文字数 437文字

「だからね、あんまりこの場所でこういう番組はやりたくないんだよね」


男と渚の2人は、しばらく黙ったままだった


「ちょっと!稲山さんやめてくださいよ!入れなくなるやないですか!」


男がそう言うと潤一は「はっはっはっ!」と笑った。怖い話をして怖がらずのが好きというのは、本当らしい


「私も鳥肌が凄いです…」


苦笑いの渚が腕を摩ってそう言った。何か感じたりしているのだろうか?男も鳥肌が立っていたので


「そうですよね!僕なんかもう鳥になって飛んじゃうんじゃないかなってくらいですよ」


と言って両手で羽ばたくようなフリをした。すると、あんなに苦笑いして怖がっていた渚が無表情になり、潤一とスタッフもし〜んとしている


「面白いですね」


渚はニコッと笑うが目が笑っていなかった。潤一は、男の肩にポンと手を置いた


「R1制覇への道は、まだまだ厳しそうだね」


潤一の言葉に回りのスタッフがドカッと笑った


「やかましいわ!余計なお世話ですよ!」


空気が張り詰め、凍りつき、そして和んだ。男は切り替えてカンペを読んでいく

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

《狩島  英司》

   売れないピン芸人で、『ボッチー』という芸名で活動している。偶然心霊番組からオファーがあり、番組の進行役として出演することになった。幽霊など信じておらず、余裕だったのだが…



《堀垣  渚》

  今、人気急上昇中の新人女優。ドラマやCMなどにも出演し、知名度がある。実は、霊感がありこの番組のレギュラーとして抜擢された。優しく勇気がある。

《稲山  潤一》

  怪談界の重鎮。心霊番組や怪談のツアーを多数出演している。今回の番組のレギュラーとして抜擢された。とにかく怪談と怪奇現象が大好きで怖い話を誰かにしたくてたまらない。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み