ある作詞家の館

文字数 1,441文字

第一章 夜の女に変わるのよ

人はバランスをとりながら生きていく。
自然だって、朝陽と夕陽、神だって、アグライア(美と優雅の神)とパンドーラー(災いの神)。

女性だって、スッピンと化粧、バランスをとるために変身する。
     ☆ 
夜の女に変わるのよ
朝陽 夕陽に変わる頃
夜の女に変わるのよ
素顔隠してイミテーション

カラダの底まで艶ずいて
垢を落として引くルージュ
地図のない道作ってく
恋は突然やって来る

アポロンみたいなイイ男
連れて来い 恋 青い鳥
オオルリ コルリ ルイビタキ
呪文のように唱えます

夜の女に変わるのよ
夕陽ゆくゆくその先は
夜の女に変わるのよ
ダウンタウンのパンドーラー

泡沫(うたかた)かりそめ 蜃気楼
恋の魔法をアグライア
深い闇から突き抜けて
恋は偶然やって来る

アポロンみたいなイイ男
連れて来い 恋 青い鳥
オオルリ コルリ ルイビタキ
呪文のように唱えます

夜の女に変わるのよ
夕陽 朝陽に変わる頃
夜の女に変わるのよ
一糸纏わずバリエーション

ドラァグクイーン鐘が鳴る
演じ続けるアデージョ
白い弦月(ゆみはり)サヨウナラ
恋は必然やって来る

アポロンみたいなイイ男
連れて来い 恋 青い鳥
オオルリ コルリ ルイビタキ
呪文のように唱えます

注:
ドラァグクイーン(女性パフォーマンス)、アデージョ(艶女)、オオルリ、コルリ、ルイビタキ(いずれも幸せを呼ぶ青い鳥)
        作詞;ふんころがし馬糞


第二章 雪の日本海

女は泣く。いつでも、どこでも泣く。
女の涙はなんの色?

真っ赤な色はワニの涙!
哀しみの青はオリバーの涙!
藍の色は? 愛の色は?
チンパンジーの涙!

嘘と真実、真実と嘘、巡りめぐる
雪が雪を呼ぶように、、、
涙が涙を呼んでいく。

女はいつでも、どこでも、
ドラマクィーン(悲劇のヒロイン)。

女はベタに歌っていく。
     ☆
海を凍らす 雪が降る 
重い心に 雪が降る 
人の運命(さだめ)と 
儚さ知って
ひとり断崖(きりぎし) 
アー 潮風(かぜ)が鳴る

空を染めてく 雪が泣く 
馬鹿な女と 夢が泣く
呼んでいるのか 
潮恋鳥よ
波の飛沫が 
アー 頬を打つ

海を眠らす 雪が降る 
この身眠らす 雪が降る
生きて咲けずに 
ここまで来たの
冬の越前 
アー 日本海
        作詞;ふんころがし馬糞

第三章 桜並木

桜並木のなか、母子が歩いてきた。
陽は温暖も、風が強い。 野球帽が飛ばされ、私の足もとに。 駆け寄って来る坊主頭、
「お母さんの手を離しちゃダメだよ」

遠い昔のオフレコ話、手と手が離れ、プツンと、母が遠ざかった。
泣くことさへ失った幼い私。

大人になった私は母を捜す、捜す、桜色の母を、、、 。
     ☆
母の手を借り 親子で歩く
桜並木の 散歩道
あれは5歳の 春だった
母の手 するりと 手放した
桜 桜 花散らしの雨よ

捨てた 捨てられたと戸惑いながら 
桜 俺の肩に
捨てられ 捨てたと人生の 例えのように
桜 母の肩に

夢の欠片を寄せては拾う
桜並木の北新地
探し求めた母がいた
親子ふたりのかくれんぼ
桜 桜 ヒラヒラと舞う

捨てた 捨てられたと戸惑いながら 
桜 俺の肩に
捨てられ 捨てたと人生の 例えのように
桜 母の肩に

流れゆく風 幾年月よ
桜並木を車椅子
桜トンネルくぐり抜け
たどる夢路をありのまま
桜 桜 秘めやかに咲いて

捨てた 捨てられたと戸惑いながら 
桜 俺の肩に
捨てられ 捨てたと人生の 例えのように
桜 母の肩に
        作詞:ふんころがし馬糞
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