第2話 本人はこんなやつ

文字数 2,905文字



 わかってるんですよ?
 まずはとりあえず『屍喰鬼ゲーム』が本になって、その売れ行きいかんによって、今後が決定するってことは。売れれば他のチャンスもめぐってくるだろうし、売れなければ人生で一冊単著は出してもらえたねっていう記念碑になる。

 じゃあ、なぜ、今こんなものを書いてるか?
 それはね。自分、すっごい遠慮がちなんで、編集さんとかにムリ言えないタチだから! ほんとはイヤでも沈黙してる可能性がある。じゃあ、おとなしいかと言うとそうではなく、ほんとにまげられないとこに来たら急に反旗をひるがえすかもしれない。じつは頑固。
 そうならないように事前に言っておきたい。僕はこういう人間ですよ、と。めんどくさいやつですね。

 基本はマジメで和を重んじます。とっても良識的。むしろ、マナー悪い人は嫌い。
 遊ばない。お酒飲まない。飲めない。タバコ吸わない。小説書くことだけが楽しみ。表面的に人にあわせるのは得意。リアルでは気が弱い、おとなしいと思われがちだが、じつはどうでもいいこと(他人)に関心がないだけ。自分の大事なものに対する結界は強固なので、そこに誰もふみいらせない。

 子どものころからまわりにサイコパスが多かったので、本音と建前の使いわけを自然に学習した。そして、おそらく、本音と建前のあいだの溝がふつうの人より深く広い。演技上手。

 初対面の人ともきさくに話せる一方で、本心はなかなか人を信用しません。警戒心が強いです。なので、編集者さんにも本音は見せないかも。ごめんね。ただ、いったん信頼して仲間だと思ったら、身内には優しいよ。

 もしかしてコイツ、すごい繊細さん? いえ、違います。メンタルは鋼です。サイコパスに鍛えられたんで。車の免許とったときの適性検査で、「細かいことを気にしないおおらかさがあり、安定した精神の持ちぬしです。が一方で、そのぶん、まわりへの配慮が足りないときがあるかもしれません。繊細な人への気遣いを忘れないでください」みたいな結果が……おおらかにもほどがある。

 友達の数は決して多くないんですが、そのかわり深い交際になることが多い。いわゆる親友とか、そんな感じ。僕をよく知る友達二人に「誰もが東堂みたいに強くなれないよ」と同じセリフを言われたほどの強メンタル。

 よそはよそ。うちはうち。他人とくらべない。自分の世界や小説書く時間が確保されればそれでいい。世の中や他人に対する興味が希薄。流行には逆らいたくなる変わり者。変わり者と言われると嬉しい。だって、独創的ってことだから。

 作品についてのアドバイスは素直に聞きます。あっ、編集者レベルの人ならね。アマチュアの意見はすみませんが聞きません。だって、こっちは〇十年の職人技で、ストーリーを面白くするノウハウを知ってるんで。後述のとおり合理的なんで、自作についても、かなり冷静に見られます。作品を高めるための努力は惜しみません。

 なので、「これは業界的にダメだ!」と思ったら、ハッキリ言っていただいたほうが本人も助かります。理由を言っていただければ納得します。作品水準として納得できなければ、納得できるまで話します。

 自分が人を信用しないくせに……というか、そうであるがゆえに、裏表のある人が嫌い。ざっくばらんに話せる人が好き。なぜなら、合理的精神の持ちぬしだから。ムダな労力はめんどくさい。ビジネスライクな話で時間の浪費なく、ちゃっちゃっと進みましょうよ。
 たまに合理的すぎて冷たいととらえられがち。とくに文面では。

 なんかずっと前に、『アントリオン』のコメントで「いきなり人が殺されたのに、みんな、それをあっさり受け入れすぎ。もっと憤るものじゃ? 人間の尊厳がうんぬん。人の死をかるく見すぎ」みたいなのもらったことあるけど、「デスゲームでイチイチそこさわいでたら、話進まんやん。テンポ大事!」と考えるていどには冷たい。

 しかし現実ではむやみに人を傷つけられない。こう言ったら傷つくかなぁと、つい考えてしまう。HSP。相手の気持ちをくみとりすぎてしまう。たとえば、「何度もメールしたら迷惑だよなぁ。もうやめておこう」とかで、急にとぎれたり。←このへんが遠慮がち。
 約束をやぶるのも苦手。時間や〆切は厳守するほう。ほんとはズボラなめんどくさがりやなんだけど、小説や仕事はお金、または自分の楽しみとして割りきれる。

 そうそう。これは書き手としての自分なんだけど、オリジナリティにこだわりがあるので、発想はつねに内面から。パクりなんて絶対しませんよ。そこにはプライドがある。
 というより、何度もパクられて迷惑してる。僕の話はパクりたくなるらしい。見知らぬ人に妄コンでパクられたていどは鼻で笑って切りすてるけど(とりあえずブロックはしますが)、信頼してた書き手さんに無意識パクりされたときはショックだった。「これ、パクりですよね?」と指摘したら、認めた上であれこれ言いわけして、「でも直せない」とぬかした。140万字の大長編の一番要の設定だったんですけど。
 なので、現在、書き手さんとはいっさい交流したくない。だって、けっきょく人間って信頼してもパクるから! 僕の作品が面白いのは知ってるよ。だからってパクっていい理由にはならんよ?

 ま、いいや。
 とにかく、本人としてはこんな感じですねぇ。

 総合すると、職人かたぎのパンツァー。黙々と書く。そういうタイプです。

 書籍化はどの作品でも大歓迎です。修正依頼は可能なかぎりお受けします。三大シリーズはできないこと(たとえば、意味もなくキャラが死ぬとか、好きな相手を変えましょうとかの理不尽な変更)もあるけど、よりよい作品にするためなら努力は惜しみません。
 なので、もしも、コイツに声かけしてみたいと思われた編集者さんはご遠慮なく。

 読み切りの長編で本になったら嬉しいのは『タイプJ』『月光ファンタジア』あたりですね。はい。今の流行じゃないですね……。
 そういうのにかぎってこだわりが強い。昔のほど愛情持って書いてたんで。

 ところで、小説投稿サイトに投稿してると家族に話してないので、もし万一のことが僕にあれば、とつぜん連絡が途絶えます。小説は呼吸ですからね。書ける状況であるかぎり書き続けているので、連絡が途絶え、パタリと更新が止まったら、何かあったと思ってください。

 編集者さんにお伝えするのはこのくらい。
 このあとは、どっちかって言うと、書籍化めざしてる諸氏の参考になればっていう。

 なんかね。ダメ元でも、「書籍化したい」とかはオープンにしといたほうがいいんですよ。もしかしたら奇跡的に声かけてくれる編集者さんがいるかもしれないからって、書いてる人がいたんですよ。その人はたまたま以前ツイッター(今はXか)でそのような内容を書いたところ、それを読んだ編集者さんから打診が来たって話でした。

 なるほどね。つい本心を隠してしまいがちな僕だけど、形にしたければ言うしかないのか。じゃあ、言おう——ってわけで、それがこの文章です。

「おーい! 三大シリーズ、本になったら泣くぞー!」とか、言ってみたくて。てへっ。
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