博多の女
文字数 1,254文字
カツカツカツとコンクリートにヒールの音が響く。
こんなにこの街に人いたっけ。
修学旅行で来た時はまだ随分子供だったからわからなかった。
施設の寮母にキーホルダーをお土産にしたっけ。
ただ、この綺麗な地方都市は欲しい物はすぐ手に入るし生活はしやすいはずなのになぜか息がしずらい。
上海が長かったせいだろうか。
森林のある広い公園に寄り道してゆっくり深呼吸をする。
少し楽になる。
そしてまたサングラスをかけピンヒールで背筋を伸ばして街を歩く。
ほら、みんなあたしに振り返る。
大丈夫よ。あたしはまだ大丈夫。
頑張れるーー。
京子は福岡にいた。
あのままシンちゃんと居たら幸せだったのかもしれない。
でも死んだ兄を置いて自分だけ幸せになることは許されないと思った。
一瞬だけいい夢を見れた...
ありがとうシンちゃんーー。
「京子ー!こっちこっちー!」
人で溢れかえる博多駅構内でテツが手を振った。
「なんで待ち合わせにこんなとこ指定したんだよ京子~。
俺は人混みが嫌いなんだぜ?
知ってるだろ?」
胸元までボタンをあけた綿の白いシャツにユルっとはいた麻のズボンにビーチサンダル姿で頭にはサングラスのテツが愚痴を言う。
「あたしも人混みは嫌いよ。
言っとくけど一言も日本についてきてなんて言ってないわよ。
テツなによその格好。
だいぶイキってるわね。
あたま悪そう。ふふふ
まぁてっちゃんらしいけど。」
「あん?イキってあたりめぇだろ?こちとら上海の裏社会の底辺で生きてきたんだぜ。日本人に舐められてたまっかよ!」
「自分だって日本人じゃないのよ。喧嘩売られてもあたし知らないわよ。九州にもバリバリのヤクザがたくさんいるって知ってるでしょう」
「え…喧嘩…ヤクザ…
そんときゃまぁあれだ…底辺魂みせてやるぜ」
「誰に見せるのよ?あたしたち知り合いもいないのにさ」
ロングの髪を書き上げながらそう言う京子はこの福岡でもかなり目立った。
京子が歩くだけでみんな振り返る。
テツは京子がひとり上海を出て日本に行くと言った時どうしてもひとりにしておけなかった。
アイツは?あのタサキとかいうやつ。あいつは信用していいんじゃないのか?と聞いたときの京子の顔が少女のように寂しげだった。それ以上は聞いちゃいけない気がした。
風俗の諸々の仕事は他の人に押し付けて何も考えずに京子について日本にきていた。
「てっちゃんはこれからどうするの?あたしの金魚のフンはやめてよね。
仕事はどうするの?」
「そりゃ、京子のボディガードをしながらなんか探すよ。
日本にはホストとかいう仕事があるらしいな。ちょっと気になってたんだ。」
「てっちゃん、
ありがとう。」
「えぇ!?
京子いまありがとうって言った?
俺は幻でも見てんのか?」
「そんなん言うなら取り消す!」
「あぁ!京子さまごめんなさいもう言いません!許して!
…てかお前さ、変わったな。
あ、いい意味でな。
ところでついてきて欲しい用ってなんだ?」
「ん。仕事探そうかなぁって。てっちゃんは一応用心棒要員ね。」
「仕事ね。
もう風俗はしないんだろ?」
「しない。…たぶん」
「たぶんかいっ!」
こんなにこの街に人いたっけ。
修学旅行で来た時はまだ随分子供だったからわからなかった。
施設の寮母にキーホルダーをお土産にしたっけ。
ただ、この綺麗な地方都市は欲しい物はすぐ手に入るし生活はしやすいはずなのになぜか息がしずらい。
上海が長かったせいだろうか。
森林のある広い公園に寄り道してゆっくり深呼吸をする。
少し楽になる。
そしてまたサングラスをかけピンヒールで背筋を伸ばして街を歩く。
ほら、みんなあたしに振り返る。
大丈夫よ。あたしはまだ大丈夫。
頑張れるーー。
京子は福岡にいた。
あのままシンちゃんと居たら幸せだったのかもしれない。
でも死んだ兄を置いて自分だけ幸せになることは許されないと思った。
一瞬だけいい夢を見れた...
ありがとうシンちゃんーー。
「京子ー!こっちこっちー!」
人で溢れかえる博多駅構内でテツが手を振った。
「なんで待ち合わせにこんなとこ指定したんだよ京子~。
俺は人混みが嫌いなんだぜ?
知ってるだろ?」
胸元までボタンをあけた綿の白いシャツにユルっとはいた麻のズボンにビーチサンダル姿で頭にはサングラスのテツが愚痴を言う。
「あたしも人混みは嫌いよ。
言っとくけど一言も日本についてきてなんて言ってないわよ。
テツなによその格好。
だいぶイキってるわね。
あたま悪そう。ふふふ
まぁてっちゃんらしいけど。」
「あん?イキってあたりめぇだろ?こちとら上海の裏社会の底辺で生きてきたんだぜ。日本人に舐められてたまっかよ!」
「自分だって日本人じゃないのよ。喧嘩売られてもあたし知らないわよ。九州にもバリバリのヤクザがたくさんいるって知ってるでしょう」
「え…喧嘩…ヤクザ…
そんときゃまぁあれだ…底辺魂みせてやるぜ」
「誰に見せるのよ?あたしたち知り合いもいないのにさ」
ロングの髪を書き上げながらそう言う京子はこの福岡でもかなり目立った。
京子が歩くだけでみんな振り返る。
テツは京子がひとり上海を出て日本に行くと言った時どうしてもひとりにしておけなかった。
アイツは?あのタサキとかいうやつ。あいつは信用していいんじゃないのか?と聞いたときの京子の顔が少女のように寂しげだった。それ以上は聞いちゃいけない気がした。
風俗の諸々の仕事は他の人に押し付けて何も考えずに京子について日本にきていた。
「てっちゃんはこれからどうするの?あたしの金魚のフンはやめてよね。
仕事はどうするの?」
「そりゃ、京子のボディガードをしながらなんか探すよ。
日本にはホストとかいう仕事があるらしいな。ちょっと気になってたんだ。」
「てっちゃん、
ありがとう。」
「えぇ!?
京子いまありがとうって言った?
俺は幻でも見てんのか?」
「そんなん言うなら取り消す!」
「あぁ!京子さまごめんなさいもう言いません!許して!
…てかお前さ、変わったな。
あ、いい意味でな。
ところでついてきて欲しい用ってなんだ?」
「ん。仕事探そうかなぁって。てっちゃんは一応用心棒要員ね。」
「仕事ね。
もう風俗はしないんだろ?」
「しない。…たぶん」
「たぶんかいっ!」