第1話 プロット

文字数 2,632文字

【起】
 主人公の春野モモは、面倒見のいい姉御肌の中学2年生。あだ名は”おばちゃん”。
カフェを営む、のほほんとした父とゴシップ好きな母、魔法大学校名誉教授の祖母(別名:ゴスロリババア)の4人暮らし。
 春休みのある日、モモは近所の「常世(とこよ)神社」に捨てられていた子猫3匹を拾う。
トラ、ミケ、クロの3匹は弱っており、特にクロは背中に傷があった。
モモは3匹を病院に連れて行き治療。モモの献身的な看病のおかげで3匹は回復する。

 回復した3匹は、魔女である祖母に「モモに恩返しがしたい、魔法で人間にして欲しい」とお願いする。
祖母は願いを聞き届けるが、条件を口にする。
「魔法の期限は1年間。その間に人間と相思相愛になれば、そのまま延長。失恋したら解除、猫の姿に逆戻り。それから眠っても猫に戻るわよ」

 翌朝、朝食のテーブルにトラ、ミケ、クロと名乗る男子3人が座っていた。
モモと両親は驚くが、3人がヒョロガリで髪もパサついていることの方が気になる。
モモは「とにかくいっぱい食べなさい」「トリートメントを使いなさい」とお節介を焼く。3人は春休み中に、みるみる肌つやも毛並みも整い、それぞれにキャラの違うイケメンになった。

 新学期が始まると、3人は祖母にモモと同じ学校に行きたいと懇願。モフモフに甘い祖母はそれも魔法で叶えてしまう。
3人は、モモと同じクラスに転校生として登場する。


【承】
 転校して1週間後、給食を食べた後に3人は我慢できずに昼寝をしてしまい、猫姿がバレてしまう。モモは、3人は実は猫であり、祖母の魔法で人間の姿になっていることをクラスメートに説明する。
みんなは、「ゴスロリババアの魔法か」と納得。モモの祖母は、災害を魔法で防いでいるので、町のみんなから一目置かれている存在なのだ。
 花火大会、スポーツ大会、文化祭のミスターコンテスト、他校の生徒達とのラップバトルなど、3人の登場で中学校が急に活気づき賑やかに。
3人にはそれぞれファンクラブが結成される。


《キャラ紹介》
常世(とこよ)トラ君
・ちょっとチャラい、人たらし系男子。モモだけでなく老若男女全員にマメ、人懐(ひとなつ)っこい。
・女子、男子のちょっとした変化を見逃さない。さり気なく先生の手伝いをしたり、給食のおばさん、用務員さんにも声をかけ、広く人気がある。
・トラ君のさり気ない一言で、自信の無いクラスメート達が明るく変わっていく。
・トラ君ファンの一人は図書委員のカエデさん。カエデさんは努力家で学年3位内の成績である。物知りで控え目、ゆっくり話すカエデさんといると、安らぐことにトラ君は気がつく。
カエデさんは堅物な眼鏡女子だったが、恋をして可愛らしくなっていく。


常世ミケ君
・背が高くスポーツ万能。スポーツ大会では、各試合で引っ張りダコに。
・バスケ部に助っ人で入部、万年1回戦負けだったのに県大会で優勝し学校中が盛り上がった。
・普段は猫背で無口。ところが試合になると”俺様”に豹変。シャープでスピード感溢れるプレイを連発し、「おまえら応援が足りねえ」と観客を煽る。
・周囲はギャップにメロメロ。ミケさまと崇拝され、オタク女子に大人気。
・ファンの一人は写真部のキキョウさん。キキョウさんは、カメラ越しならミケ君に汗だくで声援を送れるけど、カメラ無しでは緊張して話せない。
そんなある日、キキョウさんはミケ君の身体の不調を見抜き、無理やり休養させる。その日から、ミケ君はキキョウさんを頼りにするようになる。


常世クロ君
・ぶっきらぼうで単純。本当はモモに感謝しているが、素直になれずに素っ気なくしてしまう。(モモは気にせず世話を焼く)
・正義感が強く、暴言を吐く先生(実は方言がきついだけ)や、隣町の中学校との喧嘩(実はラップバトル)に対してクラスメートを(かば)うため、向かって行ってしまう。
・そんな人情味のあるクロ君は男子人気が高く、クロ先輩と慕われている。
・ファンの一人は、元不良のシオン君。地元で一番喧嘩が強いシオン君だが、フットワークの軽いクロ君にパンチがまったく当たらず、降参。クロ君をリスペクトするようになる。
・人間姿のとき、猫姿のつもりで塀の上を歩いたりする。そしてたまに落ち、生傷(なまきず)が絶えないドジな一面も。
・カッコいいけどちょっとドジなクロ君。ファンのみんな(全員男)は、モモにフォローしてもらいたいと考え、モモとのカップリングを願っている。
・シオン君だけはクロ君を巡ってモモをライバル視。クロ君がドジって怪我したときは、どちらがクロ君の手当をするかで争う。

 モモとクロ君はお互いに鈍感。
トラ君、ミケ君、シオン君をはじめ、周囲はモモとクロ君が相思相愛であることに早い段階で気がついている。気がついていないのはモモとクロ君だけ。


【転】
 モモの母はお喋り。カフェに来るお客さん達に、
「実は人魚姫の猫版で、来年の4月までにモモの彼氏にならないと猫に戻ってしまう」
とサービス精神から話を盛ってしまう。噂を聞いたファンのみんなは、人間の姿が期間限定と知りショックを受ける。

 ある日、クロ君はシオン君が元いた不良グループに呼び出されているのを知り助けに行く。シオン君を庇い、すり傷だらけで帰って来たクロ君。
モモは手当しながら一言、「もう危ないことはしないで」と涙をこぼす。
二人はやっと素直になり、クロ君は「ごめん」とモモを抱き寄せるのだった。


【結】
 カエデさんとキキョウさんは、トラ君ミケ君が消えてしまうとの噂を聞き、意気消沈する。
2人はモモの祖母に会いに行き、「2人を猫に戻さないでください」と懇願。
「私、トラ君がいない世界は考えられない」
「私もミケ君をずっと応援していたい」と2人は涙ぐむ。

 祖母は驚き、
「私は条件に、人間との相思相愛と言っただけ。相手はモモじゃなくてもいいのよ」
「アマビエと同じ。強い思いは具現化するの。お嬢さんたちの思いは美しいから、トラ君ミケ君は消えないわよ」

 そのやりとりを箪笥(たんす)の上でこっそり聞いていた、猫姿のトラ君とミケ君。2人はカエデさんとキキョウさんを庭で待ちかまえる。
 チャラ男のはずのトラ君は、カエデさんを見て言葉が詰まってしまう。カエデさんの手をぎこちなく握るだけで精一杯。
ミケ君はというと、キキョウさんの前に立ち「俺の彼女になれよ」と真っ赤になりながら告白する。

 それを繁みの影で(のぞ)き見していたモモとクロ君。
「私、ちゃんと告白されていない」「いちいち言わなくても察しろよ」「なにそれ」またイチャイチャするのであった。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み