第6話

文字数 458文字

「お前はどうしていつもそうなんだ。タク。このせっかち男が」
「はあ、なんだよそれ、お前が来んの遅いからだろ」
そうじゃねえよ、俺がいいたいのはなあ……(お前はある意味羨ましい」
ジャジャーん。で終了。
「今日はこのぐらいでいいじゃねえか。もうあがろうぜ、おつかれー」とそのタクが言った。
「おつかれー」
自信が過信に陥ると足元をすくわれる。
そしてそれが、前触れもなくやって来るとはこういうのを言う。
「ちょっと聞いてくれ皆、俺、バンド辞めるわ」
と急にタクが言った。その一言が全ての始まりを意味していた。ベースのアツが
「マジかよ。何でそんな急に。俺達これからだろうが」
「俺、親父と約束してたんだ。3年やって芽が出なかったら、実家帰って家業継ぐって」
「家業ってお前んち何かやってんの?」
「農家なんだ。俺、これでも、農業大学出てんだぜ」
「農業?初耳だぜ。お前そういう大事なこと、なんで今まで一言も言わなかったんだよ」
「誰も聞かねえからじゃん。そんなもんワザワザ自分から言うかよ。家業継ぐとか。でも、まあそう言うわけだ。本と皆、すまない」
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