01.昼下がりの再会
文字数 5,628文字
今日は、あなたたちは休日です。
中には無職の人もいますが、それぞれがお休みだったり用があったりして家の近所の公園にやって来ました。
あなたたち中学校時代の同級生三人は、昼間の公園でばったり出会いました。
石田とかほりは公園のベンチに腰掛けました。
あなたたちが盛り上がっていると、突然後ろから大型犬のゴールデンレトリバーが現れました。首元に赤いスカーフをした、大変毛並みの良い犬です。
わんわんわん、とあなたたちが座っているベンチの周りを走り回ります。
パンパンパン、と君入が手を叩くと、ゴールデンレトリバーは喜んだ様子で君入に近寄ってきます。
突然ゴールデンレトリバーは君入の持っていたカメラをくわえたかと思うと、パッと離れました。
ゴールデンレトリバーは器用にカメラのストラップを首にさげ、あなたたちのほうへ吠えて向かってきます。
あなたたちが囲もうとしてもこの犬は大変頭が良く、脇を擦り抜けてかわしてゆきます。
わんわんわん、と吠えたり引っ張ったり、あなたたちをどんどん誘導しているようです。
君入が苦笑いしながらゴールデンレトリバーを走って追いかけると、ゴールデンレトリバーも走ってどんどん先へと行ってしまいます。
君入はゴールデンレトリバーを追っていき、かほりもその後を走って追い掛けます。二人が追い掛けていったので、石田も渋々二人の後を追いました。
あなたたちがしばらくゴールデンレトリバーを走って追い掛けていくと、公園の少し開けた場所に辿り着きました。
そこには二人の人物がいました。
一人は可愛らしい少女で、もう一人は見るからにオタクっぽい男性です。
その少女は男性に詰め寄られているようです。
ゴールデンレトリバーは立ち止まり、二人のほうに向かってワンワンッと吠え立てます。
君入はゴールデンレトリバーからカメラを取り返しました。犬はワンワンワンッと男性と少女に向かって吠えますが、君入はカメラが心配で二人には気が付いていません。
君入の服の裾をゴールデンレトリバーが引っ張り、二人のほうへ連れて行こうとします。
男性は少女の腕をつかんで引っ張っています。
君入はカメラをかほりに渡し、男性と少女に近付いていきます。
君入は男性と少女の間に強引に割って入りました。
しかし男性は少女の腕から手を離しません。少女は大変嫌がっている様子です。
かほりは少女に近付きます。
かほりが尋ねると、少女は首をぶんぶんと振りました。
君入はおもむろにスマートフォンを取り出し、動画撮影を開始しました。