第1話 ドヤ街散歩

文字数 699文字

ドヤ街を詠む


ホームレス 漢ばかりと 思いきや

オンナもいるよ 足が腐りて



白鬚橋 かつては聖者が 住んでいた

いまはイエスが 炊き出ししてます



大橋の 袂に住まう 無番地に

郵便は来ず ワクチン知らず



絶望の 酎ハイ缶の 散らばりて

それを拾う アメリカ人もおり



冬ざれや チャリで集める アルミ缶
 
師走の風が 労務者の背を押す



冬が来る 越冬越年 命懸け

なけなしのカネで  鳩に餌やり



冬物を  取り出したる 貸ロッカー

時計を見れば 朝五時半



罪悪人 首を刎ねたる 小塚原

非正規雇用も 首をさすりて


コンビニの 前に屯したる

労働者の ワンカップ酒 手元が寂し


冬ざれや 炊き出しに 並ぶ労働者

弱者に厳しい 今も昔も


キャリーバッグ 持て彷徨う 労働者

犬連れたカップル その脇を通る


路地裏の 大手に押されたる スーパーの

斑点バナナ 売れ残りて詫びし


外国人 姿が消えた ドヤ街の

英語表記が 今は淋しき


労務者が 早朝から集まる コンビニの

100円表記  国より希望


ガード下 いっぱい呑み屋 八時まで

酔漢たちの 宴短し


浅草寺 境内泳ぐ 錦鯉

コロナ禍知らず 悠々として


ガード下 寝泊まりしてた 青テント

いつの間にやら 片づけられた


路地裏の けんちん汁屋の 一杯に

早出の労務者 集まり來る


朝メトロ 自動販売機 ガランと音して

ホームの客 あとみな寡黙


ドヤ街の ブルーシートの 朝市は

怪しい物が 妖しく光る


吉原に 間違って入りました 早朝に

路地にひっそり 「性感染症クリニック」


隅田川の 消防庁の 水上艇

サイレン鳴らし やがて去りゆき

リュック持つ 醜男眠る 角の席

一瞥もなく OL去りゆく


缶を積む 自転車を押す 翁かな

吐く息白し 初冬の朝
 









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