第1話 新しい監視カメラ

文字数 809文字

「あれは、猫のタマですね。真っ暗でも写っていますね」

「本当だ。細部のひげまで、くっきり判る」

「さすが、監視カメラの世界シェアNo.1のG社ですね」

「これ、うちでもつかいましょうよ」

「そうね。価格も今の半分で済むし、これにしましょう」

こうして新しいセキュリティシステムには、中国のG社のカメラを導入することになった。

中国は、世界一の監視社会である。中国製の監視カメラと人物認証ソフトウェアの性能は、世界でも群を抜いている。

今まで、日本のセキュリティ会社は、中国の監視カメラシステムを導入しようとして、失敗していた。

中国の監視カメラシステムの課題は、性能が良すぎることである。これだけ、性能がよいと、プライバシーが全くなくなってしまう。だから、中国の監視カメラシステムは、感度を落として、鈍感にしなければ使えない。とはいえ、鈍感になりすぎて、映像から、被害者と犯人が特定できなくなってはダメだ。頃合いというか、バランスが大切なのだ。


今日子は、セキュリティ会社のソフトウェアエンジニアだった。今までのセキュリティ・サービスは、部屋に人体センサーを設置して、検知された場合、セキュリィティ・センターが、住人に、電話で確認していた。しかし、このセンサーは、鈍感過ぎて、顔の映像から、犯人を特定できない。

自動車のドライブレコーダのカメラは映像を常に撮り続けている。そのデータは、メモリーカードに保存されるが、インターネットには、流れないのでプライバシーの問題はない。

画像データは、インターネットに流す時点で、プライバシーに配慮した鈍感な画像に変換する必要がある。

顔認識システムを応用して、上手くフィルタリングをかけることで、顔以外の部分の画像をボカシて、プライバシーの問題を回避できるシステムをつくれば良さそうだ。

あとは、カメラ近くのローカルメモリーに保存するデータとインターネットに転送するデータを分けるフィルターがいるだろう。
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