弐話 朱里(あかり)の想い

文字数 632文字

「おはよう」
2階から1階の店の控室に降りると、お里が、
「おはようございまする」
と挨拶をした。

砦の外で見つけた時は、衰弱していたが、一晩眠ると生気を取り戻したみたいで、良かった。

「ここの居心地は最高でする!
悪党ばかりの外とは違って、極楽浄土でする」

カタストロフィーは、文明社会を破壊してしまったのだ。

「お里ちゃん、抹茶モンブランを冷蔵庫に入れとくからおやつに食べてね」
店の方から小琥路の声が聞こえた。

「抹茶モンブラン?」
その美味しそうな単語に、お里の目が輝いた。
そりゃそうだろう砦の外は世紀末だ。

「おやつって何?」
お里はおやつも知らないらしい。
なんか泣ける。
「おやつってのはね、3時に食べるお菓子だよ」
「3時?」
時計の針は、まだ午後1時を過ぎたばかりだ。
「そう3時まで待てるね?」
「は~い」
可愛いお返事だ。環琉とは大違いだ。
どうしたらあんな我儘に育つのだろう?

あたしは小琥路が作ったおにぎりを、頂くことにした。
久しぶりに食べる小琥路のおにぎりは最高だ。
愛情がいっぱい感じるのだ。

『ゴーンゴーン』
大きな柱時計が午後2時を知らせた。
「まだ?」
「ま~だ」

午後2時の時点では、抹茶モンブランは存在していた。
「ふふふ、あと一時♪お昼寝でもしときまする♪」
そう言ってお里は、お昼寝を始め、あたしも2階の武器庫に引き上げた。

『ゴーンゴーン』
大きな柱時計が午後3時を知らせた後、階下から叫び声が聞こえた。
「おやつがない!」
その時のあたしには、この後の事件など想いもしなかった。


つづく
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登場人物紹介

小琥路(こころ) 長女。抹茶カフェ小琥路(こころ)の店長。

朱里(あかり)次女。隊商を組んで砦の外に出ている。ショットガンと拳銃を装備してる。

環琉(めぐる)三女。抹茶カフェを手伝っている。ちょっとツンな人見知り。

お里(おさと)。朱里が砦の外で拾ってきた着物を着た不思議な子。

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