朝日

文字数 894文字

◇◇

どれだけ時間が過ぎたのだろう。
カーテンから光が差していたかと思えば灯りをつけないと気づけば外はすでに暗かったりした。
あれから数日。
京子と部屋から一歩も出ていない。

「京子…すきだ。もう離しはしない」

「もう、何百回も聞いたってば」

「まだまだ言い足りない…京子…こっちにおいで」
京子の華奢な腰に手をかける。

「もう、ちょっとまってって。
携帯のテツからの着信履歴がやばいことになってるからちょっと連絡するね」
 
「京子、ダメだ。もう仕事には行かせない」

「は?こっちだって遊びじゃないんだよ。連絡するくらいいいでしょ?
電話無視してあたし散々迷惑かけたんだよ。
それにてっちゃん今頃発狂してるかもだし」
京子はペロッと舌を出して言った。

「あ、もしもし?京子だけど…」

「京子…よかった…生きてた…」

「てっちゃん電話無視してほんとにごめんね。プロとして失格だし迷惑かけてごめんなさい。
あたし、いま好きなひとがいるの」

「…お前…行方不明の兄さん探してんじゃねぇの?一体なにがどうなった?
好きなひと?ってだれだよ。
前に会った…喫茶店のあんちゃん関係してないよな?
なんかあいつはヤバい気がするんだ…」

「そう。喫茶店の人といま一緒にいる。何日もセックスしてた」

「セックスってお前…なにやってんだよ
俺なんてずっとお前探して…なんだよちくしょう…くそおんな…」

「え、なんか泣いてない?」

「泣いてねぇよばか…グスン…」

「…ごめんねテツ。
あたしのこと好いてくれてるのは知ってた。タサキと知り合わなかったらてっちゃんともしかしてあたし付き合ってとかも…」

「え?!まじ?!」

「うそ」

「おいっっ!!」

「あはは!よかったやっと元気になったねてっちゃん。
あのね、多分お兄ちゃんとはもう会えないって思う。
今まで支えてくれたお兄ちゃんとテツに感謝してる。
お兄ちゃんもう死んでるかもしんないけど…。」

「なんかヤバいらしいな。俺も知らなかったけど人から聞いた…もうお前も関わるなよ。
いま一緒にいるそいつは大丈夫なのか?」

「俺の命にかえても京子は守る。」
京子の携帯をタサキは奪って言った。

「そうか…わかった。」
テツはそれだけ言うと電話を切った。
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