…赤ずきん

文字数 723文字

昔昔あるところに、とても可愛らしい子がいました。

あるとき、その子のおばあさんが赤い布をくれました。この子はその布が似合っており、いつもつけていたので、みんなはこの子のことを、赤ずきん、と呼ぶようになりました。

ある日、お母さんは赤ずきんに言いました。

「赤ずきんや、おばあさんが病気(おそらく間質性肺炎)になってしまったので、お見舞いにいってくれないかしら。きっとおばあさんも喜ぶわ。このお肉を持っておいき」

「はい、お母さま」

赤ずきんは一人でおばあさんのところへ行くのが初めてだったので、とても心配でしたが、お母さんはめんどくさがりなので行きません。赤ずきんはそんなお母さんのことも心配でしたが、お母さんも赤ずきんが心配でたまりません。

「いいですか、より道をしてはいけません。一直線で向かいなさい。森にいる凶暴な生き物にはくれぐれも用心するんだよ。奴らはどんな悪いことをするかわからないから、話しかけられても、知らん顔するんだよ」

「大丈夫ですよ、お母さま。それでは行ってきます」

赤ずきんは出かけていきました。

おばあさんの家はここから歩いて三日くらいかかる森の中にありました。

その日はいい天気だったので、スキップをしながら、飛び込み前転や側転、ロンダートもしながら歩いていると、草むらからとても背の高い動物が出てきました。その動物はニコニコしながらこちらを見ていました。赤ずきんは、お母さまの話を思い出し、出た!と思いましたが、どうしても悪い動物には見えません。

「こんにちは」赤ずきんが尋ねると、その動物は言いました。

「お、こんなところに狼がいるぞ」

瞬く間に赤ずきんは槍で刺されて死んでしまいました。
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