第3話 コンベンションセンターにて

文字数 682文字

新しい監視カメラシステムは、「ディストピア・モニタリング・システム」と名付けられた。この監視システムがあれば、世の中は、犯罪者にとっては、ディストピアになるだろうというのが、命名の理由である、

「ディストピア・モニタリング・システム」はコンベンションセンターでお披露目が行われた。

「ディストピア・モニタリング・システム」のブースの前には、会場内を映している2つの大きなモニターが置かれた。

左のモニターには、無処理の会場の画像が映し出された。

右のモニターには、ディストピア・モニタリング・システムで処理された画像が映し出された。

筋向いのブースは、競争相手のB社だった。そこには、「ユートピア・モニタリング・システム」と書かれていた。

今日子は、ブラックジョークにしては、出来すぎていると思った。

初日の会場は、オープン後、1時間が経とうとしていた。

「ユートピア・モニタリング・システム」のブースには、人だかりが出来ていた。

一方、「ディストピア・モニタリング・システム」のブースは、閑散としていた。

「ちょっと見て来るから」今日子はこう言って、筋向いのブースに向かった。

そこにも、2台の大きなモニターがあり、左の画像は、会場の風景を映していた。

右の画像は、見え覚えのある絵だった。

「そうだ。あれば、ルーブル宮殿の鏡の間だわ」

解説者の声が聞こえた。

「ユートピア・モニタリング・システムは、被害者と犯罪者の顔のデータ以外は、AI画像生成ツールを使ってすべて、ご希望のユートピアの画像に入れ替えます。どのような貧弱な住宅の内部でも、お好きな宮殿や豪邸の画像に入れ変えて保存されます」
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