参話 環琉(めぐる)の想い

文字数 583文字

永遠の旅に
     お里


お里が出て行った?
その置手紙は冷蔵庫の中にあった。
抹茶モンブランがあった場所だ!

うちが抹茶モンブランを食べてしまったせいだ!

「おはよう~皆の衆」
ともう午後5時だが、朱里ちゃんが2階から降りて来た。

「お里がいなくなった」
うちはその危機を朱里ちゃんに告げた。さらに、
「朱里ちゃん大変!お客さんが1人もこない!」
小琥路ちゃんも、泣きそうな顔をしながら控えの部屋に入って来た。

「な~に、その位で」
砦の外で世紀末を生きてる朱里ちゃんは、砦の中とは危機感が違うのだ。

「今迄順調に増えてたのに、1人も来ないなんて」
小琥路ちゃんの心配性レベルがマックスの表情だ。

「うちがお里のおやつ食べてしまったから、出て行っちゃたんだよ。
どうしよう、また砦の外に出てたら、うちのせいだ!」

心配するうちと小琥路ちゃんに、朱里はニヤリと笑うと、おにぎりを一口食べ、

「皆の衆、座敷童って知ってる?」
「妖怪の類?」
「まあそんなものね。座敷童が家にいるとその家に繁栄をもたらし怒らせると没落させる」

「うちが抹茶モンブラン食べて怒らせたから、客が1人も来なくなった?」
「あの子今時着物を着てたし『お里は、乱世に癒しをもたらす者』って」

小琥路ちゃんの落ち込みが半端ない。
小琥路ちゃんはちょっと前まで、カタストロフィで鬱に陥っていたのだ。

「小琥路ちゃん、ごめんなさい、うちのせいで」



つづく


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

小琥路(こころ) 長女。抹茶カフェ小琥路(こころ)の店長。

朱里(あかり)次女。隊商を組んで砦の外に出ている。ショットガンと拳銃を装備してる。

環琉(めぐる)三女。抹茶カフェを手伝っている。ちょっとツンな人見知り。

お里(おさと)。朱里が砦の外で拾ってきた着物を着た不思議な子。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み