寄せていた。
 さらに千帆には人には言えない夢がある。歌手になりたい。オーディションに応募するための書類とデモテープは作ったものの送る勇気がない。
 ある日、拓斗に「催眠術で二重人格を治す方法を見つけたから試してみよう」と言われる。半信半疑で、それでも拓斗の言うことだからと思いきってチャレンジすることに。しかし失敗し、元の自分の意識はあるものの、千帆の体は二重人格の裏の顔に完全に乗っ取られてしまう。「なに勘ちがいしてんの。本当はアタシが本物の千帆なんだからね」と言いだす。

承)好き勝手しはじめるアタシ。学芸会で主役に立候補したり、学年イチのモテ男子ルイくんにいきなり告白しようとしたり。それまで対立しながらも、お互い自分にない相手のいいところを認めあうこともあったが、「告白だけは絶対ダメ!」と必死に抵抗するわたし。しかし「あんたがやりたいことを代わりにやってあげてるだけ。邪魔しないで、どっかいって!」とわたしの意識を強引に引き剥がされる。気がつくと夜になっていた。告白の結果が気になるわたしに、「そんな当たり前のこと聞かないでよ」と余裕の顔をするアタシ。わたしの好きな人はずっと拓斗だったのに……。体を取り戻す気力を失う。

転)そんなとき、歌手オーディション1次審査通過のお知らせが届く。いつの間に応募してたの!? 喜ぶアタシ。結局これはわたしじゃなくてアタシの力。わたしには応募する勇気すらなかったんだから。
 スタジオ審査当日。ピンチに陥る拓斗を無視して審査会場へ向かおうとするアタシ。「こんなの、わたしのしたいことじゃない!」ついにわたしはキレてアタシから体を取り戻し、拓斗のピンチを救う。
「こんなところでなにしてるの? オーディション行かなくちゃ」と拓斗に言われるが、「応募したのはわたしじゃない。だからいいの。それに、アタシのようなキラキラなわたしじゃなきゃ……こんな地味なわたしじゃオーディションに受かるわけない」と諦めようとする千帆。しかし「どっちの千帆も千帆だろ!」と言って、拓斗に強引に会場に連れていかれる。

結)ギリギリ間に合ったわたし。でも、人前で歌う勇気なんてない。諦めかけたときに、拓斗の言葉を思いだす。「どっちもわたしなら、わたしだってアタシになれるはず」キラキラした自分になりきって歌いきる。結果は惜しくも届かなかったが、これからもがんばってみようと思えるようになる。
 体を取り戻したわたしは、ルイくんにちゃんと謝って交際をやめてもらえるよう頼みにいく。「なに言ってるの? オレたち最初から付き合ってないよね? きみが本当に好きなのは拓斗でしょ。そんなこと、最初から知ってるから断ったんだよ」と言われる。
 そして、あの拓斗の催眠術は、自分の別人格を完全に自分のものにすることで、別人格を消し去ることができるというものだった=催眠術は成功していて、二度とアタシが現れることはなくなった。これで二重人格に悩まされずにすむ! めでたし、めでたし。……のはずだったのに。

 ある朝起きると、体がまた別の人格に乗っ取られていた。今度はボクって……わたしって二重人格じゃなくて多重人格だったの!?
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